「勝手にふるえてろ」(2017)を見た。ミニシアター公開ながら大ヒット&ロングランを記録した松岡茉優(まゆ)の映画初主演作。 松岡茉優は2019年「第42回日本アカデミー賞」で優秀主演女優賞(「勝手にふるえてろ」)・優秀助演女優賞(「万引き家族」)をW受賞。
芥川賞作家・綿矢りさの同名ベストセラー小説を映画化した恋愛コメディ。中学の同級生に10年間も片想い中の恋愛経験ゼロのヒロインが、初めてできたリアルな彼氏と妄想彼氏の間で勝手に二股恋愛を繰り広げる暴走の顛末をコミカルに描く。東京国際映画祭のコンペティション部門で観客賞受賞のほか、主演の松岡茉優が数々の映画賞で女優賞を受賞した。
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24歳のOL江藤良香(ヨシカ)(松岡茉優)は絶滅した動物が好きなオタク系女子。恋愛経験はゼロで、中学の同級生・一宮(“イチ”)(北村匠海)への片思いを10年間も脳内で育て続けていた。そんなある日、会社の同期・霧島(“ニ”)(渡辺大知)から突然告白される。生まれて初めて男性から告白されたことに歓喜するヨシカだったが、イチへの思いと、特に好意を持っているわけではない二との間で心が揺れる。そんな時、とある事件をきっかけに、イチと再会したいとの思いが募ったヨシカは、同窓会を計画するのだが…。
゛イチ”と゛二”の間で。
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主人公ヨシカは、経理の仕事で数字のチェックの単調な毎日。ハンコを押す音が、ドンドン・パ、ドンドン・パ!と「クイーン」の足踏みの音と重なるのがおかしい(「ボヘミアン・ラプソディ」の公開前だが)。
ヨシカは、自分は透明人間のようで、誰にも見られていない存在ではないかと思い込み「絶滅すべきでしょうか?」とミュージカル調に歌いだす。
10年ぶりに同窓会でイチと再会したヨシカは、イチが「キミは、キミは・・・」というので、「相手のことをキミ、君というタイプなんだね」と「名前、何?」という返答に大ショックのヨシカ。覚えてないのかよ、わ・た・しの名前!
アパートに帰って「こちとら、恋愛10年コースでやってんだよ」と、10年は無駄ではなかったと自分に言い聞かせるのだが。「なるほど、孤独とはこういうことなのね」とつぶやき、携帯でイチに電話すると録音で「おかけになった電話はあなたを着信拒否しています」だった。
結局、イチは諦め、あまり好きではなかった二を呼び出す。
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松岡茉優が、この映画の撮影時は22歳で、アンモナイトの化石についてネットで、真夜中に検索するなど、一風変わったオタクを絶妙に演じる。「桐島、部活辞めるってよ」(2012)「ちはやふる」(2016)などこの数年、人気急上昇の実力派女優の一人だ。なかでも「万引き家族」(2018)「蜜蜂と遠雷」(2019)などで大注目された。
主な登場人物:
江藤良香(ヨシカ):松岡茉優
イチ(一宮):北村匠海…ヨシカの中学時代からの片思いの相手
ニ(霧島):渡辺大知…ヨシカと同期入社の社員で営業二課所属
釣りおじさん:古舘寛治…ヨシカの話し相手になっている、いつも釣りをしているおじさん
オカリナ:片桐はいり…いつもオカリナを吹いている、ヨシカのアパートの隣人
金髪店員:趣里…ヨシカが通うハンバーガーショップの店員
最寄り駅の駅員:前野朋哉…ヨシカが利用している駅の駅員
整体師:池田鉄洋
編み物おばさん:稲川実代子
コンビニ店員:柳俊太郎
居酒屋店員:山野海
同級生 薫:梶原ひかり
同級生 愛:金井美樹
同級生 木村:小林龍二
同級生 安倍:増田朋弥
緑川先生:後藤ユウミ
和菓子屋店員:原扶貴子
営業一課 高杉:松島庄汰