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Netflixオリジナルドラマ「クイーンズ・ギャンビット」(英題: The Queen's Gambit、2020、全7話)を見る。

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Netflixオリジナルドラマ「クイーンズ・ギャンビット」(英題: The Queen's Gambit、2020、全7話)を見る。さすが、現在全世界で大ヒットしているというだけのことはある。

    今年のNetflixドラマの最大の収穫!★

最終の第7話は、感動の高鳴りを押さえるのに苦労するほど、2度、3度と胸が詰まり号泣ものだ。物語は1960年代の東西冷戦期を舞台にチェスの天才少女を描く。

原作は「ハスラー」「地球に落ちてきた男」で知られるウォルター・テヴィスによる「The Queen's Gambit」。脚本と監督はスコット・フランクが担当。主人公が実在の人物ではないが、多くが実際のチェスの伝説やゲームからインスパイアされているという。 

チェスの天才少女を演じるアニャ・テイラー=ジョイがすばらしい。アニャは、「ウィッチ」「スプリット」「ミスター・ガラス」などに出演していたが、今回の天才少女役では、単なるサクセス・ストーリーではなく、薬物、酒におぼれる自身との戦いに苦しむ姿を体現して、自信をつけていく姿が感動を呼ぶ。

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(主なストーリー)

■第1話

9歳の少女ベス・ハーモン(アイラ・ジョンストン)は交通事故で母親アリスを失い養護施設に入れられる。そこでは薬物を子どもたちに投与しており、ハーモンは依存症になっていく。黒人の同級生ジョリーンをのぞいて生徒とも教師とも馴染めないハーモンは用務員のシャイベル(ビル・キャンプ)と仲良くなり、彼からチェスの手ほどきを受ける。

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■第2話

14歳になったハーモンは、ウィートリー夫妻に引き取られる。しかし養父が出張先で拘留され、生活は困窮する。養母アルマ(マリエル・ヘラー)を救うため、ハーモンはチェスの州コンテストに参加し、チャンピオンのベルティック(ハリー・メリング)を倒す。

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■第3話

ハーモンは、チェスの天才少女として一躍注目を浴びる。ラスベガスの全国大会に出場したハーモンは決勝で優勝候補ベニー(トーマス・ブロディ=サングスター)と対決し初めて敗北する。

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■第4話

メキシコ大会に出場したハーモンは、ロシアの強豪ヴァシリー・ボルゴフと対決するが敗れ去る。そして養母のアルマがホテルで死ぬ。ハーモンは再び薬物に頼るようになる。

■第5話

傷心のハーモンの元にベルティックが現れ、二人は同棲を始める。しかしハーモンの才能についていけないベルティックは彼女の元を離れる。全米大会に出場したハーモンは、かつて自分を負かしたベニーと再戦し勝利する。ハーモンはロシアで開かれる国際大会への出場が認められる。ベニーはハーモンのコーチ役を買って出る。

■第6話

パリの国際試合に参加したハーモンはボルコフと再戦するが敗れる。帰国したハーモンはベニーとの連絡も絶ち酒に溺れる日々を過ごす。再会した養父から自宅を明け渡すよう要求されたハーモンは彼と縁を切り、わずかな貯金をはたいて自宅を買い取る。ある日、かつての親友ジョリーン(モージス・イングラム)がハーモンの元を訪れる。

■第7話

シャイベルの葬儀に出席するために養護施設を訪れたハーモンは、彼が別れた後も自分の事をずっと気にかけてくれていた事を知る。シャイベルは、ハーモンが活躍しているニュースを伝える新聞記事を切り抜いて壁一面に貼っていたのだ。

ジョリーンは法律家になるために貯めていた学費をハーモンに預ける。モスクワ大会へと参加したハーモンは順調に勝ち進み、決勝でボルコフと対決する。対決は翌日へと持ち越される。朝、ハーモンの元にベニーから国際電話がかかってくる。ベルテックらハーモンのチェス仲間が集まり、棋譜の研究をしていたのだ。彼らのアドバイスを胸に勝負に挑むハーモンだが、ボルコフの一手は彼らの予想を超えたものだった。

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・・・

主人公の9歳の少女ベス・ハーモンが車の衝突事故で奇跡的に助かり母親が亡くなるところから物語が始まるが、事故の背景にある真相があとから明らかになる。身寄りのない養護施設の子供たちは、里親が見つかると施設を出ていくが、黒人の少女ジョリーンは、肌の色で引き受け手はいないとベスに話す。

ベスを引き取った夫婦も一見裕福層に見えたが、夫は出張中に、何かの不正で拘束されてしまい、妻もアルコール依存症という問題を抱える家だった。

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ロシアの大会で、チェスの対戦相手に13歳の天才少年がいたが、ベスに「アメリカでは、映画が車で見られるのか」と聞くシーンがある。ベスは「ドライブイン・シアターね」と答えると少年は「エルビス・プレスリーとかデビー・レイノルズとか、アメリカに行ってみたい」という。もっとも「私も見たことはないけど」と答えるベス。

養護施設はキリスト教系の施設で、資金などを教会が支援しているが、その養護施設の出身ということで、ベスにロシア行きの宿泊、交通費の支援を申し出てくるが条件というのがあった。ロシアの共産主義を否定する声明文に署名してほしいというのだ。

ベスは、チェスの試合に行くのであり、宗教、政治に利用されたくないと断ってしまう。自身で費用を工面しなくてはならなくなり、預貯金も少なくなって苦労するハメになるのだが・・・。

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チェスの駒の名称と動かし方、ルールなどを多少でも知っておくと、より楽しめるかもしれない。多面試合(1人で同時に複数の試合を行う)、早押し試合のスピード感は半端ない。全く知らなくても、緊張感、スリルは十分に伝わってくる。

カメラワークも素晴らしく、大きなホテルの吹き抜けの一階から二階にカメラが移動して、人物などをとらえるシーンなどは、ヒッチコックの映画を彷彿とさせる。

天井に、チェスの譜面と駒が幻想的に登場するシーンは圧巻。

 

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■主な出演者

アニャ・テイラー=ジョイ:ベス・ハーモン(チェスの才能を持つ主人公)

アイラ・ジョンストン:ベス・ハーモンの幼少期(養護施設入居時代)

クロエ・ビリー:アリス・ハーモン(ベスの母親)

モージス・イングラム:ジョリーン(養護施設の同級生で黒人の女友達)

ビル・キャンプ:シャイベル(養護施設の用務員)

トーマス・ブロディ=サングスター:ベニー・ワッツ(チェスの強豪の一人)

マリエル・ヘラー:アルマ・ウィートリー(ベスの養母)

ハリー・メリング:ハリー・ベルティック(ワッツのチェス仲間)

レベッカ・ルート:ロンズデール