電子音楽の先駆者で、映画「炎のランナー」や「ブレードランナー」の音楽を手掛け、ギリシャ人として唯一の米アカデミー賞作曲賞を受賞したヴァンゲリスが死去した。79歳。ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相が19日、発表した。
1943年に生まれたヴァンゲリス(本名:エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ)は、ほぼ独学で音楽を学び、高校時代からプロ・ミュージシャンとしての活動を開始。
1963年に最初のバンド、フォーミンクスを結成。1968年には母国を離れてパリに移住し、プログレッシブ・ロック・バンドのアフロディテス・チャイルドを結成。ヒット曲「Rain and Tears」(邦題:雨と涙)で知られ、1972年の大作「666」など3枚のアルバムを発表。
その後はソロ活動を本格化。電子音楽の先駆的なアルバムをリリースする一方で、1970年代には映画音楽の分野にも進出。フランスの映画監督フレデリック・ロッシフのためにドキュメンタリーの音楽を制作し、アメリカで成功を収めたことが1980年代の飛躍につながった。
1981年の映画「炎のランナー」の音楽で第54回アカデミー賞作曲賞を受賞。象徴的なテーマ曲に後押しされ、同年のビルボードアルバム及びシングルチャートで1位を獲得。
「炎のランナー」
リドリー・スコット監督の映画「ブレードランナー」(1982)でも素晴らしい音楽を生み出している。「炎のランナー」とともにヴァンゲリスの代表作となる。スコット監督とヴァンゲリスは、後に1992年の「1492 コロンブス」で再共演している。
日本では公開当時の邦画史上1位となった大ヒット作「南極物語」(1983)のサウンドトラックや、日韓同時開催となった2002 FIFAワールドカップの公式アンセムを手がけたことでも話題となった。
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「炎のランナー」は、アカデミー賞受賞作品を全制覇するぞと意気込んでいた時に、見逃していた数本のうちの1本だった。この映画を見たときに、映画の中身は知らなくても、この音楽だったかと耳になじんでいた曲だったことに驚いた記憶がある。
「ブレードランナー」は初見の時には、その素晴らしさがわからなかったが、2回目に見て、カルト的な人気の一端が分かったような気がする。
ご冥福をお祈りいたします。
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