「イン・ザ・ヒーロー」(2014)を見た。MOVIXさいたまにて。
唐沢寿明が主演という以外はまったく予備知識なしで見たので、予想以上に面白かった。映画の撮影現場、裏方の仕事なども映し出されるので、映画ファンには興味深い映画となっている。
「イン・ザ・ヒーロー」は、特撮作品などで、ヒーローや怪獣のスーツ、着ぐるみを着用し演技をするスーツアクターを題材にしたヒューマンドラマ。
唐沢寿明は、無名時代に、数年間スーツ・アクターの経験があるといい、今回の映画では、走りや、アクロバティックな動きや、チャンバラの殺陣を見せる。これが圧巻で、あの「十三人の刺客」や「キル・ビル」も真っ青のすさまじい殺陣は見ものだった。俳優も、身体が資本ということがよくわかる。唐沢も現在51歳だが、身体を鍛えぬいているようだ。
下落合ヒーローアクションクラブの社長にして、その道25年のスーツアクターである本城渉(唐沢寿明)。数年ぶりにヒーロー番組の劇場版作品に出演した彼は、一ノ瀬リョウ(福士蒼汰)という人気若手俳優と出会う。
ヒーロー番組に敬意を払わないリョウと対立するも、ある出来事を契機に本城は彼と絆を育むようになる。そんな中、日本で撮影中のハリウッド大作で、落下して炎にまみれながらノーカットで殺陣を繰り出すクライマックスに出演する予定だった俳優が、恐れをなして降板。慌てたスタッフは、本城の評判を聞き付けて出演をオファーする・・・。
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スーツ・アクターは和製英語で、海外では、スタントマンかせいぜい、スーツ・パフォーマーというようだ。アクション映画などで、火の中に飛び込んだり、高いところから落下したり、決して映画の中で名前の出ない地味な仕事だ。
この映画で、ハリウッド映画に出て、アカデミー賞を受賞して、スピーチするのが夢という若い俳優・一ノ瀬リョウ(福士蒼汰)は、20歳そこそこで、礼儀もわきまえず、生意気で、嫌な奴として登場するが、やがて、スーツ・アクターのベテラン・本城渉(唐沢寿明)の人間性・生き方に共感していく。
この一之瀬は、突っ張っているように見えるが、家では、母が家出し、幼い弟や妹がいて苦労もしている。アカデミー賞の授賞式でスピーチをしたいというそのわけも明らかにされる・・・。
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唐沢がハリウッド映画で一世一代の演技を見せ、骨折、入院したことが縁で、またよりを戻すことを予感させた。
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本城渉(唐沢)が、アクションの道を選んだのは、ブルース・リーに憧れたからで、日本人にはアクションスターがいないという通説を覆したかったからだった。
劇中登場するハリウッド映画の韓国人監督は、アクション映画で、「ワイヤーなし」「CGなし」にこだわるあまり、香港の有名スターが降板し、その代役で本城に依頼が来たのだった。
元妻などの反対を押し切って出演した本城は果たして・・・。
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本城渉のアクションクラブの所属員の中には「夢は持ち続けても、かなう人とそうでない人がいる」と退団を申し出る人間もいたが、「夢はかなう」を本城が体現してみせた。
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本城のセリフの中で、メキシコでは、「日本人のことをミフネと呼んでいる」という言葉から、いかにミフネ(三船敏郎)の存在が大きかったかがうかがえる。
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