↑上は、客に媚を売る娼婦役で鮮烈だった若尾文子(当時22歳!)
「赤線地帯」(1956)は、溝口健二監督の女性映画の最高峰で、遺作。
売春廃止法案が発効される前夜を、描いた。
赤線地帯と呼ばれた娼街で、力強く生き抜く女たちの傑作群像劇。
当時の大映映画が誇る豪華キャストで、京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子
らが出演。いやはや、たくましい。
華やかなネオン輝く不眠の街。
女が知らない、女の世界。
客引き。
男たちが欲望のはけ口、一夜の快楽を求めさまよう歓楽街。
その一角、サロン「夢の里」では、
金が総てと悟る売れっ子のやすみ(若尾文子)、
浪費家で街娼上がりのミッキー(京マチ子)、
失業中の夫を抱え家から通うハナエ(木暮実千代)、
子供のため住み込みで働くゆめ子(三益愛子)
などが、それぞれのやり方で客引きに勤めていた。
しかし、折から国会に提出された売春禁止法案が
この街に波紋を呼ぶのだった。
昭和30年代の初めまで、東京にもあったという。
その存在は、知らない。
赤線地帯こそなくなったが、人間の欲望、
お金、快楽への欲求は、なくなったわけではなく、
形を変えて、今も生きている。
赤線がなくなった後は、娼街はさらに増加したという。
映画では、京マチコの存在感はさすが。
当時まだ若手だった若尾文子の演技力にも驚いた。
銀座並木座で2本立てで見た。
その後、VHSビデオを購入した。1回しか見ていないが、
"オンナ”のバイタリティのすさまじさ(笑)。
溝口作品は、あいにく「雨月物語」「山椒大夫」など
数本しか見ていない。
大型スクリーンで、ニュープリントで見てみたい。
将来の楽しみに。
「赤線」地帯とは・・・。
売春を目的とする特殊飲食店街の別称。
所轄の警察署の地図に、その地域を赤線で囲って示されていたことからこの名称が生まれた。
1952(昭和27)年から1956(昭和31)年にかけて盛んに使われた。
アジア・太平洋戦争(15年戦争)後の日本に進駐したGHQ(連合国最高司令部)は、1946(昭和21)年1月21日、日本の身代金や前借金などの名目で拘束された公娼(こうしょう)制度(管理売春)は、民主主義に反するとして、「日本に於(お)ける公娼廃止に関する件」(覚書)を発し、その廃止を命令、
日本政府(内務省=1873〈明治6)年に設置された、戦前の警察・地方行政などを
統轄した中央官庁で、国民統制機関の中枢的役割を果たした。
1947〈昭和22〉年廃止)は2月2日廃娼令を施行した(1900〈明治33〉年に公娼制度を認める前提で私娼の取り締まりを目的に制定された「娼妓取締規則」〈内務省令第44号〉の廃止)。
これにより、全国で315軒、約1万400人が転廃業を余儀なくされ、
結果的に街娼を増加させたとされる。(gooより)
溝口監督の主な作品
1923年 愛に甦へる日
1929年 東京行進曲(原作:菊池寛)
1929年 朝日は輝く:伊奈精一と共同監督
1933年 瀧の白糸(原作:泉鏡花)
1935年 折鶴お千(原作:泉鏡花)
1935年 虞美人草(原作:夏目漱石)
1936年 浪華悲歌
1936年 祇園の姉妹
1938年 露營の歌
1939年 残菊物語(原作:村松梢風)
1941年 藝道一代男
1941-42年 元禄忠臣蔵(前後篇)(原作:真山青果)
1946年 女性の勝利
1946年 歌麿をめぐる五人の女(原作:邦枝完二)
1947年 女優須磨子の恋(原作:長坂秀雄)
1948年 夜の女たち(原作:久板栄二郎)
1950年 雪夫人絵図(原作:舟橋聖一)
1951年 お遊さま(原作:谷崎潤一郎)
1951年 武蔵野夫人(原作:大岡昇平)
1952年 西鶴一代女(原作:井原西鶴):ヴェネツィア国際映画祭国際賞
1953年 雨月物語(原作:上田秋成):ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞
1953年 祇園囃子(原作:川口松太郎)
1954年 噂の女
1954年 近松物語(原作:近松門左衛門)
1954年 山椒大夫(原作:森鴎外):ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞
1955年 新・平家物語(原作:吉川英治)
1955年 楊貴妃
1956年 赤線地帯
音楽は、黛敏郎で、オープニングから独特の不安をあおるような音色で印象的だ。
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こちら:http://youtu.be/xLJlGI5A7D0
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