「L.A.コンフィデンシャル」(1997)を再見した。
”アメリカ文学界の狂犬”といわれるジェイムズ・エルロイ原作の「L.A.四部作」の3作目に当たる。「暗黒のL.A.」4部作は、発表順に①「ブラック・ダリア」(2006年映画化)②「ビッグ・ノーウェア」③「L.A.コンフィデンシャル」④「ホワイト・ジャズ」。原題の「L.A. Confidential」のコンフィデンシャルは「秘密情報」といった意味。
■アカデミー賞:
映画は第70回アカデミー賞で9作品にノミネートされ、作品賞の最有力候補だったが、同年の末に公開された「タイタニック」が11部門を受賞したため、わずかに助演女優賞(キム・ベイシンガー)と脚色賞の2部門のみを受賞。憎っくき「タイタニック」め!(笑)。
■内容:
1950年代を舞台にダイナーで元刑事を含む6人が惨殺された「ナイトアウルの虐殺」事件を捜査するロス市警(LAPD)の3人の活躍を描いた作品。ナイト・アウルは「夜のフクロウ」の意味の店名。なかなかいいネーミング。ロサンゼルス市警察(Los Angeles Police Department、略称:LAPD)は、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス市に本部を置く警察で、日本ではロス市警と呼ぶ。
「チャイナタウン」(1976)以降のフィルム・ノワールとしては最高峰といわれ1990年代を代表する傑作の1本とされる。暗黒で、血なまぐさく、いかがわしい人間が、暴力と権力をこれでもかと使い、徹底的に犯人をいたぶりながらも正義とは何かを追及していく物語である。
■簡略ストーリー:
1950年代のロサンゼルス。
マフィアの幹部であるミッキー・コーエンの逮捕をきっかけに、コーエンが手中に収めて手板裏社会の利権を巡り、血みどろの抗争が勃発。コーエンの部下が次々と殺され、彼らが手中に収めていた麻薬はいずこかへ消えて行った。
そんなある日、コーヒーショップ”ナイト・アウル”で客と店員が皆殺しにされる殺人事件が発生。被害者の1人は、血のクリスマス事件の責任を問われ市警を懲戒免職になった、元刑事のステンスランドだった。
彼の相棒であったバド・ホワイト巡査(ラッセル・クロウ)は復讐を誓い、昇進したばかりのエド・エクスリー警部補(英語ではLieutenant= 副官:ガイ・ピアース)、署で”ハリウッド・ジャック”と呼ばれているジャック・ヴィンセンス巡査部長(ケヴィン・スペイシー)とともに捜査を始めていく。
やがて犯人と思われる男の三人組を追い詰め、銃撃戦の末に三人はエドに射殺される。これで事件は解決したと思われたが・・・。
・50年代アメリカの完全再現に成功したプロダクション・デザイン。
・クライマックスの銃撃戦の迫力。
・「ブラック・ダリア」に負けず劣らずの陰惨な殺人現場のシーン。
・次第に明かされていく謎、ロロ・トマシ(登場人物)のトリック。
・プロとプロでしか分かり合えない友情、ある種の三角関係に陥るロマンス。
ノワールのジャンルにくくれないほどの多面的な魅力がたっぷり。
■主な出演俳優:
バド・ホワイト(ラッセル・クロウ):キレっぷりも半端ない。
ジャック・ヴィンセンス(ケヴィン・スペイシー):クールで洒脱。
ダドリー・スミス(ジェイムズ・クロムウエル):警部だが卑劣。悪徳。
リン・ブラッケン(キム・ベイシンガー):美貌の高級娼婦。
シド・ハッジェンス(ダニー・デヴィート):ゴシップ新聞記者。
ピアース・モアハウス・パチェット(デヴィッド・ストラザーン)
■スタッフ:
監督/脚本/製作:カーティス・ハンソン
製作総指揮:ダン・コルスラッド/デヴィッド・L・ウォルパー
製作:アーノン・ミルチャン/マイケル・ネイサンソン
脚色/共同製作:ブライアン・ヘルゲランド
撮影:ダンテ・スピノッティ/ジム・ミューロー(カメラ・オペレーター)
編集:ピーター・ホーネス
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
美術:ジャニーン・オッペウェール
スタント:リック・エイヴリー/ジミー・オルテガ/ジョーイ・ボックス/ボブ・ヘロン
ちなみに、映画にロス市警(LAPD)が登場する主な映画には以下のようなものがある。
『LAPD処刑分署』
『S.W.A.T.』
『カラーズ 天使の消えた街』
『クワイヤボーイズ』
『コブラ』
『スピード』
『センチュリアン』
『ターミネーター』
『チェンジリング』
『背徳の囁き』
『パニック・イン・スタジアム』
『ヒート』
『ブルーサンダー』
『プレデター2』
『リーサル・ウェポンシリーズ』