今年5月15日東京・青山葬儀所で蜷川幸雄の通夜が営まれたが、田原総一朗、松本幸四郎、北大路欣也、宇崎竜童・阿木燿子夫妻、名取裕子、吉田鋼太郎、堤真一、東山紀之、木村拓哉、宮沢りえ、綾野剛、藤原竜也、小栗旬、岡田将生、多部未華子、藤木直人、前田敦子ら演劇関係者やファン約1600人が弔問に訪れた。
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大竹しのぶが悪女で詐欺師を演じた「後妻業の女」(2016)は、大竹しのぶの演技は最初から最後までうならせるものだった。大竹しのぶは、実年齢59歳だが、童顔で、結婚相談所にやってくる70歳前後の高齢者から見たら若々しく見え、キュートにさえ見える。
「後妻業の女」では、演じているというよりも、ほとばしり出る表情やセリフが自然体ですごみがある。映画では、結婚歴がざっと10回もあり、そのうち夫の不審死が何件も続く。
娘の一人・朋美(尾野真千子)は、小夜子を怪しいとにらみ「”後妻業”(高齢者の後妻に入り、だまして遺産をせしめる)ではないか」と詰め寄り、居酒屋で激しい取っ組み合いの大喧嘩をするシーンはすさまじい。小夜子(大竹しのぶ)の、一切手加減なしの殴打と殴り合いは真に迫っていた。
小夜子は、「シニア向け結婚相談所」の所長・柏木(豊川悦司)と組んで、会員を集めたパーティで、所長がターゲットを見つけると、それとなく小夜子に合図をし、小夜子がその”獲物”の気を引くという仕掛け。何人も小夜子に興味を示すが、小夜子が狙うのは最もカネがありそうな人物。
柏木も常々「持病などがあればなおいい」とハッパをかけていた。小夜子も柏木もカネには貪欲で、カネの配分でもよくもめる。体を張って稼いでいる小夜子から見たら、柏木は、ピンハネをするだけという意識もあったろう。
柏木は、老い先短い老人に後妻を紹介し、死ぬ間際で縁結びをしているのだから「老人は功徳をもらっているようなもの」とうそぶく。朋美は、裏社会の探偵・本多(永瀬正敏)を使って、柏木と小夜子を調査していくのだが・・・。
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「一枚のハガキ」は、新藤兼人の戦時中の体験をもとにしている。
戦争末期に100名の中年兵士が召集された。松山啓太(豊川悦司)ら兵士100名たちは上官のくじ引きで赴任先が決まる。
くじ引きが行われた夜、フィリピンに赴任が決まり、生きて帰って来れないと悟った森川定造はハガキを読んだことを妻に伝えて欲しいと、妻・友子(大竹しのぶ)から送られた1枚のハガキを啓太に託す。終戦後100人中6人の兵士が生き残り、その一人の啓太は1枚のハガキを元に友子の家を尋ねるのだが・・・。見ごたえのある作品だった。
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どうしても素直になれない娘・月子(宮崎あおい)は反発するのだが母の真摯な思いと研二の人柄に徐々に2人の再婚を受け入れることに。しかし陽子は白無垢の衣装合わせに向かう途中で倒れ、2ヶ月前から末期癌であった事を知るのであった。
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大竹しのぶは、10代半ばでデビュー、今日まで第一線で活躍してきた。1973年、フォーリーブスの北公次主演のテレビドラマ「ボクは女学生」で、北公次の相手役の一般公募で大竹は合格し、芸能界デビューした。その後、映画「青春の門(筑豊篇)」と、NHK朝の連続テレビ小説「水色の時」のヒロインで注目された。
「青春の門」を劇場で見た時には、すごい新人女優が現われたと当時思った。
監督・劇作家の三谷幸喜は、「ステキな金縛り」(2011)で竹内結子を初めて出演させ、その演技力から、WOWOWドラマ「大空港2013」(オールワン・カット・ドラマ)に主演させ、舞台の「君となら」(2014)にも抜擢。三谷は竹内に言った。「竹内さんは、将来の大竹しのぶさんになれる」と。これを聞いた時に、竹内は苦笑いをしていたが、30代半ばで、もはや人気・実力もトップクラスの竹内結子にとっても、大竹しのぶは、目標とされるような女優の一人か、と改めて思ったものだった。
現在の日本の映画界では、トップを走る大女優の一人であることは間違いなさそうだ。
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