典型的な西部劇の傑作の1本「リオ・ブラボー」(1959年)の映画を劇場で見たのは
リバイバルで見た1970年ごろのこと。
西部劇では、1940年代~1960年代にかけてジョン・ウエインが主役を演じた映画が多かった。
大傑作「駅馬車」「黄色いリボン」「赤い河」「アラモ」「チザム」・・・西部劇=ジョン・ウエインだった。晩年の主演作「勇気ある追跡」(1969)では、念願のアカデミー賞主演男優賞を獲得した。
「リオ・ブラボー」は、中でも異色だった。
テキサス州のメキシコ国境に近い町、リオ・ブラボーの保安官チャンス(ジョン・ウエイン)が、逮捕している弟を奪い返そうとして町にやってくるネイサン一味を迎え撃つ痛快西部劇だ。
というと、かっこいいが、チャンスの味方となるのは、なんとも頼りにならない3人だけという設定が面白い。
一人は、アル中で、昼間から酒を飲んでいるデュード(ディーン・マーチンが俳優でも圧巻)、若造のコロラド、そして口うるさい助手のじいさん、スタンピーだけだった。
見所はなんといってもネイサン一味との銃撃戦。
チャンスが、ライフルで、迎え撃っている最中に、別のライフル1丁を、デュードに
投げ渡すシーン!はすごい。撃ち合いのさなかで一瞬の動作だが、かっこよかった。
この映画はハワード・ホークス監督。
映画のできたきっかけは、「真昼の決闘」にあったという。
そのわけは、「真昼」で保安官が、悪漢がやってくることから、町の住人に
加勢を頼んだが、断られたことに由来する。
保安官たるものが、助けを借りるなんて、女々しいということか。
自分たちだけで、大勢の敵(この映画では10人前後)を、身内の4人で
撃退してしまうというストーリーだ。
「真昼の決闘」への反発から生まれた映画だったのだ。
同じ、西部劇の傑作同士でも、因縁があるんですね(笑)。
どちらも、お気に入りの西部劇です。
音楽もいい。
後の「殺しのドレス」の主演女優でもあるアンジー・ディキンソンが
出演していて、若くお色気たっぷりだった。
ジョン・ウエインの主な出演作品:
ビッグ・トレイル -The Big Trail (1930)
駅馬車 -Stagecoach (1939) ☆☆☆☆
絶海の嵐 -Reap the Wild Wind (1942)
西部の顔役 -In Old California (1942)
拳銃の町 -Tall in the Saddle (1944) *製作も
拳銃無宿 -Angel and the Badman (1947) *製作も
アパッチ砦 -Fort Apache (1948)
赤い河 -Red River (1948) ☆☆☆☆
三人の名付け親 -3 Godfathers (1948)
ケンタッキー魂 -The Fighting Kentuckian (1949)
黄色いリボン -She Wore a Yellow Ribbon (1949) ☆☆☆☆
硫黄島の砂 -Sands of Iwo Jima (1949)
リオ・グランデの砦 -Rio Grande (1950)
静かなる男 -The Quiet Man (1952)
紅の翼 -The High and the Mighty (1954)
中共脱出 -Blood Alley (1955)
捜索者 -The Searchers (1956) ☆☆☆☆
リオ・ブラボー -Rio Bravo (1959) ☆☆☆☆
アラモ -The Alamo (1960) *製作・監督も ☆☆☆
ハタリ! -Hatari! (1961) ★★
コマンチェロ -The Comancheros (1961)
リバティ・バランスを射った男 -The Man Who Shot Liberty Valance (1962) ☆☆☆
西部開拓史 -How the West Was Won (1962) ☆☆☆
史上最大の作戦 -The Longest Day (1962) ☆☆☆☆
ドノバン珊瑚礁 -Donovan's Reef (1963)
マクリントック -McLintock! (1963)
偉大な生涯の物語 -The Greatest Story Ever Told (1965) ☆☆☆
エル・ドラド -El Dorado (1966)
グリーンベレー -The Green Berets (1968) ★
勇気ある追跡 -True Grit (1969) ☆☆☆
チザム -Chisum (1970) ★★
リオ・ロボ -Rio Lobo (1970) ★★
100万ドルの血斗 -Big Jake (1971)
11人のカウボーイ -The Cowboys (1972) ★★
大列車強盗 -The Train Robbers (1972)
マックQ -McQ (1974) ★
ブラニガン -Brannigan (1975)
オレゴン魂 -Rooster Cogburn (1975)
ラスト・シューティスト -The Shootist (1976)