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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「七年目の浮気」(1955)を再見。新しい発見も多い。

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七年目の浮気」(原題:The Seven Year Itch、1955)をしばらくぶりに再見した。ジョージ・アクセルロッド原案によるブロードウェイの同名舞台劇を映画化したラブコメの名作。

「あのシーン」はあまりにも有名。ラストシーンはぷつんと切れたような幕切れだが、あとは想像するだけというエンディング。

夏の一定期間、避暑地に家族を送り出した結婚7年目の恐妻家の男が、階上に間借りするブロンドの髪の美女に惹かれていく様をコミカルに描く。

主演のマリリン・モンローが地下鉄の通気口からの風でめくれるスカートを抑える「あのシーン」は映画史に残る名シーン。そのシーンは2回続く。
監督は、ビリー・ワイルダー。出演は、マリリン・モンロー(ブロンド美女)、トム・イーウェル(リチャード・シャーマン)、ロバート・ストラウス(クルフリック)、オスカー・ホモルカブルベイカー医師)、ソニー・タフツ(トム・マッケンジー)ほか。

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ニューヨークのマンハッタンのいわれから物語が始まる。マンハッタン島に住むマンハッタン族は暑くなると女や子どもたちが涼しいところに出かけ、男は島に残る。そして、美人が歩いていると男たちはそのあとを追いかける。

500年後のマンハッタンのサラリーマンたちも全く変わっていない。

ニューヨークの出版社、ブレイディ社に勤める編集者のリチャード・シャーマン(トム・イーウェル)は今年で結婚7年目になる恐妻家。この日、リチャードは妻のヘレン(イヴリン・キース)と息子のリッキー(ブッチ・バーナード)を避暑地に送り出し、自分は7年ぶりとなる一人暮らしを満喫しようとしていた。

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ヘレンからは、留守の間は「禁酒」「禁煙」「食事は腹八分」を強制的に誓わされたリチャード。タバコは吸わないぞとたばこは引きだしの中に収めて、鍵をかけ、鍵は、本棚の上のほうに投げ入れる(いつも投げているせいか、すっぽりと収まる)。

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   「USカメラ」誌に掲載されたモデル撮影写真を見るリチャード。

他の女には目もくれずに仕事に専念しようとしたその時、自宅アパートの階上の家主が避暑で留守にする間、部屋を間借りているブロンドの髪の美女(マリリン・モンロー)が帰ってきた。

その悩ましいまでの美しさに危うく魅了されそうになったリチャードは、平常心を保つために自社で出版予定の精神科医ブルベイカー医師(オスカー・ホモルカ)の原稿を読んで、気にしないようにする。

ところが、もともと妄想癖があるリチャード。自分が女性からモテまくりだという妄想に耽り始めるのだった。会社の秘書モリス(マルガリート・チャップマン)、盲腸で入院した時の看護師フレンチ(キャロリン・ジョーンズ)、ヘレンの友人エレイン(ロクサーヌ)などと、あらぬ妄想を立てていたリチャード。毎日夜の10時に電話するといい残して出かけた妻ヘレンからの電話が早めにかかってきたので我に帰るリチャード。

電話の内容はヘレンがリチャードの友人である作家トム・マッケンジーソニー・タフツ)に会ったというものだった。ヘレンがトムと浮気しないか心配になったリチャード。

そんな時、リチャード宅のベランダに階上から鉢植えが落下してきた。鉢植えを落としたのはあのブロンド美女であり、リチャードはこれを機に彼女を部屋へ誘い、ヘレンから言いつけられていた禁酒・禁煙の約束も今回だけとあっさり破ってしまうのだった。

妄想が膨れ上がったリチャードはあの手この手で何とか美女の気を引こうと試みるが全て失敗に終わり、ヘレンへの罪悪感からあっさり彼女を部屋へ帰してしまうのだったが・・・。

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妄想シーンが、映画の名作の再現があっておもしろい。guchさんが三度の飯より好きな映画「地上(ここ)より永遠(とわ)に」(1953)の波打ち際のキスシーンの再現があった。字幕では「地上より永遠に」は出てこないが、原題のFrom Here to Eternityという言葉があった。

地上より永遠に」を知らないで見ていた初回(1970年代はじめごろ)にはまったく気づかないシーンだ。

また、映画「逢びき」(1945)で流れる曲として超有名なラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」のレコードが何度も流れる。

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主人公のリチャードは「この曲でコロッといかない女はいない」と豪語。ブロンド美女がソファーに座っているときに、どれにしようかと選んでいるふりをして、このレコードをかけるが「クラシックはまったくわからない」と空振り。

避暑地の妻が帰宅して、ブロンド美女と一緒にいるところを見つけて銃で撃つシーンなどすべて妄想。リチャードが以前、シャツに口紅の後があったのを妻が見た時に、まったく疑わずにケチャップと断定。

リチャードの息子が舟漕ぎの「カイ」を忘れたので届けたいというというと、ブロンド美女が「奥さんによろしく」とキスをしてきた。リチャードがハンカチで拭おうとすると、ブロンド美女は「そのままで。奥さんが気が付くかどうか」と送りだすのだった。

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モンローは役柄では22歳の設定(実際は28歳)で、リチャードは38歳。リチャードは独身と偽っていたが、アルコールのボトルに指が詰まってしまい、モンローが引っ張るときに、指輪が見えて、既婚だとわかる。

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 「指輪をしているのね(結婚しているのね)」「うっ、うん、まぁ」

モンローの反応は「よかった。結婚を迫られることがなくて」だった(笑)。とにかく、これまで、多くの男たちが付きまとい「結婚してくれ」といわれ続けてきたからだという。

リチャードとブロンド美人は怪獣ホラー映画「大アマゾンの半魚人」(The Creature from the Black Lagoon, 1954)をみる。映画のあと、感想などを話していると、地下鉄の排気口の上に立つと・・・。

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タイトルバックは、画面全体に十数個の大きなポストイットのような四角の紙の形が現われ、あちこちに出演者などのクレジットが現われる。原題のなかの「Itch」はかゆみのこと。字幕では、結婚後7年は「7年目のかゆみ」と表現されていた。浮気の虫がむずむずと沸き起こるということのようだ。

そういえば日本にも「3年目の浮気」という曲があった(笑)。ヒロシ&キーボーのデビューシングルで、浮気をした男とそれを責める女のコミカルな会話が描かれている。