fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「マイレージ、マイライフ」(2010)

 
マイレージ、マイライフ」(2010)は、今年のアカデミー賞に主演男優賞(ジョージ・クルーニー)など5部門がノミネートされた作品。
 
オリジナルのタイトルは「Up in the air」で、”宙ぶらりんの状態”のこと。これは、足が地につかず、気ままに生活している主人公のことなのか。ジョージ・クルーニーはあまり好きな男優ではなかったが、この映画では、てきぱきとスーツケースにものを詰め込み、さっそうと空港で手際よく、荷物検査などを済ませる、いかにも旅慣れた手つきがスマートで印象的だ。
 
ライアン(ジョージ・クルーニー)は、年間、322日も出張する。家にいるのは、年間わずか43日。独身を謳歌し、親せきなどとの付き合いはよくなく、マイペースの人生を歩んでいる。ある意味では、束縛もなく、うらやましくもあるが、結婚に意味を感じず、きままで、適当に女性と親しくなって、人生を楽しんでいる。
 
というわけで落ち着くのは空港。独身で、唯一の楽しみが飛行機に乗ってマイレージを貯(た)めること。
 
別にマイレージを貯めて、旅行に行くとか、グレードアップするとかというのではない。1,000万マイルを貯めた人間は過去に6人しかいなく、7人目を目指しているのだ。達成すると、記念のカードがもらえ、著名な機長と会話ができる…そのために、今日も「首切り」のためにアメリカ全土を飛び歩く。
 
アレックス(ベラ・ファーミガという女性と出会うが、この女性もやはり出張ばかりしているキャリアウーマン。ライアンとアレックスはすぐに意気投合して、その場限りの割り切った関係がはじまる。

 
 
そんな中、インターネットで解雇を通知するという大改革をひっさげてライアンの会社に入ってきた新入社員、ナタリー(アナ・ケンドリックが登場。出張経費を節約すると言い出す。ネット解雇案が正式に採用されれば、今後一切出張がなくなってしまう。つまり、マイレージを貯めることができなくなるのだ。それだけでも頭が痛いのに、社長からはナタリーを実地研修に連れて行けとのお達しが下って・・・。
 
ライアンは、忙しい合間に、アレックスとの逢瀬を楽しんでいたが、ある時、アレックスの自宅を不意に訪ねて驚く。
 
子供たちと夫がいる家庭だったのだ。アレックスは、自分自身で、割り切った大人の女というだけあって、「さびしい時には連絡して」という女性だった。ベラ・ファーミガという女優は、初めて見たような気がするが、大人の魅力にあふれ、落ち着いている。
 
新米のネット世代の代表のような若い23歳の女性に扮しているアナ・ケンドリックは、はきはきしているが、恋人に振られてショックを受けたりするが、ライアンに同行して、人間としても次第に成長していく。この二人の女性は対照的で面白い。円熟した女性と、まだ未熟な女性。
 
ライアンは、いろいろな企業から依頼されて、自身の体験を通じて、背中に背負うバッグのたとえ話を通じて、講演を行っているが、やがて、自分の信じてきた「背負うものを少なくする」という哲学が揺らいでくる。人生は、人とのかかわりが大切であることに目覚めていく・・
 
この映画では、ジョージ・クルーニーは、かっこいい役柄だ。映画全編を通じての音楽が印象に残る。
 
タイトルの「Up in the air」をはじめ、「Be Yourself」(自分らしくあれ)などはラストシーンで流れるがすばらしい。
 
「解雇」を宣告される従業員の声はいずれも、家族を抱えたり、ローンがあったりで、大変な立場に立たされるわけだが、リストラ実行人は、感情を殺して、書類だけで、「有名な英雄も、苦難に直面して立ち上がった」とか独特の紋切り言葉でリストラを非情にも実行に移していくが、そこには限界があった。余韻を残すエンディングだった。
 
見どころ十分な作品。
 
☆☆☆

 

 

 
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加しています:
ついでにクリック・ポン♪。