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<span itemprop="headline">映画「ザ・プレイヤー」(1992)ロバート・アルトマン監督の痛烈ブラック映画。</span>





ロバート・アルトマン監督の「ザ・プレイヤー」(原題:The Player、1992)をようやく見たが、ハリウッド映画界の内幕を扱った痛烈な皮肉に満ちたブラック作品だった。実に面白く、文句なしの☆☆☆☆だ。

”映画ファンを唸らす映画!”

20数年前に公開された時に見逃していたが、これほど映画ファンをワクワク、ゾクゾクさせる映画だとは思わなかった。

情婦」「卒業」「ロープ」「自転車泥棒」といった有名映画のエピソード、「カサブランカ」の映画ポスター、ロッド・スタイガーハリー・ベラフォンテ、マルコム・マクダウエル、バート・レイノルズ、シェール、アンジェリカ・ヒューストン、テリー・ガー、ジュリア・ロバーツといった俳優たちが数十人も本人役でカメオ出演しているのも驚きだ。


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物語の冒頭は、オーソン・ウェルズ監督の「黒い罠」(原題:Touch of Evil、1958)を彷彿とさせる、8分余りもある長く複雑な移動撮影を駆使したワン・カットで(つなぎなし)始まるというシーンにまず目を奪われる。

この始まり方は、アルフレッド・ヒッチコック監督の「ロープ」(原題:"Rope、1948)へのオマージュと言われている。

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主人公はハリウッドの大手スタジオのエグゼクティヴであるグリフィン・ミル(ティム・ロビンス)。ミルの仕事は様々な脚本家や作家(ライター)から映画のアイデアを聞いたり脚本を読んでは、それらの中からどれを実際に映画化するかを決定すること。

ミルによると、映画用の脚本の売り込みの電話は一日平均125件もあり、この電話の本数が100件を下回ると、自身の首が危ないのだという。年間を通して約5万もの企画がある中で、選び抜かれるのはたった12本程度だ。

ミルは多忙に職務に励み、一方で映画ストーリーの編集者であるボニー(シンシア・スティーヴンソン)という恋人と裕福な私生活を謳歌している。しかし、そんなミルの気にかかることが二つほどあっった。

その一つは、20世紀フォックス社から引き抜かれた大物プロデューサーであるラリー・レヴィが、安泰と思われていた彼の社内での地位を脅かしつつあること。

もう一つは、ミルに企画をボツにされた脚本家と思わしき人物から、命を奪うというような内容が記された謎のポストカード(脅迫)が繰り返し送られ続けていることだった。



ミルはそれらの脅迫状の送り主が、ケヘインという名の脚本家だと推測し、彼と会って話し合おうとする。だが、ケヘインは脅迫状など送っていないと言い、とあるバーの駐車場で二人は口論となり、ミルは誤ってケヘインを殺してしまう。

ミルは泥棒の仕業のように現場に細工をして立ち去るが、ケヘインの自宅を訪問した際にジューン・グッドマンズドータ(グレタ・スカッキ)という名の彼の恋人に、ケヘインの居所を尋ねてしまっていた事実が気にかかっていた。

翌日、ミルのもとに新たな脅迫文の書かれたポストカードが配達されてくる。
死ぬ前にケヘインが送ったものなのか?ミルはケヘインの葬儀にも何食わぬ顔で参列し、そこでジューンと再会する。

ジューンがミルを疑っている様子はなかったが、警察の刑事たちはミルが犯人ではないかと目星をつけていた。それからも脅迫ポストカードは届き、ミルの車の中に送り主によって毒蛇が入れられるという事態まで発生。やはり、ケヘインは脅迫者ではなかったのだ。

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ハリウッドの製作会社の内幕という点で、様々なエピソードが面白かった。
「卒業」(1967)の25年後の3人(ベン、エレーン、ミセス・ロビンソン)を描いた「卒業 Part II」は、ベンとエレーンの間には子供がおり、結婚生活を続けているが、ミセス・ロビンソンは脳の病気で寝たきりになっている・・・”その後”というシチュエーションでどうか、など。

3億ドルものヒットを飛ばした「危険な情事」(原題:Basic Instinct, 1987)は、試写の段階で、観客の反応により、ラストを書き直したのだが、ヒットさせたのは観客だという。

新しくスカウトされた役員は、これまでのような100万ドルも脚本家に支払うのはムダだとして、スタッフに新聞の記事などから、映画のネタを考えさせようとするのだ。これにはさすがにミルも「脚本家(ライター)を外して映画を撮るというのはユニークな考えだが、いっそのこと、監督と俳優も外したらいい」と痛烈に反論するのだった。

ネタバレになるが、殺人を犯した映画会社の重役(最終的には社長になった)が、事件の起きた地元のパサディナ警察のウッピー・ゴールドバーグ扮する警察幹部の追求をかわして、逃げおおせてしまうというのも、皮肉といえば皮肉である。

ウッピー・ゴールドバーグは、うちの署はヘマはしない。ロス警察はヘマをするが、というシーンも面白い。ウッピーのミルへの質問は、ジューンとの関係についてだが、あまりにもダイレクトな質問で驚かされる。ミルの反応は、いかにもムキになって反論するので、周りの警察官などの失笑は露骨で、この時のミルの目のアップが強烈だった。

ミルの車の中に、嫌がらせで、毒蛇が投げ込まれていたシーンがあるが、蛇が苦手(fpdも含めて)という人には、ちょっと・・・というシーンもある。

さりげないシーンだが、オフィスの若い新人女性が、外部の電話対応で「xxは留守にしております」と答えると、女性のベテランの上司は「留守ですはダメ。会議中というのよ」だった。

映画のあちこちで、セリフや場面でニヤリとさせられるシーンが多く、エンターテイメント映画として面白かった。

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