「
津軽じょんがら節」(1973)ではじめて、
津軽三味線の音楽に接した。
一度聞いたら、耳から離れない音楽である。音楽は、あの盲目の
高橋竹山が担当した。
映画は、70年代初頭の日本映画では、上位にランクされる。
映像派監督といわれる
斉藤耕一が、土俗的なるものと都会的なものを対比させて映像美の中に描い
た。1973年の日本映画の話題作。
物語は、故郷
津軽を嫌って都会へ出た女、イサ子(
江波杏子)が、愛人を連れて、ワケありで戻って、
そこで生活をするさまを描いている。
津軽のさびれた漁村。ある日、東京のバーで働いていた
中里イサ子が、ヤクザ風の若い男、徹男(
織田あきら)を連れてやって来た。
そこはイサ子の郷里で、連れの若い男・徹男が組の幹部を刺し、追われる身となったため、ここで匿うことにしたのだった・・・。荒涼とした
津軽の風景と、
津軽三味線の感情を揺さぶる音色が印象的な映画だった。
津軽では、単調な日々に苛つく徹だったが地元の盲目少女や不良若者たちとの心の交流を見出していく。
一方、サキ子は「ふるさと」であった筈の
津軽から受け入れられない・・・。
漁師の為造(
西村晃)のもとで働くようになり次第にたくましくなっていく徹男。
イサ子は「故郷ができてよかったわね」と言い残し、一人で村を去る。
やがて東京から徹男のもとへ男たちが訪ねて来る・・・。
1970年代初めの
斉藤耕一作品は、印象深い傑作が多かった。
中でもお気に入りなのは、
岸恵子が圧倒的に美しく、物語もフランス的な「約束」をはじめ、
「旅の重さ」「
津軽じょんがら節」である。
主な監督作品:
「囁きのジョー」(1967年)
「小さなスナック」(1968年)
「落葉とくちづけ」(1969年)
「約束」(1972年)
「喜劇 ここから始まる物語」(1972年)
「旅の重さ(1972年)
「
津軽じょんがら節」(1973年)
「無宿」(1974年)
「
竹久夢二物語 恋する」(1975年)
「凍河」(1976年)
「幸福号出帆」(1980年)
「
青い山脈 '88」(1988年)
「人間の砂漠」(1990年)
「望郷」(1993年)
「
稚内発 学び座」(1999年)
「
親分はイエス様」(2001年)
「おにぎり
ARCADIA物語」(2004年)