fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">「天国と地獄」(TVスペシャル:9月8日)</span>


黒澤明名作のリメイク・シリーズ2夜連続スペシャルの第一弾「天国と地獄」

 もう、この映画は、何回も見て、台詞が頭に入っているくらい日本映画の中で
 お気に入り映画ですから、どんなTVドラマに仕上がっているのか、楽しみにして
 いました。

 その感想は、一言でいえば、オリジナルをなぞったカラー・バージョンで、全体が
 おとなしい作りになっている、ということでしょうか。

 俳優は、主任警視役の阿部(寛)ちゃんは、いいでしょう。
 冷静沈着で、映画の仲代達矢のような血走った迫力はないですが、
 落ち着きがあって、好感がもてました。

 主演の佐藤浩市の靴の会社の常務(映画は三船敏郎)ですが、少しまだ
 若いという印象を持ちました。奥さん(鈴木京香)が、いちゃいちゃと絡んで
くるというのでは、映画が軽くなってしまいます。重厚さが欠けます。ラストシーンの
 犯人との面会シーンでは、鏡に映る容貌が、苦労して老けてやつれた印象は
 よかったですが。

 犯人役の妻夫木は、若すぎ。人気俳優だからと使ったのでしょうが、軽い。
 ミスキャストでしょう。

 映画全体では、時代に即して、いろいろと新しい試みが感じられました。
 オリジナルの当時は、身代金3,000万円。今回は、3億円(当時の3,000万円は、
 このくらいの価値だったでしょう)。

 映画の中で、ガラスに二重写しに映るシーンが多用されていました。
 鈴木京香のシーンなど。不安定な心をよく現していると思います。

 二画面を組み合わせて、台詞はなくても、受けの演技(平田満)などが、逆に
 引き立っていました。

 映画は、会社の乗っ取りについて、常務(佐藤浩市)を巻き込もうと
 話を持ちかけてきた役員グループの謀議から始まります。このあたりは、
 話が聞き取りにくく、せっかくのアイディアがもったいなかった。

 40数年前では、考えられなかった警察の携帯電話などを使っての
 情報戦は現代風で、いいのでしょう。

 映画のインパクトがあまりにも強すぎて、リメイクの宿命とはいえ、
 ちょっとおとなしすぎたドラマになってしまったのは、残念でした。

 俳優は、豪華でぜいたくで、かばんを犯人が燃やした場所(海辺)の漁師、泉谷しげる
 わずかな出番でしたが、いい味でした。

 映画のオリジナルを度外視すれば、それなりにテレビ・ドラマとしては
 楽しめるものでしたが。

 何回も取り上げている「天国と地獄」ですが、映画の感想はこちら:
 http://blogs.yahoo.co.jp/fpdxw092/folder/1455483.html?m=lc&p=6