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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「カンパニー・メン」(2010)ベン・アフレック、ケヴィン・コスナー出演。

 
カンパニー・メン」(原題:The Company Men2010を見た。
出演者がケヴィン・コスナーベン・アフレックトミー・リー・ジョーンズと聞いては、期待度も上昇…のはずだったが。
 
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「2008年9月25日、月曜日は記憶に残る日になるでしょう」と史上最悪の金融危機のニュースを伝えるキャスターの声で映画は始まる。そして、さらに「シティ・グループは5万3,000人を解雇」というキャスターの声にかぶさるように、小さく「The Compan Men」のタイトルがでる。
 
 
リーマンショックで、巨大安定企業とみられていた会社「GTX社」に勤務していたボビー(ベン・アフレック)が、まさかのリストラにあい退職。再就職までもらえる再就職手当の期間は6ヶ月。
 
 
それまでに次の仕事を探さなければ、家族が路頭に迷ってしまう。
再就職支援施設に行ってみたが、就職先を斡旋してくれるものではなく、女性インストラクターがいて「気合で乗り切れ!」と檄を飛ばし、呪文のような言葉「私は必ず勝つ。なぜか?私には信念と熱意があるからだ」を全員で合唱するだけだった。
 
パティション(仕切り壁)の狭い空間で、個別の会社に自らが電話をかけまくる就職活動。日本のハローワークとは状況が少し異なる。日本では、パソコンから求人企業のなかから希望の会社を2,3件選び出し、ハローワークの職員に提出し、職員が求人状況を先方と確認したり、アポもとってくれるケースが多い。
 
ボビーは、電話での求人探しや、支援センターの精神論のやり方には苦笑いしするしかなく「こりゃ、なにかの宗教か」と見切りを付け、それでも無職になったことが周囲に知られるのが嫌で、無理して高級ゴルフコースに通ったり、BMWを乗り回すという始末
 
しかし妻からは「もうやめて」と迫られ、現実を直視し始めボビー。
家族を連れて妻の実家に帰省。妻の兄から家を建てるからと大工仕事を紹介してもらうが、ボビーの手伝い仕事を見て、義兄からはダメ出し。
 
ようやく、自分のプライドを捨てられるようになった頃、以前の給料の半分くらいで同じ仕事のオファーがやってきた。
 
その頃には建築業にも面白みを感じていたボビーは、迷いを感じるが、義兄が「君は建築は向いてない自分の向いてる仕事をし」という一言でオファーを受け入れることになった。
 
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会社の中の権力闘争とか、足の引っ張り合いとか、敵味方の醜い争いとか、はほとんど描かれず、リストラ社員のその後を平凡に描いたストーリーだった(笑)。
 
 
ケヴィン・コスナーは1980年代から1990年代始めの「アンタッチャブル」「ダンス・ウィズ・ウルブス」「JFK」の頃の二枚目でハツラツとした時代とは打って変わって、チョイ役の脇役で出演。田舎で、ペンキを塗って、大工仕事をして、平凡だが味わいのあるバイプレイヤーとして、存在感を出している。
 
トミー・リー・ジョーンズは、缶コーヒーおじさんではコミカルな宇宙人を演じているが、顔一面のシワシワが、年輪をにじませている。
 
 主演のベン・アフレックは、近年は「アルゴ」「ゴーン・ガール」などで活躍だが、どうもさえない世間知らずのボンボンというイメージが強い。
 
この映画では、ベン・アフレック演じるボビーは大企業で働いていたとか、MBAを取得している、などを自慢したげな安っぽい男だ。
 
郊外には豪邸を構え、高級車を乗り回し、職場に行くと、ゴルフの上達した腕前を自慢し、同僚社員に「いくつで回ったか当ててみて」というのが口癖。ほかの社員も、そんなことに付き合わされているのに辟易しているが、そんなことはお構いなしの能天気な男なのだ。
 
この映画のストーリーは「リーマン・ショックを機にリストラされたエリートサラリーマンが仕事や家族について見つめ直すヒューマンドラマ」ということだが、特に味付けもなく、そのとおりで、それ以上でもそれ以下でもない(笑)。
 
 
この映画では、ボビーの他に2人の社員もクビになり、3人のそれぞれの家庭が描かれる。そのうちの1人、フィル(クリス・クーパー)の言葉で「自分ひとりがいなくなっても、新聞は毎日届く。スプリンクラーは6時には締まる。隣の住人は、毎日曜日には洗車している」と、会社人間など小さな歯車の一つと言ったところか。
 
大企業に勤めていたとか、昔は給料はこうだったとか、所属組織・会社=自分の価値と勘違いしている人間が世の中には多いが、そういった組織、肩書きを一切取り払っときに、その人の価値はあるのかもしれない。
 
お暇なら見てね、という映画だった。
 
★★
 
 
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