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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「KT」(2002、日・韓合作)・・・金大中事件を描くサスペンス。</span>


 
 
映画「KT」(2002)は、阪本順治監督の日韓合作映画。
 
1970年代初め、日本で起きた”金大中”誘拐事件を題材にした政治サスペンス映画。KTは、金大中の頭文字。
 
1970年代初めの世相が描かれて興味深かった。
★1973年、金大中ボディガードを任された若者・金甲寿(筒井道隆)が実家の理髪店に戻ると、理容師の母(江波杏子)に、「髪が長いから切ってやる。(長髪の)ビートルズは床屋の敵だよ」というと、「ビートルズは3年前に解散したよ」と甲寿が返す。
★「暗殺は、ジャッカルのように頭を狙ってくるのだろうか」「プロの殺人者が撃ち損ねたのは、ドゴールがお辞儀をしたからだ」。フランスのドゴール大統領暗殺(未遂)を描いた映画「ジャッカルの日」の公開は1971年。
★新聞記者の神川(原田芳雄)が原稿を書いていると、同僚から「吉永小百合の結婚パーティが3日後にあるよ」と声をかけられる。「どこだっけ、京王プラザか」といった会話が飛び交うのだ。小百合の結婚は1973年。
 
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1971年4月に行われた韓国大統領選挙は僅差で朴正熙の三選が決まり、敗れた野党候補の金大中は、朴正熙大統領の地位を脅かすことが明らかとなった。金大中は日本を訪れるが、その時朴大統領は非常戒厳令を宣言し、反対勢力の弾圧に乗り出した。追われる金大中と追う当局の戦いが始まるのだった。
 

 
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1973年8月8日、日本に滞在していた韓国の野党リーダー、金大中(後の韓国大統領)が何者かによって拉致され、5日後、ソウル市内の自宅前で目隠しされ、傷だらけの状態で発見された・・・。
 
映画は、この”空白の5日間”に起こった事件を描いている。
 
1989年に「どついたるねん」で監督デビューした阪本監督は、年に1本のペースで映画を撮り続けているが、近年では「亡国のイージス」(2005)「行きずりの街」(2010)
大鹿村騒動記」(2011)「北のカナリアたち」(2012)現在公開中の「人類資金」(2013)などがある。
 

 
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KT」は、韓国のKCIAが、日本に滞在している韓国大統領の政敵・金大中の暗殺を秘密裏に命令された実行グループが金大中をホテルから拉致する様が描かれる。
 
19736月、朴軍事政権下の韓国から亡命し、日本で故国民主化の為に精力的な活動をしていた金大中を拉致暗殺せよとの至上命令を受けた駐日韓国大使館一等書記官・金車雲らは、いよいよそれを実行に移そうとしていた。
 
名付けてKT作戦。その作戦に、朴大統領と陸軍士官学校時代から繋がりを持つ自衛隊陸上幕僚二部部長・塚田(大口広司によって、民間興信所を開設しKCIA(韓国中央情報部)にサポートするよう命じられた陸幕二部所属の富田(佐藤浩市)は、様々な手を使って金大中の行方を追うが、その度に、大使館内部の密通者に偽の情報を掴まされてしまう。
 
そんな中、彼は金大中の取材に成功していた夕刊トーキョーの記者・神川(原田芳雄に接近し、遂に金大中89日に自民党で講演を行うとの情報を入手。報を受けた金車雲は、それを機に作戦を実行しようとする。
 
ところが、またしてもその計画が漏洩し、神川を通して週刊誌にスクープされてしまった。この事態に、KCIA金大中が講演の前日に日本滞在中の民主統一党党首・梁宇東を訪ねる機会を狙って、強行手段に打って出ることに。
 
そしてそこには、自衛隊関与の疑惑を恐れた上官から一切手を引くように言い渡されながら、想いを寄せる韓国人女性・李政美の手術費用を協力費として金車雲から受け取った富田の姿があった。
 
予想外の展開があったものの、金大中拉致に成功する金車雲たち。彼らは、用意してあった船で故国へと走り出すが、アメリカの要請を受けた自衛隊によって計画は阻止されてしまうのだった。
 
その後、上官から退官を命じられた富田は、金車雲を心配して全てを神川に告白。李政美と田舎で暮らすそうとするが、一発の銃弾によって命を奪われる。
 
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ラストはあっけなくも衝撃的だった。
 
拉致グループの一人に扮した光石研のほか、自衛隊で富田の上司に柄本明
さらに日本の公安の一人に香川照之など、今を時めく名わき役が出演している。そうそうたる名優が出ているのが見どころだ。柄本明佐藤浩市は最近の「許されざる者」でも共演している。
 
金大中事件が起きた当時は、いったい何が起こっているのか理解できなかったが、独裁政権の朴大統領の長期政権に反対の金大中民主化運動を阻止しようとするものだった。金大中は軟禁状態が続いたが、その後1997年に大統領に就任した。
 
2時間25分はやや長さを感じさせた。
 
 
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