「真珠の耳飾りの少女」(原題:Girl with a Pearl Earring、2003)を見た。イギリスとルクセンブルグの合作。ヨハネス・フェルメールの絵画「真珠の耳飾りの少女」を着想にトレイシー・シュヴァリエが書き上げた同名の小説を映画化。
主演のスカーレット・ヨハンソンは撮影当時、若干17、8歳だったが「青いターバンの少女=真珠の耳飾りの少女」のモデルを見事に演じ切っている。この作品と「ロスト・イン・トランスレーション」がほぼ同時に公開され、ヨハンソンは日本でも広く知られるようになった。
ゴールデングローブ(GG)賞最優秀主演女優賞にノミネート。映画は、第76回アカデミー賞で、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞の3部門にノミネートされた。
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1665年のオランダ・デルフトの街。タイル絵師の父を持つグリート(スカーレット・ヨハンソン)は、画家のフェルメールの家に下働きとして入る。フェルメール夫人(エッシー・デイヴィス)に、アトリエの掃除を命じられ「窓を拭いてよろしいですか? 光が変わりますが?」と問う。芸術を理解しない夫人との対比がされている。グリートは陰影、色彩、構図に隠れた天分を持っていたのだ。
才能を見出したヨハネス(愛称:ヤン)・ヨハネス・フェルメール(コリン・ファース)はグリートに遠近法や絵の具の調合を教える。絵の構図が悪いと考えたグリートは、アトリエでモデルとなった椅子を除けて、陰影を強調する。フェルメールはこれを見て、描いていた椅子を消し、光と影を付け加える。
ついにフェルメールはグリートをモデルとした製作を決意。狂気の目でグリートを見るようになる。創造の苦しみに耐えるフェルメール。夫人はフェルメールがグリートに恋情を抱いていると誤解する。
フェルメールが使用人とアトリエに篭りきっている事はあらぬ噂を呼び、夫人を苦しめる。とうとう夫人は逆上し、立ち入らないはずのアトリエに乱入する。そこで夫人は自分の耳飾りをつけたグリートの肖像画を目にする。
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「真珠の耳飾りの少女」のモデルは、ヨハネス・フェルメールの家で使われていた使用人のグリートであり、グリートがヨハネスの妻と娘のコルネーリアの意地悪さなどに耐える姿も描かれる。また、画家ヨハネスのパトロンのファン・ライアンは、絵を買うのを口実に、歴代のモデルの女性に乱暴をする悪徳の金持ちだった。
映像面では、多くのシーンが、そのまま1枚の絵画のように撮影され、17世紀の風俗と空気が感じられる。17世紀のオランダ・デルフトの街、運河を渡る舟や、当時の衣装などが鮮やかに再現されている。スカーレット・ヨハンソンの顔が、だんだんと絵画の少女の顔に近づいていくところも見どころ。
4年前の春に「高崎映画祭」に参加するついでに「フェルメール展」があり参加した(ブログ友の徳さんの勧めで)。入場券にも「真珠の耳飾りの少女」の絵があった。当時、機会があれば映画も見てみたいと思っていたが、幸いHULUで見ることができた。
■主な出演:
グリート:スカーレット・ヨハンソン
ファン・ライフェン:トム・ウィルキンソン
ピーター:キリアン・マーフィー
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