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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">2000年代(50)「アメリカン・ギャングスター」(2008)</span>


アメリカン・ギャングスター」(リドリースコット監督)を、しばらくぶり(ン十年ぶり)となる「新宿プラザ」で観た。新宿プラザのオープニング映画「ウエスタン」(1969年)を観て以来、この劇場で20-30本くらい見たであろうか。

アメリカン・ギャングスター」は、一言でいえば、アメリカの現代の裏面史。

二人の男を同時並行で追い、最後にその二人が対峙するときを迎える。

一人は、黒人のギャング。

もう一人は、堅物ともいえる正義感に満ちた(といっても、女癖の悪さは天下一品で、
奥さんと離婚裁判の最中)刑事。

ベトナム戦争当時の麻薬を中心としたマフィアと警察の腐敗ぶりをあぶりだしている。
当時の「ベトナム戦争反対」のプラカードも映し出される。
(日本でも当時「べ平連」などベトナムに平和を、といった運動があった)

テレビのニクソン大統領(当時)の映像が、リアルさを増す。

史実にもとづいているというノンフィクションで、1970年前後のニューヨーク・ハーレム、ブロンクス、クイーンズ、ニュージャージー、さらに麻薬の栽培が行われているタイなどが、舞台として現れ、興味をそそる。

物語は、いまから40年前の1968年、フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)のハーレムのボスが亡くなるところから始まる。

ボスを失ったフランクだが、これまでのような、麻薬の中間業者(売人)を介さず、麻薬を栽培する元締めにダイレクトに”ビジネス”交渉を行うなどの独自の麻薬ビジネスにより、次第に大物にのし上がっていく。

フランクは一見すると、自らが身上としている”ジェントルマンであるべき”を実践している。

しかし、その顔とは別に、5歳のころから、殺人、麻薬密売の環境の中で育ってきた ”本性”が、時おり顔をだし、簡単に無表情で殺人を犯すなど強烈である。

一方、汚職がはびこる警察組織の中で、大量のお金を発見しても、正直に届けたことから、同僚警官からは、”変わり者”とみられている刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)は、新設された麻薬捜査チームのリーダーに任命され、ドラッグ市場を牛耳る謎の人物に、執拗に迫って行くのだった・・・。

映画の前半は、たんたんと描かれていき、やや単調だが、後半からにわかに緊張感が漂ってくる。

映画は、”フレンチ・コネクション”(麻薬のシンジケート)という言葉もぽんぽん飛び出すように、あの名作「フレンチ・コネクション」もほうふつとさせる。





1960年代末の時代背景は、米国では、日本の”ソニー””トーシバ(東芝)”などのブランドが席巻。

ディストリビューターを介さない大型量販店の台頭で、中間業者(ディストリビューター)は、死活問題を抱えていた。麻薬ビジネスも、”直取引”で、ビジネスを失う業者、売人も増えてきたさまが描かれていた。

そんな中、ベトナム戦争の終焉で、戦地から軍用機で引き上げる兵隊。
その棺の中には・・・。

ギャング映画としては、音楽もふんだんに使われ、面白かったが、
印象に残るのは、ラストシーン。

15年の刑期を終えて、刑務所を出てきたフランクの姿。
髪に白いものが混じり、出所後、どのような人生を歩んだのか・・・。
1991年のことだった。

ラッセル・クロウが好演している。
じっくり見ると、その苦悩の表情が、なんとなく、「ゴッドファーザー」の
マーロン・ブランドに似ている。

デンゼル・ワシントンは、無表情だが、凄みを見せた。

映画全体としては、力作だと思うが、いまひとつ盛り上がりに欠けた印象←少し辛口(笑)。

評価:☆☆☆☆ (4つが最高)