ロバート・レッドフォードとブラット・ピットが共演した「スパイ・ゲーム」(2001)を見た。ブラッド・ピットは、レッドフォードが監督した「リバー・ランズ・スルー・イット」(1992)で俳優として注目されたが「スパイ・ゲーム」ではレッドフォードと師弟関係のような役柄で、新旧二枚目俳優の共演で話題となった。
当時、レッドフォード65歳、プラピ37歳で、プラピは若いが、レッドフォードはさすがに老けた印象(「明日に向って撃て!」当時は33歳だから無理もないか)。
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1991年春。
伝説のCIA工作官、ネイサン・ミュアー(ロバート・レッドフォード)は、あと1日で引退を迎えようとしていた。引退の日を平穏無事に迎えるかに見えたが、ミュアーの友人でCIA香港支局長のハリー・ダンカンからの電話により、手塩にかけて育て上げた工作官のトム・ビショップ(ブラット・ピット)が中国でスパイ容疑で逮捕されたことを知る。
本来ビショップはダンカンが指揮をとっていた米中通商会談の盗聴作戦に従事するはずであったが、許可なく中国人協力者を指揮して蘇州刑務所に侵入していた。
米中関係の親密化を優先するホワイトハウスの意向で、CIAはビショップを見殺しにしようとする。CIA本部ではミュアーの同期であるフォルジャー工作担当次官が座長を務め、ビショップが無許可で作戦を遂行した理由を調査していた。
感電して死んだふりをしたトムは、システムが感電で落ちている間に囚人のエリザベス・ハドレーを救出しに行く。途中で出会った囚人にガムをやったりして、トムらの脱出が監視員たちに気づかれてしまい、トムは逮捕され拷問されることになる。
出勤したミュアーは、同僚のハーカーからトムの資料を渡すように言われるが、いくつか資料を抜き取って秘書に燃やすよう指示をする。
CIA副長官のトロイなどが出席する会議で、ミュアーはトムについて話しを始める。彼らはトムについての資料を完璧にそろえようとしていた。トムが処刑されるまで、あと24時間と迫っていたのだが・・・。
腕利きのスナイパーが木端微塵になって、腕の立つ元ボーイスカウトのトムが抜擢されることになる。それがミュアーとトムとの出会いだった。
秘書からミュアーの部屋を調べられていると連絡が来る。
資料を取ってくると言って、ミュアーは部屋に戻る。
会議に戻って、トムをCIAに誘った時の話しを始める。
西ドイツにトムを派遣させて、わざと孤立状態にさせる。偶然出会ったフリをしたミュアーが現れて、母国語でCIAに誘う。それからスパイ活動の特訓がはじまる。
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この映画は、ロバート・レッドフォードがブラッド・ピットの引き立て役にも見えてくる。
ピットが若いが、拷問にも耐える不屈の精神力を見せる。
映画のキーにもなっている「ディナー作戦決行」(Operation Dinner Out)というのが面白い。中国人の賄賂(袖の下)やお金に対するがめつさも笑わせる。
中国人に10万ドルというと「30万!(中国式発音:サン・スー・マン)」と釣り上げる。中国人たちは、テレビの水着姿の女性に釘付けになっているが、結局282,000ドルで落ち着く。
この282,000ドルは、トムが収容されている刑務所のシステムダウンを図るというもの。282,000の送金を知られ、翌日のCIA長官を交えた会議で、282000ドルの使い道を聞かれたミュアーは、南国のパンフレットに書いてある物件を見せる。
その金額は282000ドルで、汚染援助にも協力したいと語るのだ。
このあたりはユーモアがあって面白い。
その頃、トムとエリザベスが軍に救出される。「ディナー作戦」が成功したことが分かる。ミュアーは最後の出勤を終えて家に帰る。その後、長官たちは中国で事件が起こったことを聞いて顔が青ざめる。
トム・ビショップとネイサン・ミュアーの出会いから、ネイサン・ミュアーがトム・ビショップをスパイとして育てていく過程が面白く、一方で決して冷酷なCIAの色に染まらない人間味溢れるトム・ビショップがカッコイイ描かれ方をしている。
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場面がコロコロ変わる。
一度ならずもう一度見たくなる映画だった。
☆☆☆☆