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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">オムニバス映画「街の恋」(1953、イタリア)(劇場未公開)フェリー二、アントニオーニ監督ほか。</span>


 
イタリアで1953年に公開された「巷(ちまた)の恋」(原題:L'amore in città=「都市における恋愛」)という映画は、イタリアの有名監督のフェデリコ・フェリー二(「道」「8 1/2」)、ミケランジェロ・アントニオーニ(「太陽はひとりぼっち」「赤い砂漠」)、ディーノ・リージ(「結婚宣言」)など6人の監督によるオムニバス映画。日本での劇場公開はなく、1997年に「街の恋」と改題されてビデオ化された。
 
映画の初めに、「待つ、出会う、別れる、は愛の三大要素」という字幕が出て、監督が、それぞれの視点で、ドキュメンタリー風に街の人々を描いている。
 
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 第一話「お金で買う愛」 (監督カルロ・リッツァーニ)では、「XX時○○分、XX通り」と時間が出て、女たちが、道に立っている。真夜中の2時半、飲み屋などの店の電気が消えると、最も残酷な時間となる、という字幕。女たちに、インタビューの声。5,6時間立ち続けた。通常、睡眠時間は、3-4時間という。3時になり、家に帰っていく女の後姿。終わりの見えない帰路。娼婦たちの夜の様子だった。21歳の子持ちで、バラック小屋に住む女もいた。みな貧しい生活のようだ。
 
第二話「自殺未遂」 (監督・脚本ミケランジェロ・アントニオーニ)では、将来が見えず、先が見えないと自殺場所を探す女。海に飛び込み、助けられるが、救助した人間は、自殺願望の主張も一理あるが、専門家の意見が必要と語る。
 
第三話「4時間のパラダイス」(監督・原作ディーノ・リージ)では、盛り場が舞台。
そこには男女が集まり、時間によって、チーク・ダンス、ツイスト(マンボ)・ダンス、ムード・ダンスなどがあり、相手を探して踊る。メガネでダサい女性は、恨めしそうに眺めるだけというワンパターン。
 
第四話「結婚相談所」 (監督・脚本フェデリコ・フェリーニ)では、古アパートの事務所に相談に来ている客の列。法外な入会金と、財産の10%の手数料など、いい加減。やってきているのは、「金髪で三つ編みの女性がいい」という両親だったりするが、事務所では、「目が不自由がいい」「口がきけない男性がいい」「戦争で負傷した男がいい」という要望もある、などというから変だ。
 
第五話「カテリーナの物語」 (監督チェザーレ・ザヴァッティーニ / フランチェスコ・マゼッリでは、2歳くらいの赤ん坊を持つ母親カテリーナが、仕事もなく、貧しさゆえに子供に食べさせるゆとりもないことから、子供を公園に置き去りにしてしまう。後から後悔し、新聞で、修道院に預けられたことを知り、訪ねる。
 

 

第六話「イタリア人は見つめる」
 
ここまでは、暗い話だったが、第六話は全く、明るい話となっていた。
第六話「イタリア人は見つめる」(監督・脚本アルベルト・ラットゥアーダ)では、ファッション・モデルのような、かっこいい女性たちが、何人も登場し、街中を闊歩する。
 
まわりの男たちは、老いも若きも振り返る。なかには、モンロー・ウォークのような女性を、追いかけていく。すると、女は、男と待ち合わせだった。がっかりして、手ぬぐいで汗を拭く男(笑)。
 
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映画の最後に、ナレーションが入る。
この映画では、身近にある現実を、カメラを通して描いた。
全てが真実である・・・と。
 
フェリーニ監督など、このオムニバス映画のあと、翌年に名作「道」を発表している。
ミケランジェロ・アントニオーニは、後に”愛の不毛”を描く監督として独自の地位を築いている。
 
60年前の映画で、一度テレビで放送されたようだが、はじめて1997年にビデオ化された。1950年代はじめのイタリアの生活風景などが描かれて興味深い。まだ、戦後の貧しさが色濃く残っている時代だった。
 
 
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