「ハムレット」(Hamlet、1996)を見た。豪華絢爛。見て良かった。面白かった。
ウイリアム・シェイクスピアの四大悲劇のひとつ「ハムレット」を、チャールトン・ヘストン、リチャード・アッテンボローなど豪華なキャストを揃え、ケネス・プラナーの監督・主演で映画化。第69回アカデミー賞(1997)では「脚色賞」(ケネス・プラナー)「作曲賞」「衣装デザイン賞」「美術賞」にノミネートされた。
時代を19世紀に変えているほかは、台詞を1つもカットせずに4時間ほぼ原作をなぞっているといわれる。オリジナルとも言うべきローレンス・オリビエ監督・主演版(1948年版)を最近見ているのでわかりやすかった。
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ケネス・プラナーといえば「ローレンス・オリビエの再来」と言われたシェイクスピア俳優。「マリリン7日間の恋」(原題:My Week with Marilyn、2011) では、ローレンス・オリビエ役を演じた。2年前には「オリエント急行殺人事件」(原題:Murder on the Orient Express、2017) で監督・出演(エルキュール・ポワロ役)した。
ハムレットの恋人オフィーリア役のケイト・ウインスレットは「タイタニック」でブレイクする前年の作品で、当時20歳ながら非凡な演技派ぶりを見せていた。ほかにも「ドクトル・ジバゴ」のジュリー・クリスティ、「恋人たちの予感」のビリー・クリスタル、「ショート・カッツ」のジャック・レモン、「ジャック」のロビン・ウィリアムス、「俺たちは天使だ」のジェラール・ドパルデュー、「ヘンリー5世」「007」シリースの「M」のジュディ・デンチなど豪華な顔触れ。
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(あらすじ)19世紀のデンマーク王国、急死した国王の亡霊から、王位を狙う弟クローディアス(デレク・ジャコビ)に毒殺されたことを聞かされた王子ハムレット(ケネス・ブラナー)は、クローディアスの忠臣の娘で恋人のオフィーリア(ケイト・ウィンスレット)と別離し、復讐を誓う。
悲しみにくれるオフィーリアは命を落とす。クローディアスは不審な行動をとるハムレットを英国に追放し、部下に暗殺を指示する。しかし、オフィーリアの葬儀の最中、死んだと思われたハムレットが現れた。驚いたクローディアスはオフィーリアの兄レアティーズ(マイケル・マロニー)と決闘させる。ハムレットは毒の剣に傷つきながらもクローディアスを殺し、自らも息絶えた。
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比較的近代の19世紀に舞台が移され、豪華絢爛な屋敷や、登場人物の衣装が贅沢。オフィーリアがハムレットと親しそうにしていうことを知ったオフィーリアの父は、ハムレットが言葉巧みに近づいても騙されるだけだと、深い関係にはならないよう厳命する。父の話を頷いて聞くオフィーリアだが、オフィーリアの頭には、すでにハムレットと関係を持っているシーンが蘇る(急に官能シーンが登場するので見る者をドキリとさせる)。レアティーズとハムレットの剣による決闘シーンは迫力がある。
ハムレット役のケネス・プラナーの執念の演技が光っている。劇中劇で王を演じるチャールトン・ヘストンは貫禄充分。豪華俳優がみどころ。
主な出演者:
■オフィーリア:ケイト・ウィンスレット
■ボローニアス:リチャード・ブライアーズ
■ガートルード:ジュリー・クリスティ
■クローディアス:デレク・ジャコビ
■亡霊(ハムレットの父):ブライアン・ブレスド
■レアティーズ:マイケル・マロニー
■ホレイショー:ニコラス・ファレル
■フォーティンブラス(ノルウェー王子):ルーファス・シーウェル
■ノルウェー王:ジョン・ミルズ
■ローゼンクランツ:ティモシー・スポール
■レイノルズ:ジェラール・パルデュー
■墓掘り人:ビリー・クリステル
■鑑定人:ロビン・ウィリアムズ
■プリアモス:ジョン・ギールグッド
■劇中劇の王妃:ローズマリー・ハリス
■劇中劇の王:チャールトン・ヘストン
■マーセラス:ジャック・レモン
■ヨーリック:ケン・トッド
■ヘクバ:ジュディ・デンチ
「ハムレット」の4時間も長さを感じさせなかった。その豪華絢爛さ、印象の強さで好みとしては「ケネス・プラナー版」(1996)>「ローレンス・オリビエ版」(1948)か。