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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">★「陸王」原作を読了。さてドラマのキャストは・・・。</span>


池井戸潤の「
陸王」を2、3日前に読み終えた。
読みやすく、588頁だが、人によっては一気に一日で読むだろうが、”もったいない”という気持ちもあって、足掛け3日間で読み切った。
 
感想は一言で、おもしろい!だ。
半沢直樹」や「花咲舞が黙ってない」などと同様に、弱小企業などをいじめる銀行の横柄な融資担当などへのそらみたことかというラストが待っている勧善懲悪というのが底辺にある。

陸王」はそれだけではなく、職場の仲間や、共感してそれを応援するパートナーたちとの信頼関係、信義の強さは、大手企業の驕(おご)りや人間関係を無視したやり方(上から目線、利益・数字のためには非情手段で妨害する)に打ち勝つエネルギー、力があるということを見せつけたストーリーだった。
 
ジーンと胸が熱くなるセリフもある。
経理担当常務など経理担当というのは、出ていくお金に対しては極めて保守的で新規事業に打って出たいという社長に対しても、本業がジリ貧だからという理由でさらに新規投資するのはリスクが大きすぎるといって制止する。いわばアクセルに対するブレーキの役割を果たしている。
 
それでも、足袋製造に携わる50代から60代のベテラン女性従業員たちは、社長の熱意に仕事の増加・負担もいとわないと応援のメッセージをおくる。熱意のこもった女性従業員の意気込みに押されて、渋っていた経理担当常務の一言は、「いやいや、筋金入りのお姉さん方にこうまで言われたら、もう何も言うことはありません。」だった。
 
・・・
同じ池井戸潤の「下町ロケット」が中小企業のロケット用の部品製造で、大手ライバルの帝国重工と戦ったように、「陸王」のこはぜ屋は、田舎(埼玉県行田市)の従業員20名規模の零細足袋メーカーが、足袋の技術を新規事業のランニングシューズ市場に進出して、大手企業と闘うというストーリー。
 
どちらも中小企業が大手企業の横やりや圧力、さらには銀行からの融資に苦闘する姿を描いているので、「陸王」の主人公のイメージが阿部寛とダブってしまう。「陸王」の主人公は役所広司なんだぞと言い聞かせるのだが・・・笑。
 
一応のストーリーは以下の通り。
埼玉県行田市にある「こはぜ屋」は、百年の歴史を有する老舗足袋業者だ。
といっても、その実態は従業員二十名の零細企業で、業績はジリ貧。社長の宮沢は、銀行から融資を引き出すのにも苦労する日々を送っていた。そんなある日、宮沢はふとしたことから新たな事業計画を思いつく。長年培ってきた足袋業者のノウハウを生かしたランニングシューズを開発してはどうか。

社内にプロジェクトチームを立ち上げ、開発に着手する宮沢。
しかし、その前には様々な障壁が立ちはだかる。資金難、素材探し、困難を極めるソール(靴底)開発、大手シューズメーカーの妨害――。

チームワーク、ものづくりへの情熱、そして仲間との熱い結びつきで難局に立ち向かっていく零細企業・こはぜ屋。はたして、彼らに未来はあるのか?
 
・・・
 
こはぜ屋の社長・宮沢が、あるランニング・シューズを見た時に衝撃を受ける。


←「ファイブ・フィンガーズ」

外国メーカーのランニング・シューズだが、「ファイブ・フィンガーズ」という製品で、足の指型が残っている軽いシューズで、軽くて衝撃性に強く耐久性のある材料次第で、こはぜ屋の地下足袋を生かせるのではないか、と考えた。そこからの素材の選定に奔走する姿も描かれていく。


←「こはぜ屋」のモデルとなった濃紺のシューズ
 
宮沢の息子は、就活で、50回以上面接を受けているがどこを受けても不採用。腰掛のつもりでこはぜ屋で修行しているのだが、この息子が様々な経験を経て、成長していく姿もひとつの読みどころ(見どころ)。
 
実業団やプロの陸上選手のシューズをその人の性格や走りに合わせてサポートするシュー・フィッターという仕事を専門にする人がいるというのも知った。選手から絶大の信頼を得ている伝説的なシューフィッターが、大手企業の理不尽な人事で解雇されて、零細企業のこはぜ屋の新規事業に加わったり、死蔵特許になっている素材(シルクレイ)の特許の持ち主がこはぜ屋に加わり、プロジェクトがスタートするのだ。
 
