「映画という文化 -レンズ越しの景色-」(原題:Voir、2021)を見る。Netflixとタッグを組んでドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」「マインドハンター」や「Mank/マンク」を発表してきたデヴィッド・フィンチャーが総指揮を担当。
フィンチャーにとって初のドキュメンタリーシリーズ。映画そのものや銀幕の物語に対して、それぞれ有名無名の個人が抱える思いを称えたビジュアル・エッセイとなっている。原題の「Voir」はフランス語で「見る」を意味する動詞。6話からなり、1話が20分程度と短く見やすい。
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【1】「サメの夏」(17分)
1975年に「ジョーズ」がアメリカで公開された時に10歳で見たという少女と妹。街では近くの映画館は車で30分のところにあり、衝撃だった「ジョーズ」を40回見たという。映画のターゲットは男の子というイメージがあるが「我ら女子も見ているのよ」と訴える。
【2】「復讐の倫理」(18分)
復讐、リベンジ映画が多いが、2つの要素からなるという。1つは「不当な苦しみ」。2つ目が「報復」。3つ目に「報復に至るまでの苦悩と選択」を加えたいという。復讐は何のためかというと、一つは「一念のため」(「イコライザー」)、二つ目は「正義のため」(「ダーティーハリー」「LAコンフィデンシャル」「ブレイブワン」「グラディエーター」「マッドマックス」など)。
もうひとつ「正義でない復讐」もあるという。ブルー・リベンジというそうで「バットマン・ビギンズ」「テルマ&ルイーズ」「殺しの分け前/ポイント・ブランク」「人生スイッチ」「水をかけられた山水夫」「親切なクムジャさん」「修羅雪姫」など。
【3】「嫌いだけれど」(23分)
「アラビアのロレンス」のように映画が好きだが主人公が好きではないというパート。
「時計じかけのオレンジ」「イージーライダー」「バージニアウルフなんか怖くない」「タクシードライバー」「カジノ」「アビエーター」「レイジングブル」「ゴッドファーザー」「グッドフェローズ」「デパーテッド」「俺たちに明日はない」など登場人物に共感はできない。
【4】「魅力の二重性」(22分)
魅力とはデザインの調和。アニメでは、(人物、衣装などの造形の)基本は○□△などの組み合わせというのだが…。
【5】「映画かテレビか」(20分)
映画は映画館で見るのが当たり前で、1950年代までは娯楽の王様だった。小さなスクリーンのテレビが登場し、映画を家で気楽に見られるようになった。テレビの限界は画面が小さいため、人物や場面の中心などのアップが多く、細かい背景などは見ることができない。
映画は、大スクリーンで、細かい背景を表現できるほか、音響も大音響ができる。人物の会話のシーンも、聞き手の表情などを見ることができるが、テレビでは、話し手の顔を交互に見ることになる。
【6】「名作の光と影」(22分)
「48時間」など人種問題や、異人種間のバディ映画も登場した。
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「市民ケーン」「イージー・ライダー」「ジョーズ」「マトリックス」など数々の映画に対する洞察や映画を愛する人々の個人的体験を通して、映画が「私たちの人生において特別な位置を占める理由」に迫るというドキュメンタリーで、映画ファン向けだった。
語り手として登場したのは、映画ジャーナリストのウォルター・チョウ、ドリュー・マクウィーニー、テイラー・ラモス、サーシャ・ストーン、トニー・チョウなど。
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