「グレート・ディベータ― 栄光の教室」(原題:The Great Debaters、2007)はデンゼル・ワシントンが監督・脚本・主演を務め、1930年代に全米討論選手権で優勝したワイリー大学の実話をもとに映画化したドラマ。なかなかの感動作品!日本では劇場未公開。
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1935年アメリカ、テキサス州マーシャル。人種差別が色濃く残るこの街には「白人専用」施設があふれ、黒人たちは虐げられていた。この歪んだ社会を正す方法は「教育」のみ。そう信じる黒人専門のワイリー大学の黒人教師トルソン(デンゼル・ワシントン)は、黒人の若者に立派な教育を施すという夢の実現に向け、ディベート(討論)クラスを立ち上げる。
そして、彼の熱意に触発された、勇気ある生徒たち。やがて討論大会に出場し始めた彼らは、黒人というだけで経験してきた悲しい過去や秘めた怒りを「言葉」という武器に託し、大勢の観客たちの心を動かしてゆく。
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ディベート(討論)は日本ではなじみが薄いが、アメリカ人などは小さい頃から鍛えられているようだ。ひとつの論題に対し、2チームの話し手が肯定する立場と否定する立場とに分かれ、自分たちの議論の優位性を聞き手に理解してもらう事を意図したうえで、客観的な証拠資料に基づいて議論をするコミュニケーション形態というもの。
当時のアメリカのテキサス州などの南部では、黒人は生まれても出生証明書も発行されなかったという。トルソンは「だから(年齢に関しては)一生、サバを読める」と生徒にジョークを言うが、ディベート・チームには「真実を話せ!」を叩き込む。
3人(男2人、女1人)のディベート・チームは、果たして・・・
与えられた議題について原稿を教師などが準備して生徒が読むだけのようなディベートではなく、48時間前の直前にテーマと書籍などを与えられてから、議論を組み立てよというのがハーバード大学側の要求。ワイリー大学のチームの最年少の生徒は16歳。この16歳の少年は、教師の言葉が頭をよぎる。”真実を話せ”。
その真実を語るスピーチに数百人の聴衆は引き込まれていく。そして名門ハーバード大のいかにもインテリそうなディベーター2人対黒人の大学の対決の結果は・・・。
ファーマー(フォレスト・ウィテカー、左)とトルソン(デンゼル・ワシントン)
監督・主演のデンゼル・ワシントンのこの映画にかける意気込みが伝わってくるが、ディベート・チームの一人の少年の父親ジェームズ・ファーマー役のフォレスト・ウィテカーは、全米が「わぉー!」と称賛したらしいが人間味があってすばらしかった。
フォレスト・ウィテカーは一見すると、坊主頭で鶴瓶か荒川良々のような風貌だが、味わいがある。
シンプルだが味わいのあるセリフも多かった。
■父親ジェームズ・ファーマー(フォレスト・ウィテカー)が息子に「我が家のモットーは何だ?」と聞くと、息子は「やるべきことをやるです」と即、返答する。
■トルソン(デンゼル・ワシントン):「三段論法では、大前提が憶測ではダメだ」。「(黒人の)黒はいつもマイナスのイメージがある」。
1930年代の車や蒸気機関車などのシーンが印象的だった。
この映画に登場した主要人物などの「その後」が、最後に紹介される。
言い古された言い方だが、直球の”ド”ストライク映画だった。
脚本:ロバート・エイゼル
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