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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「母べい」(2008)</span>

吉永小百合は、日本のトップ女優ですが、実際には映画はあまり見ていません。
(正直なところ、清純派のイメージが強すぎて、しっかり者で優等生、どうせ汚れ役はないだろうという先入観があったかも。)

見たのはせいぜい10数本くらいです。最後に見たのは「女ざかり」か。

吉永小百合の最新作「おとうと」は見たいと思っているので、その前に前作「母べい」も見ておきたいと思い、先日TV放送もありましたが見逃したので、DVDとなりました。


山田洋次監督の久しぶりの現代劇で関心はありました。「母べい」の時代背景は、昭和15年(1940年)あたり。ということは、山田監督(1931年生まれ)は、当時小学生。

映画は、この映画に登場する「照べい」こと次女の野上照代さんの著書「父へのレクイエム」であり、次女のナレーションで回想する形になっています。

昭和15年(1940年)前後、“思想犯”として治安維持法違反で警察に検挙されたドイツ文学者の野上(父べい)を中心に片寄せあって生きてきた庶民一家の物語です。

野上の教え子の優しい青年、山崎(浅野忠信)、野上の姪の久子(壇れい=かわいい!ビールのCMよりいいな。爆)、隣組の組長さんたちと、野上一家を支えるその暖かさなどが描かれていく。

治安維持法に屈せず、戦争反対を訴え、自由を掲げてたたかった夫、その夫を犯罪者と見るものには、実父や恩師であっても毅然と立ち向かう「母べい」の強さ。このあたりの毅然とした吉永小百合は、すごいです。平和活動で、朗読などを行っていることもあり、演技も訴えるものがありました。

「贅沢は敵」のたて看板。赤紙一枚での出征命令。特高(秘密警察のようなもの)の監視。
こうした戦争の影、実際に開戦になると、3年間余の暗黒時代に突入する時代に生きた家族の生きる姿が、いきいきと描かれていくが・・・テーマは重い。

吉永小百合といえば、水泳を十数年以上続けているといい、いまでも鍛えているようですが、この映画で
それが生きています。それを、あえて脚本に加えたのか知りませんが・・・爆。傑作シーンです。

山田洋次監督の作品は、いつも思いますが「寅さん」シリーズだけではない。骨太の名作が多い。「おとうと」は、ベルリン映画祭で、高い評価からクロージング上映が決まっており、国際的にも話題になりそう。ベルリン映画祭の特別功労賞を受賞していますね。

それにしても、最近の笑福亭鶴塀の俳優としての活躍はすごい。
まるで、車寅次郎亡き後の”後継者”のようだ(爆)。

昨年の「ディア・ドクター」、公開中の「おとうと」・・・俳優としても得がたい存在になっていくのか。

出演は、ほかに近藤公園鈴木瑞穂、でんでん、志田未来吹越満笹野高史倍賞千恵子(特別出演)など。


☆☆☆