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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「炎のランナー」(1981、英国)アカデミー賞作品賞受賞。

 
 
アカデミー賞作品賞受賞の映画の全作品制覇を目指しているが、1970年以降の作品では、唯一の未見作品だった「炎のランナー」(原題:Chariots of Fire, 1981)を見た。
 
映画公開時のキャッチコピーは「心に希望を、踵(かかと)に翼を持った若者たち」。
時代は1924年、パリ・オリンピック。陸上競技で、大英帝国イギリスにメダルをもたらした二人の男、ケンブリッジ大学生、ハロルド・エイブラハムス(ベン・クロス)と、スコットランドの宣教師エリック・リデル(イアン・チャールスン)の、揺るがない信念と魂の軌跡を追った実話の映画化。
 
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主要キャストは殆ど無名であったが、1981年度アカデミー賞にて作品賞、脚本賞、作曲賞、衣裳デザイン賞など主要四部門を制覇。ヴァンゲリスの主題曲は一躍スタンダードナンバーとなった。1982年度キネマ旬報ベストテン第三位。 1999年に英国映画協会が選出した「英国映画トップ100作品(Top 100 British Films)」で19位にランクされた。
 
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映画のオープニングとラストにかかるテーマ曲は、映画音楽の定番曲になるほど知られている。映画を知らなくても、曲を聴けば、あの曲か、とわかる。
 
  テーマ曲
 
ユダヤ青年エイブラハムズは、陸上競技に天性の才能を持っていた。彼の好敵手は、ラグビーでも活躍していたリデル。二人は人種の偏見を超えて、深い友情で結ばれていく・・・。二人の青年が、オリンピックのそれぞれの競技で優勝するまでを、ヴァンゲリスの流麗なメロディに乗せて感動的に描いている。
 
1920年代の英国では、社会も大学も権威主義的な色彩が濃厚で、優秀な陸上選手であっても、学生がユダヤ人であることを知ると、教職員も「神が違えば、人生の目的も違う」と偏見を持って見ていた。
 
ユダヤ人のエイブラハムについて、ガールフレンドは「(ユダヤ人であることで)なにか不都合が?」と気にしなかったが、「(平等と口では言っても、世の中には)潜在的に偏見がある。水辺に行くことはできても、水は飲めない」と答えた。
 
英国では「王」が第一で、宗教上の神はその次という考え方。
一方、ユダヤでは、全ては神が決めることで、王は下にくる。日曜日は安息日であって、競技などには一切参加できないという教え。ところがパリ・オリンピックの予選が日曜日に実施されることになり、エイブラハムは、参加できないと拒否するのだが・・・。
 
オリンピックそのものはアマチュア・スポーツの競技。プロのコーチ(トレーナー)をつけて鍛えるのも、大学側から見れば、「賞を取っても、それは金で賞を買った」というふうに捉えてしまう。様々な障害をどのように乗り越えていくのか・・・。
 
 
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実在のランナーであるハロルド・エーブラムスとエリック・リデルの自伝的作品であり、二人のランナーの苦悩と葛藤、互いに半目しあい競い合いあう中で、いつしか友情を結んでいくストーリーが描かれていく。重厚で見ごたえのある映画だった。特に音楽がいい。
 
 
☆☆☆