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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">監督⑤「ルネ・クレマン」</span>





ルネ・クレマン」(1913年3月18日-1996年3月17日)は、83歳の誕生日を翌日に控え、
12年前の3月に亡くなった。


映画監督としての作品は、その20年前の1970年代半ばで止まっていたことから、当時の新聞報道では、
”「禁じられた遊び」のルネ・クレマン永眠”というタイトルを思い起こす。

ルネ・クレマン作品を劇場で最初に見たのは「雨の訪問者」(1970)だった。

リアルタイムで見た。
すでに「太陽がいっぱい」「パリは燃えているか」などで知られた有名監督という知識はあった。
チャールズ・ブロンソンが「さらば友よ」のあとで、スターになるきっかけとなった作品である。

ルネ・クレマンという名前を聞くと、まず「居酒屋」が名作として思い浮かぶ。
名女優となったマリア・シェルの功績が大きい。

エミール・ゾラの作品の映画化だが、かつてTVで見た限りだが、19世紀のパリの生活観が
にじみ出ていたという印象が強い。同じフランス映画の「天井桟敷の人々」もそうだった。

リアリズム作家といわれていたが、まさに現実の生活をスクリーンによみがえらせたのだった。

次に思い出すのは「禁じられた遊び」だ。

両親を戦争の流れ弾で失った子供の無邪気な行動が涙を誘った。

そんな反戦レジスタンス、社会派、リアリズム作家が「商業主義に走った!」として、
非難めいた声の中で生まれた

 最高のサスペンス青春映画の傑作

太陽がいっぱい

だった。

日本では、アラン・ドロンがその不良っぽい、ニヒルでハンサムぶりにより
トップスターに躍り出た記念碑的作品でもあった。

ドロンは、二枚目の代名詞となり、日本では絶大な人気を誇り、「スクリーン誌」などの男優トップの
座に何年も君臨することになる。一方の女優部門はオードリー・ヘップバーンだった。

きょう午後、地上波テレビ(東京12チャンネル)で放送される。

太陽がいっぱい」には思い出もある。

学生のときに、文科系で、趣味で興味のあった「映画演劇論」という講座を
とったときのこと。映画評論家としても著名だった講師から出された
「試験問題」が・・・

 「映画 ”太陽がいっぱい”の優れた点を三つ述べ、解説せよ!」

だった。(うれしいですね、こんな問題!)

3つの応えのうち、簡単に言えば、「地中海のさんさんと輝く太陽という”明”と、ヨット上での
殺人という、どす黒い”暗”の対比・・・」なんていうのが一つだったような(笑)。いい加減(爆)

それはとにかく、ルネ・クレマンは、当時は大変な作家であったよう。

大学の映画論の講師は、世界の偉大監督というのをよく話していた。

ジョン・フォード(「駅馬車」「荒野の決闘」)などは、1950年ごろだったら当然ベスト5だったが、
1970年代であったので、イタリアの「フェデリコ・フェリーニ」(「甘い生活」「81/2」)、
ビットリオ・デシーカ(「自転車泥棒」「靴みがき」)「ルネ・クレマン」(「居酒屋」「禁じられた遊び」)、マルセル・カルネ(「天井桟敷の人々」)、キャロル・リード(「第三の男」)、デビッド・リーン(「アラビアのロレンス」)、エリア・カザン〔「エデンの東」)などのそうそうたる監督の名前が挙がっていた。


ルネ・クレマンも大監督の仲間入りをしていたわけで、初の長編映画は第二次大戦下フランスの鉄道
従業員組合のレジスタンスを描いた「鉄路の闘い」では、実際にレジスタンスに関わった労働者たちを出演させたオールロケによるセミドキュメンタリー映画を生み出している。本国フランスで絶賛され、第1回カンヌ映画祭の最高賞を獲得した。

「海の牙」はナチス・ドイツ潜水艦の中に閉じこめられた各国の人々の葛藤を描いたサスペンス。
あまりにも巧妙な構成が高く評価され、たちまちフランス映画界期待の新人監督登場と謳われるように
なったのである。


名監督といわれたルネ・クレマンだったが、1960年代には、フランス映画界はヌーベルバーグ
(新しい波)の勢力が強くなり、クレマンの映画は目立たなくなっていった。

狼は天使の匂い」などで商業主義に走ったところが、世間では「悪あがき」に捉えられたという。
クレマンは、70年代半ば以降は、評価がふるわぬまま、しだいに不遇の中年監督となっていった。

しかし、映画の「禁じられた遊び」「太陽がいっぱい」「居酒屋」の監督として、ルネ・クレマン
名前は永遠に記憶されることだろう。

主な監督作品

「左側に気をつけろ」 Soigne ton gauche(1936)
「鉄路の闘い」La Battailledu Rail(1945) ☆☆☆
「海の牙」 Les Maudits(1946)
「鉄格子の彼方」 Le Mure di Malapurga(1949) ☆☆☆☆
「ガラスの城」 Le Chateau de Verre (1950)
禁じられた遊び」 Jeux interdits(1951) ☆☆☆☆
「しのび逢い」 Monsieur Ripois(1954)
「居酒屋」 Gervaise(1956) ☆☆☆☆
「海の壁」 Barrage contre le Pacifique(1957)
「生きる歓び」 Quelle Joie de vivre(1960) ☆☆☆
太陽がいっぱい」 Plein Soleil(1960) ☆☆☆☆
「危険がいっぱい」 Les Felins(1964) ★★
パリは燃えているか」 Paris brule-il?(1966) ☆☆☆
雨の訪問者」 Le Passager de la Pluie(1969) ☆☆☆
「パリは霧にぬれて」 La Maison Sous les Arbres(1970) ☆☆☆
狼は天使の匂い」 La Course du lievre a travers les champs(1972)
「危険なめぐり逢い」 Unmaledetto pasticcio(1975)★★

先ほど、TVで「太陽がいっぱい」を再・再・再・・・・・見(10回くらい見ている)。
はじめての感動はもはやないですが、ラストシーンの「リプレイさん!電話ですよ」の
声に、にこやかに応えて電話に向かうドロン・・。

ああ~映画は、「ラストシーン」で決まる!

をあらためて感じた。