この映画の舞台となっている100年前も、今も「石油」をめぐっての争いが続いている・・・。
「ゼア・ウイル・ビー・ブラッド」(There Will Be Blood)は、「石油」発掘により、
大もうけしようという男の話。一攫千金の夢はいつの時代も・・・(笑)。
大もうけしようという男の話。一攫千金の夢はいつの時代も・・・(笑)。
デイ=ルイスとしては、1989年の「マイ・レフト・フット」に次いで2度目の主演男優賞。
名優の一人だが、出演作品を厳選するからか、その作品はあまり見ていないのが残念。
名優の一人だが、出演作品を厳選するからか、その作品はあまり見ていないのが残念。
時は、19世紀末(1898年)から20世紀初頭。
映画が始まって20分間もセリフがなし。
地下を黙々と掘る男。ダイナマイトを仕掛け、爆発。
男は爆破後、中を覗きに穴に入るが、誤ってはしごから落ちてしまい、足を悪くしてしまう。
男は爆破後、中を覗きに穴に入るが、誤ってはしごから落ちてしまい、足を悪くしてしまう。
鉱山労働者のダニエル・プレーンビュー(ダニエル・デイ=ルイス)は金や銀を掘り当てて生計を立てていたが、この事故に遭い怪我をし、鉱山で働けなくなり、息子をつれて、次に石油の発掘に挑むことになるのだった。そして、これまでの知識で、いくつもの油田を掘り当てていくのだが・・・。
石油が眠っている地域があるという情報が入ると、その町を訪ねて、住民を集め説得し、地域の土地を買いあさる。見事に石油を掘り当てていく。住民を集めて説明するシーンなど、口八丁で、説得力がある
話しぶりは、すごい。「子供は未来。教育が大事」なんていわれれば、納得して賛同してしまう。住民を
丸め込むなどは、朝飯前のダニエル。
話しぶりは、すごい。「子供は未来。教育が大事」なんていわれれば、納得して賛同してしまう。住民を
丸め込むなどは、朝飯前のダニエル。
しかし、石油を掘り当ててからのダニエルの人生は少しずつ暗転していく。見知らぬ親戚、宗教、買収、息子の病気、ますますコントロールできなくなっていくダニエル。
タイトルは「血は必ず流れる」という意味。「石油を求めれば必ずそれには代償(血)があること」を意味している。この作品は、石油をテーマにしており、現在のアメリカを痛烈に皮肉っているものと見られる。富を手に入れた人間が、ますます欲深くなり、孤立していく、というのも・・・。
2時間40分の長さだが、全体的に重苦しさ、暗さがあるものの、重厚な映画となっている。
音楽が、かなり不安をそそるような小さなドラム音、金属音などで不気味。
なにか事が起こったときに、背景に音楽が流れる。
なにか事が起こったときに、背景に音楽が流れる。
この映画は、音楽も、演技も、映像もすばらしい。
油田が噴出するシーン(爆破の合図を出す直前)、燃え上がる炎のシーン、ダニエルが教会で洗礼を受ける
シーン。冷血なダニエルの心の葛藤(心で反発しつつも従わざるを得ない)など人間味も感じさせる。
シーン。冷血なダニエルの心の葛藤(心で反発しつつも従わざるを得ない)など人間味も感じさせる。
エンターテイメント(娯楽)映画ではなく、笑いもユーモアも一切ないが、様々なものが描かれており、
考えさせられるところが多い。
考えさせられるところが多い。
☆☆☆☆