アラン・ドロン主演の「黒いチューリップ」(原題:La Tulipe noire、1963)を見た。
DVDで見たが、最近4Kブルーレイ化されており、そちらが圧倒的な画質で素晴らしいようだ。フランス革命迫る動乱の時代を背景に、貴族を罰し庶民を助ける神出鬼没の快盗“黒いチューリップ”の活躍を描いたアクション。
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最近、「太陽がいっぱい」スペシャル・エディションの特典ディスク「『太陽がいっぱい』とアラン・ドロンの世界」の中に収録されているアラン・ドロンの吹き替えで有名な野沢那智が、ドロンの映画でどれが好きかというインタビューで、「黒いチューリップ」を一番先に挙げていた。
1970年代半ば以降はドロン=野沢那智が定着したようだ。
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映画は字幕版で見たが、フランスの時代背景を説明するナレーションで始まった。
「フランス革命では多くの英雄が誕生。殉教者や聖者たち。この素晴らしい物語は、驚くべき洞察力によって、歴史の影に隠され かつてその存在も ー 知られていなかった人物を紹介してくれる。歴史上無視され続けて来た人々の中にいる偉大な人物を、映画は時代をめぐって探る。この物語は、歴史の闇を切り開き、隠された偉大な人物たちの真の姿を映し出すのだ。まさにいざ始まらん・・・。」
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時は、1789年6月。7月14日のフランス大革命も、9月の大虐殺もまだ先の出来事だ。だが、パリでは、人々は動揺し怯えていた。 なぜならフランス各地で革命の兆しが芽生えていたからである。反乱を企てている者は誰か。貴族たちを脅かしているのは誰か?正義のために行動を起こしているのは誰だ?当局は、この男の首に賞金を賭けた。だがそれもむなしい。当局には力がない。恐怖に怯えた貴族たちは、大急ぎで、略奪品をまとめ逃げる準備ばかり・・・。男爵殿、ご機嫌よう。勇敢な人物がこれを見守る。その男こそ”黒いチューリップ” この名前を忘れないで。歴史上の英雄だから。 黒いチューリップ。 愛馬ヴォルテール。
・・・ここでタイトルバックとなる。
王政が崩れるのも時間の問題だった当時のフランスでは、親族たちが身辺整理を行い、財産を持ってオーストリアなど近隣の国外越境を試みようとしていた。
美貌の三流貴族ながら、剣の達人でもあるジュリアン(アラン・ドロン)は、普段は貴族の女性にモテモテの堕落した生活を送り、裏では、越境しようとする貴族たちを狙い金品を奪う義賊「黒いチューリップ」として暗躍していた。
しかし彼の活躍ぶりは、憲兵隊長に目をつけられ、ジュリアンは憲兵隊長との一騎打ちの末に顔に傷をつけられる。ジュリアンは、自分と瓜二つの弟で革命に燃えるギヨーム(アラン・ドロン2役)を呼び寄せ、自分の身代わりを務めさせようとするのだが、ギヨームは、顔こそ似てはいるが、剣の腕もまだまだで、兄とは考えも全く違う。
ギヨームは、兄になりきるために、男勝りな彼女カロリーヌ(ヴィルナ・リージ)から剣の手解きを受けるのだが、全く彼女に敵わない。
兄・ジュリアンからも、これで代役が務まるのかと、半ばため息をつかれるが、ギヨームは、あえて兄になりきろうとするのだが・・・。
弟ギヨームは、兄ジュリアンの代役が務まるようになり、黒いチューリップとして活躍できるようになった頃、憲兵隊長に捕まり、絞首刑を言い渡されてしまう。
しかし元々、弟を代役に呼んだのは兄ジュリアン。
ジュリアンは責任を感じ、刑執行前に弟と入れ替わり自分が刑を受ける。
ジュリアンは責任を感じ、刑執行前に弟と入れ替わり自分が刑を受ける。

勝ち誇ったかのように演説する憲兵隊長の前に、派手に現れたのは、黒いチューリップの装束のジュリアン。全てを兄になりきった上で、革命の闘士の頂点に立ったジュリアンは、憲兵隊長を愛馬ヴォルテールに追いかけさせて、憲兵隊長を殺してしまう。
そしてラストは、革命を影で支えてくれた僅かな王族、そして庶民とのダンスの中、ジュリアンとカロリーヌが踊る姿で幕を閉じる。
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アラン・ドロンの2役は、今なら合成技術などが進歩していて、CG処理が可能だろうが当時としては、二人が登場している場面も多かったが、とくに違和感は感じなかった。ドロンの剣のさばきや動きも自然で堂にいっていた。
ヴィルナ・リージは、デビュー作「エヴァの匂い」(1962)に続く2作品目で当時28歳だが、美貌が目立った。ヴィルナ・リージの作品は、リアルタイムで劇場で見た「雨のエトランゼ」(1971)「エスピオナージ」(1972)などが印象に残る。
「黒いチューリップ」(原題:La Tulipe noire)
公開日:1963年
公開日:1963年
制作国: フランス/イタリア/スペイン
上映時間:110分
監督:クリスチャン=ジャック
原作:アレクサンドル・デュマ
音楽:ジェラール・カルヴィ
カメラ:アンリ・ドカエ
キャスト:アラン・ドロン、ドーン・アダムス、ヴィルナ・リージ
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