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映画「ザ・コールデスト・ゲーム」(原題:The Coldest Game , 2020)を見る。

ザ・コールデスト・ゲーム」(原題:The Coldest Game , 2020)を見る。Netflix オリジナル。監督・脚本はポーランド人のウーカシュ・コシミツキ。

主演は「インデペンデンス・デイ」で大統領を演じたビル・プルマン。当初は、ウイリアム・ハートが演じる予定だったが、撮影がスタートして骨折したため、代役となった。

1962年のキューバ危機を背景に、チェスの米ソ親善試合と諜報戦を組み合わせたスパイ映画。チェスそのものは諜報戦の隠れ蓑で、内容が入り組んでいるためやや理解しにくいストーリー展開。

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1962年、アメリカとソ連の冷戦は最も緊張状態にあり、キューバ革命のさなか、ソ連キューバに核ミサイル基地を建設し、来るべき核戦争に備えるかのように軍事活動を活発化させていた。

そんな中、アメリカとソ連の間でチェスの親善試合が行われることになり、世間はその試合の話題で持ちきりだった。

ニューヨーク州ブルックリン。かつて優れた数学教授として知られていたジョシュア・マンスキー(ビル・プルマン)は、場末の酒場で素人相手にポーカーで金を巻き上げて生活していた。

過去にノーベル賞受賞者を暴行した罪で職を追われ、今ではすっかり落ちぶれていたのだった。ジョシュアがいつものように酒を浴びるように飲み、店を後にしようとすると突然何者かに拉致されてしまう。

薬物によって意識を失っている間に飛行機に乗せられたジョシュア。目覚めると四角いガラスに囲まれた防音室に監禁されているのだった。

彼を拉致した人物の一人であるストーン(ロッテ・ファービー)という女性は、予定されていたアメリカのチェスプレイヤーが脳卒中で亡くなったため、彼の代わりにソ連とのチェスの試合で勝って欲しいと伝える。

この親善試合に微塵も興味を持っていなかったジョシュアはこれを断るが、自分が既にワルシャワアメリカ大使館にいることを知らされると、気絶してしまう。

実際には、アメリカ諜報部はチェスの試合会場で、キューバに持ち込まれる核兵器の情報を持った情報提供者「ギフト」に接触する時間を稼ぐため、この試合を利用しようと考えていたのだった。

防音室から一般の部屋に移されたジョシュアは、アルコールの過剰摂取によって意識を失う。その後、大使館職員に助けられると、勧められた麻薬を使用し意識を覚醒させ試合会場に向かうことになる。

麻薬の副作用で視界が歪んできたジョシュアは開会式を途中で投げ出し、トイレに逃げ込んでしまうが、アルコールによって意識がはっきりする。彼はアルコール依存症だったのだ。

翌日目が覚めると時計は夜の11時を示していた。健全に寝過ごしたジョシュアが試合のことをストーンに尋ねると、ジョシュアは既に試合に勝っていたことを知る。ジョシュアは過剰のアルコールを摂取して試合に臨んだため、記憶を失っていたのだった。

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米ソの対立がピークになっていたころの冷戦時代のキューバ危機の時代を映し出していて、ジョン・F・ケネディ大統領のスピーチの映像がそのまま流される。また、1987年12月8日のソ連ゴルバチョフ書記長と米レーガン大統領の間で締結された中距離核戦力(INF)の全廃条約シーンも登場。その後、プーチン大統領の映像も出る。

映画はチェスのシーンに始まり「7日前」「6日前」「5日前」とカウントダウンするように描かれていく。このあたりが、見ていてやや混乱してしまう要因かもしれない。

主人公がアル中で朦朧としているので、観ているほうも自由を奪われてスパイゲームに巻き込まれているような感覚になる没頭感がすごい。

ウィスキーの瓶のコルクが小道具として使われている。2つのコルクがあり、血の付いたコルクの中には、マイクロフィルムが隠されていて、そこには、ソ連の核配備の図が示されていた。1960年代前半は、煙草をぷかぷかふかす時代で、たばこ、葉巻なども吸う人が多かった。テレビの画面も楕円形の形。

エンディングに、核兵器のない世界を目指したいというような文字が流れていた。冷戦時代の時代背景の一端を知るには面白い映画ではあった。

主な登場人物:

■ジョシュア・マンスキー(ビル・プルマン):元プリンストン大学の数学教授で、天才的な頭脳の持ち主。アルコール中毒であり、現在はNYの場末の酒場での賭博で稼いでいる。アメリカのチェス王者コニグスバーグの突然死により、ソ連代表との親善試合への出場を急遽要請された。

■エージェント・ストーン(ロッテ・ファービーク):アメリカの諜報部員(CIA)。ワルシャワでジョシュアの面倒をみるとともに、身を守っていた。ギフトの機転によって、ロシア側のスパイ(内通者)だったことが判明する。

■エージェント・ホワイト(ジェームズ・ブルーア):アメリカの諜報部員。ストーンとともにジョシュアの身辺警護を行っていたが、何者かに毒を盛られ、死亡する。

■ドナルド・ノヴァク(コリー・ジョンソン):ワルシャワアメリカ大使館付きの武官。

■ギフト(ツェザーリ・コジンスキー)

ソ連諜報部に潜り込んでいたアメリカ側のスパイ。ソ連キューバに持ち込んだ核兵器の情報をアメリカ側に渡すことに成功する。

■アレクサンダー・ガヴリロフ:ソ連のチェスチャンピオンでマンスキーの対戦相手。

■クルトフ将軍:ソ連代表団の武官で、おとり捜査を指揮している。

■アルフレッド支配人:会場となるワルシャワの文化科学宮殿の責任者。表面上はソ連に従っているが内心ではアメリカを応援しており、酒を必要とするマンスキーにこっそり酒を提供するなど最大の協力者になる。

キューバ危機】

1962年10月から11月にかけて、ソビエト連邦キューバに核ミサイル基地を建設していることが発覚、アメリカ合衆国カリブ海キューバ海上封鎖を実施し、米ソ間の緊張が高まり、核戦争寸前まで達した一連の出来事のこと。冷戦の一つのピークとなった事件だ。

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