「天使のくれた時間」(原題:The Family Man、2000)を見る。似たような話の映画を見たことがあると思ったら往年の名作映画「素晴らしき哉、人生!」(1946)をモチーフにしていた。「素晴らしき哉、人生!」に感動した人にはオススメ。
「もしもあの時、別の道を選んでいたら」という、その先にあった別の「もしもの人生」が”天使のくれた時間”。
ニューヨーク・ウォール街で成功を収めた男が、ひょんなことから、別の「もしもの人生」を体験することになり、その素晴らしさが忘れられずに軌道修正しようとするストーリー。
出演は「リービング・ラスベガス」のニコラス・ケイジ、「ディープ・インパクト」のティア・レオーニ、「ブギー・ナイツ」のドン・チードルなど。
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1987年、ジャック・キャンベル(ニコラス・ケイジ)は、空港で見送りに来ていた恋人のケイト・レイノルズ(ティア・レオーニ)が何かの予感を感じたのか「ロンドン行きは考え直して」と引き留めるのを振り切って、仕事で成功するためにロンドン研修に旅立った。
その結果2人は別れてしまった。
13年後、ジャックは、ニューヨークのウォール街で成功し、大手金融会社社長として優雅な独身生活を満喫し、女性とも浮名を流す人物となっていた。
クリスマス・イヴも幹部を招集し企業合併の会議をし、家族もなく夜も一人で過ごす彼は、ふと立ち寄ったスーパーで宝くじを換金しようとしていた不思議な黒人青年キャッシュ(ドン・チードル)と出会う。店員は、偽物だろうと追い払おうとするとキャッシュは銃を取り出した。
ジャックは、自分が200ドルで宝くじを買いとるというと、その場は収まった。そしてキャッシュにも優しい言葉をかけた。すると、キャッシュは「これから何が起こってもそれは自分が招いたことだ」と謎めいた言葉を言う。
その夜、豪華な高層マンションの自宅で眠りに入った彼は、翌朝起きると、自分が見知らぬ庶民的な家のベッドにいることに気付く。
そして、隣にはなんと13年前に別れたはずのケイトが寝ており、2人の子供と大きな犬までいたのだった。
あわててニューヨークの高級マンション・会社のオフィスに向かうと、ガードマンもジャックを門前払いする始末。ジャックの形跡は完全に消えていた。
頭を抱えるジャックに再びキャッシュがフェラーリに乗って現れて「閃(ひらめ)きを見せてやる、答えは自分で探せ」と告げるのだ。キャッシュは天使だった。
ここはジャックが海外研修を中止して、そのままケイトと結婚して郊外の街で庶民的な暮らしを続けている「もしもの世界」だったのだ。
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ジャックは、ケイトとの「もしもの世界」を忘れられずに、ケイトのもとを訪れると、ケイトは、未婚のやり手弁護士としてパリの支店に移住する寸前で引越しの真っ只中にあった。
当然もしもの記憶を共有していないケイトだったので、ケイトは素っ気なかったが、ジャックが空港の搭乗口で引き留めるのだった。
ちょうど13年前と逆の状況になったジャックは「もしもの世界」でのケイトと子供たちのことを語った。ケイトは飛行機に乗るのを止めた。
そして雪の降るクリスマスイヴの空港のカフェに、楽し気に会話をするジャックとケイトがいた。
現実はジャックは仕事で成功し、ケイトも弁護士として成功を収めている。もしもの世界ではジャックは車のタイヤのセールスマンで、ケイトはボランティアの弁護士。
13年前にジャックがロンドンに研修に行く時に、別々になっては幸せにはなれないと語っていたこと。13年後、ジャックがケイトに対して、愛していることは変わらないと言ったセリフがあり、ハッピーエンドを予感させるエンディングだった。
仕事の成功か、家庭の幸せか、真の幸福とは何かを問いかける大人のファンタジーといった映画だった。