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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「太陽はひとりぼっち」(1962)モニカ・ヴィッティ、アラン・ドロン主演。

 
アラン・ドロンモニカ・ヴィッティ主演の「太陽はひとりぼっち」(原題:イタリア語: L'eclisse/英語:The Eclipse=「日蝕」、1962)をみた。かつて一度チャレンジしたが、延々と市場の競りのような株式取引シーンばかりで退屈に感じて挫折(笑)。
 
ミケランジェロ・アントニオーニ監督の”愛の不毛”3部作というような解説は評論家に任せるとして、この映画の大部分の時間を占めるのが証券取引所での殺気だって血眼になった人間の狂乱ぶりと株の暴落で暴動でも起こったかのような喧騒の姿が描き出される。
 
わからない、何をしても虚しい、満たされない、いったいどうすれば・・・。
木立を揺らして乾いた風が吹く 「太陽はひとりぼっち」。
 
映画のラストでバスから降りた男が新聞に目をやると、見出しには「各国、核の奪い合い」「かりそめの平和」といった言葉が出ている。暗闇の中、バスから降りる人々が家路を急ぐ。
 
メガネをかけた老人の鋭い目のクローズアップ。振り返って遠くを見据える目。
また、女が遠くを見る。その視線の先には、何かあるのかという鋭い目つき。
 
静寂の中で、映画の終わりを告げる「FIN」の文字。
その前後には、人影もほとんどない道路や、水がどぶに流れる光景などを映し出していた。
 
映画の冒頭、主人公のヴィットリア(モニカ・ヴィッティ)は、婚約者リカルドとの関係に終止符が打たれようとしたときに、リカルドから「愛していないのか。結婚はダメか」と聞かれるが「わからない。20歳のころは幸せだった。今は幸せじゃない」だった。
 
別れる理由を問い詰められても、女は「分からない」とつぶやいて、その男の視線から逃れようとする。別れる理由というのが女自身にも分からないのだ。倦怠、軽蔑、嫌悪、幻滅か。愛想を尽かす理由がどれも、決定打にかけるのだ。
 
その後、証券トレーダーのピエロ(アラン・ドロン)と付き合い始めるが、「わからない」という言葉が口をついてくるので、ピエロから「わからない」とはいうな、といわれる始末。
 
映画自体の内容もいまひとつわからない。
ヴィットリアが「テーブルも、本も、男も同じ。飽きるのよ」というように、ヴィットリア自身も何を求めているのか、何をしたいのか、何を考えているのか、つかみどころがない。
 
・・・
婚約者と別れたばかりのヴィットリア(モニカ・ヴィッティ)。
証券取引所にいる投資家の母はしかし、彼女の話を聞こうとはしない。
女友達のアパートでふざけたり、その夫の操縦するセスナに乗ったりと気分転換を図るも、別離の後の倦怠感は消える様子を見せない。
 
取引所では株が暴落し、ヴィットリアの母は今にも自殺せんばかりだ。
そんな中ヴィットリアは、以前からたびたび見かけていた仲買所に勤めるピエロ(アラン・ドロン)と親密になり、新しい愛を始めようとする。しかし、実は何も変化が起こっていないように、無常に日々は流れていくのだった(Wiki)。
 

 
結局、アントニオーニは、高度成長下の堕落しきった社会の物的生産至上主義により、物質の豊かさのなかで心の豊かさを失い、狂騒的な株式相場の暴落だってあるという警鐘を鳴らしたかったのか。
 
あるいは、この世では人のつまらない感情を覆いかぶし(L'Eclisse)、残るのは無感動な重々しい物質的現実だけが残るといいたかったのか。
 
 
この映画の製作・公開から50年以上経過しているが、いまだに核の脅威や、テロなどの脅威が続いていることを考えれば、映画のラストで、核爆発したような太陽の光で終わるシーンは未来を予見した暗示ともいえる。
 
モニカ・ヴィッティの表情は、いつも「心ここにあらず」といったけだるさむんむんの表情で、モノを見る目もどこか浮いている。ソファーで、ピエロ(ドロン)と無邪気にたわむれたりするシーンは、後にコメディエンヌとしても本領を発揮する(「ジェラシー」など)キュートさが見られた。
 
ピエロが、ヴィットリアに「道の向こう側でキスをするよ」と歩き出すが、ヴィットリアは「まだ途中よ」といいながら渡り切るが、ピエロのキスをさらりとかわすなど、焦らしのヴィッティか(笑)。
 
ちょっとドキっとさせるようなシーンもある。
ピエロ(ドロン)とヴィットリア(ヴィッティ)が歩いているときに、カメラが男(ピエロ)目線でヴィットリアのブラウスの胸元を映すシーンと、ドロンとヴィッティが、指を絡ませるシーンは、エロティックではある(笑)。
 
 
映画製作時は、アラン・ドロン26歳、モニカ・ヴィッティ30歳。
モニカといえば、イタリアでは、最近は「ベルッチ」だが、60年代は「ヴィッティ」が魅力全開だったようだ。
 
 
映画音楽は、情熱的で有名だが、映画の中で登場するのは意外にもわずか。
オープニングと、途中でラジオから流れるミーナが歌う曲だ。
 
 
ミーナの曲。
 
☆☆☆
 
太陽はひとりぼっち」(原題:イタリア語: L'eclisse/英語:The Eclipse、1962)
音楽:ジョヴァンニ・フスコ
製作国:イタリア、フランス合作
モノクロ、126分
公開:1962年
 
 
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