「イコライザー」(原題:The Equalizer、2014)を見た。弱きを助け、悪をくじく”必殺仕置人”のような主人公を描いたアクション・スリラー。昼(表)の顔と裏の顔を持つということでは、マントのないスーパーマン。
デンゼル・ワシントン扮する元CIA工作員が、クロエ・グレース・モレッツが演じる10代の娼婦のため、命懸けの戦いに挑むスタイリッシュなハードボイルド・バイオレンス・アクション。設定としては、すご腕の殺し屋と少女の純愛を描いた「レオン」にも似ている。
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マサチューセッツ州ボストン。昼はホームセンターで真面目に働きながら平穏な日々を送るロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)。誰からも慕われる好人物で、深夜は行きつけのんダイナーで読書をするのが日課。
そのダイナーには同じく常連で、けばけばしいメイクのテリーと名乗る少女娼婦のアリーナ(クロエ・グレース・モレッツ)がいた。アリーナが、ロバートの席に近づき、相席してもいいかと訪ねてきたので、ボブと名乗り会話を交わす。ロバートが読んでいた本は「老人と海」で、その中身について会話を交わすなどしているうちにふたりの間に奇妙な友情が芽生えいく。
歌手になる夢を持つアリーナは、娼婦の仕事に嫌気がさしていたが、やがてアリーナは自分に暴力を振るった客に反撃して傷つけてしまう。客が苦情を入れたためアリーナは、元締めでロシアンマフィアのスラヴィ(デヴィッド・ムニエ)から見せしめに、あわや発声機能をも失いそうになるほどの激しい暴力を受けICU送りとなった。
アリーナの入院を知り、その悲惨な姿をガラス越しに見たマッコールはスラヴィらのいる一室に赴き、9,800ドルを提示して彼女を自由にするよう申し出る。スラヴィはそれを無下に断り、これからもアリーナを搾取すると言い放つのだった。
彼らのあまりの非人道ぶりに、ある決意を持ったマッコールは素直に引き下がる素振りを見せた直後に振り向くと、瞬時に彼らの手にしている武器や、全員の位置関係や狙いどころを目視でシミュレーション。マッコールは、全員を倒すには19秒かかるなと推定するや、スラヴィを含めてその場にいたギャングたち5人を、その場にある物だけを使って19秒で全員殺害してしまう。
事件を受けてスラヴィのボスであるウラジミール・プーシキン(ウラジミール・クリッチ)は、部下で解決屋のテディ・レンセン(マートン・チョーカシュ)をボストンに派遣する。頭脳明晰で戦闘能力も高いテディは、暴力と情況証拠による推理ですぐにマッコールを割り出す。
直接会っても尻尾を出さないマッコールを犯人だと確信するテディだったが、襲撃は失敗し、マッコールの経歴を洗っても正体もわからず、テディはますますマッコールに興味を持つのだった。
一方、マッコールの正体は元CIAの凄腕エージェントであり、妻の死を受けて引退した過去を持っていた。
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デンゼル・ワシントンが制作・主演。デンゼル・ワシントンが無敵の強さを見せる。イコライザーとは、均衡を保つという意味で平衡装置のことだが、俗語で「銃」の意味もある。銃がないときは、ハンマーなどの工具を中の代わりに使っていた。この映画では、致命的な武器で、”必殺仕事人”のこと。昼間の優しく愛嬌のある顔と夜の冷静でクールな顔を使い分ける”仕事人”のワシントンが不死身の強さを見せているのが見所。
とくに、敵が数人いる場合に、その位置関係や、その相手を倒す武器の位置などを、眼光の中で確認する映像がインパクトがある。
一方、かつて名女優ジョディ・フォスターも演じた娼婦役に挑んでいるのが17歳(撮影時)のクロエ・グレース・モレッツ。ホットパンツ姿で艶めかしい肢体を披露している。しかし、ラストシーンでは、アリーナ(モレッツ)は、屈託のない少女のあどけなさを見せていて、前半の危険な魅力の魔性の女との落差を感じさせた。
ロシアンマフィアの刺青もすごい。マフィア幹部の刺青男の真上からカメラが刺青を舐め回すように映していく!
デンゼル・ワシントンとアントワーン監督は映画「トレーニング デイ」に続く再タッグ。本作は、1980年代のテレビシリーズの映画化。続編の「イコライザー2」(2018)も制作されている。こちらも見なくては。