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<span itemprop="headline">映画「ニューヨークの巴里夫(パリジャン)」(2013)</span>



フランス映画祭」(9月17日~9月24日、さいたま市民会館おおみや)の最終日のきょう「ニューヨークの巴里夫パリジャン」(原題:CASSE-TETE CHINOIS/CHINESE PUZZLE、2013)を見た。

フランス映画祭では10作品が上映されたが、映画4本の鑑賞とトークショーに参加。この映画は2014年12月6日よりBunkamuraル・シネマほかで全国公開された。

この映画で飛び交う言語は、フランス語、英語、中国語、スペイン語など・・・。
それらが要所要所で”効果的に”使われている。

セドリック・クラピッシュ監督が「スパニッシュ・アパートメント」「ロシアン・ドールズ」に続いて、ロマン・デュリス演じるフランス人青年グザヴィエの悩み多き人生を綴ったシリーズ完結編。共演は「ムード・インディゴ うたかたの日々」のオドレイ・トトゥ、「ヒア アフター」のセシル・ドゥ・フランス



一応はフランス映画だが、フランスだけの資本で映画が製作されるのはまれで、この映画もフランス、アメリカ、ベルギーの合作である。

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ウディ・アレンが、ニューヨークを題材にした映画から、ヨーロッパをテーマにした題材に移り、パリ、バルセロナ、ロンドンを舞台にした映画を次々に生み出したが、「ニューヨークの巴里夫(パリジャン)」は、逆に、フランス人監督がアメリカ(ニューヨーク)を欧州の目からみた視点で描いているところがハリウッド映画と違って面白い。

アメリカはあらゆる移民を受け入れ自由と思われているが、実はそうではないという点も描かれている。例えば、アメリカ人として生まれたアフリカ系アメリカ人(平たく言えば黒人)の職場に、フランス人が友人の紹介で仕事の面接に行くと、アフリカ系アメリカ人からは、ことばもロクに話さない”ガイジン”をなぜ使うんだと採用担当者にクレームを言うのだ。

また、観光ビザで入国した主人公のフランス人が、弁護士のところに相談に行くと、アメリカ人女性と結婚することだ、50,000ドルで紹介する、などという始末。アメリカの弁護士は「(弁護士は違法なことを合法にするのが仕事だ」と悪びれずに言うのだ。

アメリカでは、石を投げればロイヤー(弁護士)に当たるといわれるくらい弁護士の数が多く、訴訟社会といわれるゆえんかもしれない。映画の中でも出てきたが、弁護士に電話相談すると、大体の相場は1時間200ドル(約2万円)で、電話の会話がスタートした時点で、ストップウオッチで時間を測るのだ。

弁護士は、相手が窮地に陥っている時に「Catch-22(=八方ふさがりの状態)に陥っていますね」と言っていた。いや、懐かしい。あのブラック・コメディ映画「キャッチ22」(原題:Catch-22, 1970)を思い出す。



                        
40歳になったグザヴィエ(ロマン・デュリス)は、妻ウェンディ(ケリー・ライリー)と2人の子どもに囲まれ、小説家としてパリで順調な生活を送っていた。だが、かつての留学仲間でレズビアンのイザベル(セシル・ドゥ・フランス)から頼まれて精子提供したことがウェンディに知られ、気まずい雰囲気に。その上、ニューヨーク出張から戻ったウェンディが“好きな人ができた”と衝撃の告白。子どもを連れて恋人の元へ引っ越して行ってしまう。



淋しい独り暮らしを送るグザヴィエだったが、“子どもをセレブの学校へ通わせたい”というウェンディの相談に、“教育方針が合わない”と激怒。恋人のジュー(サンドリーヌ・ホルト)と暮らす妊娠中のイザベルを頼ってニューヨークへ向かう。

だが、ウェンディと子どもが暮らす家を訪れてみると、そこはセントラルパークを見下ろす超高級アパート。ウェンディの恋人ジョン(ピーター・ハーマン)は、ウォール街のやり手金融マンで、子どもたちも優しいいい男だった。
片言の英語しか話せないグザヴィエは惨めな気分に陥るが、子どもたちと一緒に過ごそうと、しばらくニューヨークで暮らすことを決意。ビザ取得の相談に訪れた弁護士からは“定職に就くこと”、“可能であれば偽装結婚してグリーンカードを手に入れるように”とのアドバイスを受ける。

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アメリカでは外国人の労働ビザを持たない不法滞在を無くすために、移民局では、申請などに不正(偽装結婚など)がないか厳しく目を光らせているわけだが、この映画の移民局の年配の面接担当者の”執拗な”追及はすさまじい。嘘は絶対に見破るという、ごまかしはきかないぞ、という顔つきをしているのだ。

グザヴィエは、弁護士のアドバイスに従って、中国系の女性と結婚したことにしたため、まず二人が笑いながら楽しく過ごしている、といった写真を何枚も撮り、アルバムを作る。相手の親兄弟の協力も得て、全員の集合写真も撮る。念には念を入れて、移民局に書類を提出に行く。

面接官から鋭い質問が。「知り合ったきっかけは?」「どちらが先に声をかけたか」「新婚旅行はどこへ」「ホテルの名前は」「何泊した」「料金はいくらだった」「楽しかったか」まで踏み込むところもすごい。一瞬ためらった表情も見逃さない。「今の顔は何の意味だ」とツッコミが入る。

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一人の男と4人の女の関わりと、書こうとしている小説と現実とのはざまなどで格闘する主人公(巴里夫=パリジャン)の奮闘ぶりなどをユーモアなどで描いている。現実はハッピーエンドで終わる方向なのだが、小説のほうは、出版社では、悲劇にしてくれと注文をつけるのだが・・・。

アメリカ人は当然のことながら英語を話し、外国人であるフランス人に英語で話してくるが、主人公のフランス人グザヴィエは片言の英語しか話せない。ここで、コンプレックスを感じてしまう。言いたいことも十分に言えないので、相手から見たら、ことばの面で子供扱いされているのではないかと思いめぐらす。日本人も同じことが言えるかもしれない。昔からある”外人(特にアメリカ人)コンプレックス”だ。

ドタバタ・コメディの部分もあり、レズビアンの描写も多く(ユーモラスではあるが)、観客を選ぶ作品かもしれない。文化の違い、ことばの違いなどから起こる誤解もあるが、オドレイ・トトゥが、中国人の経営する大会社の中国人重役を前に行ったプレゼンで、「知らないことはいうな」とくぎを刺されたが、ある中国の著名な格言を暗記していたのでそれを披露したところ一斉に重役たちから拍手が起こり、形勢が逆転するというのも面白かった。

  予告編

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