駅伝選手がどのメーカー、ブランドのシューズを履くかは、シューズメーカーにとっては一大関心事。サポートしている選手が好成績なら、テレビにゼッケンやシューズも大きく映し出されPRとなり宣伝効果は大きい。しかし、まったく聞いたことがない、というよりは知ってはいたが、まさかあの吹けば飛ぶような弱小・零細企業と小ばかにしていた会社のシューズを履いた選手がトップでゴールすることになったら・・・。この小説のクライマックスは京浜国際マラソンシーン。緊迫感があふれていた。
 
陸王」のドラマは、キャストは、こはぜ屋の社長が役所広司という以外はまだ明らかになっていない。経理の番頭役は「下町ロケット」で経理担当を演じた立川談春あたりがお似合いのようだが、小説では60代前半ということを考えると岸部一徳あたりもいいか。”うるさ型”の縫製部門のベテランのオバちゃん役には、余貴美子倍賞美津子か? 息子・大地役は、ひねくれて斜に構えた性格でもあり、菅田将暉あたりか。
 
大企業風を吹かして、こはぜ屋を陥れようとする部長とその下のゴマすり男などは、木下ほうか、津田寛治手塚とおる・・・など。
 
社長をサポートする営業担当は、なかなかいい役で、安田顕がいいが。
 
これからキャストが決まってくるが、果たして・・・。
 
・・・
スポーツシューズで、ソールといわれる靴底に使う材料に「繭(まゆ)」を使うというのがシルクレイの特許の一つ。繭などは、大昔、田舎のほうでは、蚕(かいこ)を扱っている親戚があって、見たり触ったりしたが、毛虫のようで気持ちが悪かった(笑)。しかし、繭が実は弾力性もあって、形状自由なところから素材に適しているというのもスゴイ。
 
陸王」のドラマが実に楽しみだ。

主な登場人物:
・宮沢紘一(こはぜ屋社長。百貨店勤務ののち、稼業を継ぐ。52歳)(役所広司
・宮沢美枝子(紘一の妻)
・宮沢大地(紘一の息子。23歳。就活中で、こはぜ屋でバイト)
・安田利充(こはぜ屋従業員、40歳。若手工員のまとめ役。愛称”ヤスさん”)
・富島玄三(こはぜ屋常務経理担当。62歳。愛称”ゲン”さん)
・正岡あけみ(こはぜ屋縫製課リーダー。64歳。皆から”あけみさん”と慕われる)
・西井冨久子(こはぜ屋縫製課員。最高齢の75歳。デザインも担当)
坂本太郎(埼玉中央銀行行田支店の営業担当。後に東京キャピタル社に転職後も
   こはぜ屋に協力)
・家永亨(埼玉中央銀行行田支店長。中小企業を小ばかにしている)
・大橋浩(埼玉中央銀行行田支店。坂本の後任。不愛想で支店長の腰巾着)
・茂木裕人(ダイワ食品陸上競技部の陸上選手。昨年まで東西大学で駅伝選手)
・城戸明宏(ダイワ食品陸上競技部の監督。態度は横柄。中小企業をバカにする)
・小原賢治(アトランティス日本支社・営業部長。外資系にありがちな合理主義で、
  零細企業を見下し、利益のみ追及、情け容赦なく非情)
・村野尊彦(アトランティスのシューフィッター。53歳。選手たちから絶大の信頼が
  あるカリスマフィッターだが、小原から軽視され解雇。こはぜ屋の意気ごみを
  知って支援)
・佐山淳司(アトランティス日本支社の村野の後任。上司・小原のゴマすり男)
・水原米子(こはぜ屋縫製課ナンバー2)
・仲下美咲(こはぜ屋縫製課員。最も若い28歳)
・飯山晴之(シルクール社長。倒産し、死蔵特許を所有、こはぜ屋アドバイザーに)
・飯山素子(晴之の妻)
・御園丈治(アパレル企業フェリックス社長。挫折の経験あり。こはぜ屋のシルク
  レール技術に投資、サポート)
・毛塚直之(名門・明成大学のエースで、茂木のライバル・ランナー)






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