「サンキュー・スモーキング」(英語の原題は、Thank You for Smoking)は、世界的に、喫煙に対して規制が強まる中、タバコの販売側に立ったロビイストの闘いぶりを描いた。
※ロビイスト:ある特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動
「タバコ追放」を目指す議員は、タバコのパッケージに「どくろマーク」をつけて、害があることを
誰が見ても明らかになるよう議会で主張。これを知った、タバコ業界側のロビイストが、得意の
「目くらまし」論法で、挑む。
ニック・ネイラー(アーロン・エッカート)は、タバコ業界を代表する凄腕のPRマンだ。
ニックは、「情報操作の王」ともいわれるだけあって、高まる禁煙運動の弾丸を、魅力的な
スマイルと巧みな論理のすり替えでかわし、業界の繁栄のために前進し続けていたが・・・。
ハリウッドのスーパー・エージェントとタッグを組んで、有名俳優に映画の中でタバコを吸わせ
るという「映画でタバコ作戦」の指揮をとることになった。過激派の嫌煙団体から命を狙われたあげく、スクープを狙う女性新聞記者(ケイティ・ホームズ)の色仕掛けの罠にはまってしまったことから、ニックの人生の流れは一変。
すべてを失ったニックは、一気にどん底に落ち込んでしまう。
そんなニックに「情報操作の王」のプライドを思い出させるのが息子のジョーイ。
ジョーイの叱咤激励を受けてやる気を取り戻したニックは、再び舌戦のリングに上る決意を固め、
上院議員の公聴会に出席。起死回生のチャンスを賭けて証言台に立った・・・。
痛烈な喫煙に対するブラックのメッセージなのか。
禁煙派から「自分の息子にも、喫煙をすすめるのか」と質問されたニックは、
「年齢に達したときに、(息子)自身の判断にゆだねる」と応酬。
息子のジョーイは、これを聞いて、普段からロビイストとしての父親を尊敬しており、
満足の表情。この子役、大人びていて、離婚した母親、その再婚相手と暮らしているが、
ニックの出張に同行する事を納得させる論法は、父親譲りか(笑)。
大物役として登場した”トム・ヘイゲン”(「ゴッドファーザー」の弁護士役)こと
ロバート・デュヴァルが出番は少ないが、貫禄を示している。
適度に考えさせる映画で、気軽にエンタテイメントとして楽しめた。(☆☆☆)