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<span itemprop="headline">映画「さんかく」(2010) イタイが面白い!</span>



さんかく」(2010)を見た。
かなり”ツボ”にはまった映画。登場人物はほぼ3人。

2年も同棲していた女(29歳)を振って別れた男(30歳)が、その後もその女からのストーカー行為にうんざりするが、実は自分もほかの中3女子(15歳)(同棲していた女の妹)にストーカーと同じことをしていたというストーリーテリングのうまさに引き込まれた。振り返ると、自分が追いかけていたその中3女子も、映画の冒頭で卒業した先輩にストーカーまがいのことをしていた! 

田畑智子が、勘違いで、しつこく、おめでたい、”面倒くさい女”を上手く演じている。
たしか、ひろちゃんが「さんかく」の田畑智子はいい、と言っていたようだ。

別れた男・百瀬(高岡蒼甫)のアパートに留守中に侵入し、「片付けができないひとだから」と掃除して、冷蔵庫の中身も”わからないように”補充したりするのだが、不審に思った百瀬は、隠しカメラを備えておき、テープを証拠に持って、警察に届ける。”国家公安委員会”の「禁止命令」を出しましょうかと警察官が言う始末。

・・・
他人から(異性から)好かれるのは、誰でも嫌ではないだろうが、この映画の主人公の佳代(田畑智子)の場合は、2年も同棲している30男・百瀬(通称ももちゃん、高岡蒼甫)にとっては、口うるさく、ヒステリーっぽい性格のようで、うざく感じるだろう。

百瀬という男には、たいていの男(fpdも含めて)は、自然と感情移入させられて、物語は進行する。ところが最後には、相撲の”うっちゃり”のようにどんでん返しがあった! 現実を知って、”しまった!”と思うのである。

登場人物は、ほぼ3人。タイトルの「さんかく」は、三角(△)だが、三角関係というよりも、3人の登場人物が微妙に向いている方向がずれているという意味に取れる。

この映画は、オープニングから引き込まれる。電車の中で、若い女性がパンツも見えそうなくらい露出のある服装で、居眠りして隣の男の肩を借りて眠っている。


これがこの映画の主人公の一人・桃(小野恵令奈元AKB=写真)で、一度は目を覚まして起きて謝るが、今度は反対側の男のほうに傾いて、肩を借りるが、電車の揺れで後ろの窓にゴツンと頭をぶつける。

一転して、都内で桃が待ち合わせをしていた中学の時の片思いの先輩の男と会って食事をするが、相手は桃の苗字も間違えるし、ディスニーランドの誘いも「彼女がいるので、二人で行くのはまずいでしょ」とあっさり断られる。

桃は、姉の佳代(田畑智子)のもとに転がり込むことになるが、そこには同棲中の百瀬(高岡蒼佑)がいた。百瀬は、佳代とは違って、可愛く屈託のない桃にだんだん惹かれていく・・・。




桃は結局、実家に戻ることになるが、百瀬は佳代とは別れても、桃とはつながっていたいと電話で翌日話をする。ところがそれ以降、何度電話しても、桃の携帯は留守番電話になっていて繋がらなくなってしまう。

百瀬に感情移入しても、まさか桃に会いに車で実家まで乗り込むというのは、と思うがそこまでは、ありかも。

実家に着いた百瀬は、とんでもない事態に直面することに・・・

最後に一気に覆される事態になるので「15歳のコドモ(女の子)の気持ちなどそんなもの」となるのである(笑)。

・・・
百瀬は佳代と別れたあと、アパートを借りていたが、ドアにマネキンの切られた首がつる下げてあったり、アパートの窓が割られたりしていた。実は、これらは佳代の仕業ではないこともわかる。佳代は、唯一の女友達の頼みで、その上司まで自宅に勧誘に来るマルチ商法に巻き込まれたりするエピソードもある。

一方、百瀬が桃の実家を見張っていると、桃が同級生の男の自転車の後ろに乗って現れる。ここからの展開が、痛快であり、イタイ(笑)。

以下、ネタバレ(↓:反転)。これから見る人はスルーに。
自転車に乗っていた男は、桃にかかってきた一日十件もの留守番電話について知っていた。目の前にいる男が、ストーカー男と知るや、「てめぇ、これ以上桃に近づくと、マジでぶっ殺すからなといい、(柔道部に所属しているようだ)背負い投げで2,3度、百瀬を放り投げる。「弱い人にこんなことをしちゃあダメだよ」という桃の声が聞こえる。

百瀬は、東京の佳代のアパートで何日か一緒に暮らした時に、一度だけ桃とキスをしたことがあり、自分に気があるものと思い込んでいたので、桃が、留守電を迷惑がっており、「あの時のことは?」ときいても「わからない」を繰り返し「15歳ですよ。子供ですから」だった。そこで、ようやく百瀬は、「自分はバカだった。どうしようもないバカだ」と地面にしゃがみこむのだ。

車の中でひと晩過ごした百瀬が、東京に帰ろうとすると、向こうから佳代が歩いてきた。佳代は、突然東京のアパートを払っていなくなったので、百瀬が心配をして、”わざわざ”東京からやってきたものと思い込む。私に愛情があるのか。気が変わったのか?・・・と一瞬、思う。

そこに、きのう百瀬を投げ飛ばした中学生が通りかかった。
その中学生は、百瀬に向かって、「この桃のストーカー野郎、まだいたのか!」と吐き捨てる。これを聞いた佳代は、頭が真っ白。

佳代、百瀬、桃の3人が、三角形になったように立つ。
佳代、百瀬の口から何か言葉が発せられるのか・・・。

わずかに佳代の表情に笑みらしきものが・・・。

・・・
ドラマの良し悪しは脚本、セリフの流れ、言葉のセンスなどが大きい。
そういった意味では、百瀬のセリフなどは、説得力があった。
佳代が、まさか相手が別れるとは言わないだろうという思い込んで「別れてもいい」という言葉を発してしまうが、百瀬は「ヒトを試すように”別れる”などという女は嫌いだ」、親友だから、嘘を言うはずがないと怪しい高麗人参のセールスに「マルチに引っかかりやすい、おめでたい人間だ」というのは、相手の態度、商法を見ていても明らかで、正論だ。

低予算映画で、セリフだけの限定されたシチュエーションのみながら、邦画の面白さを感じる。大島優子もチョイ役(気がつかないくらい)で出演している。

監督は純喫茶磯辺」の吉田恵輔
「さんかく」では、主要人物の3人を、ダメ人間として描いている。
百瀬は自分の似顔絵を愛車にペイントし、桃を相手に昔の喧嘩を自慢するという、絵に描いたようなダメ男ぶり。30歳になってもアルバイト店員で、後輩に偉そうに振舞うので嫌われているが、それに気づいていない。桃が電話に出なくても、延々と携帯に留守番電話を入れ続ける。

佳代は友人からマルチ商法に誘われても疑わず、百瀬が出て行くと、嫌われても延々と後を追い、自殺まで企てる。桃は、純朴に見えたが実は、計算高く利己的で、15歳にして女のズルさが身に付いている。


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