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映画「記憶の夜」(2017、韓国)を見る。サスペンス・スリラー。

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記憶の夜」(2017、韓国)を見る。どんでん返し映画のランキングに度々登場する映画で気になっていた。チャン・ハンジュン監督による韓国製サスペンス・タッチのスリラー。20年越しの復讐劇だった。

1997年後半の韓国経済危機の時代の実話をベースにしているので、社会派映画でもある。Netflixは、韓国への注力が際立つほど資金を投じている気がする。見ごたえはあるものの、救いのない悲劇を描き暗い気分にさせる。

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1997年のある春の日、ジンソク(カン・ハヌル)は兄ユソク(キム・ムヨル)と両親の一家4人は新しい家に引っ越してきた。引っ越し先の家に見覚えのある違和感を抱くジンソク。

兄ユソクは最高の大学で成績優秀、スポーツも万能。1年前の交通事故で、左足を引きずっている。弟ジンソクは、精神疾患を患い、薬も服用中で、現在大学受験の二浪中。引っ越し先では、兄と弟が同じ部屋になり、この家には、入ってはいけない部屋があると父親から伝えられる。

ひと部屋だけは、前の住人が荷物を残しているので入ってはいけないと言うのが理由。まもなく引き取りに来るという。

夜になると、誰も居ないはずの部屋から妙な音が聞こえてくる。

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ある雨の夜、散歩に出かけた兄弟だが、兄が用事があると先に家に帰る途中、何者かに車に押し込められ、拉致されてしまう。

現場を、弟が見てしまう。とっさに車のナンバーを覚えたジンソクだが、警察でそのナンバーが存在しない事が判明する。

誘拐された兄を心配する家族。しかし、兄は19日後に何事もなかったように家に戻って来る。兄は、その間の記憶を無くしていた。ジンソクは、家に感じる違和感を拭えないまま、兄の様子がこれまでと異なることに気づく。

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以下ネタバレ:観る予定の人はスルーしてください。

ジンソクは、1997年の21歳のまま、2017年の世界を生きていた。実は、ジンソクは41歳のおじさんだった。ジンソクは精神疾患から現実が分からなくなっており、過去に殺人事件を犯したジンソクはその後は、幻想の中を生きていたということになる。

ジンソクが家族と引っ越した家というのは、過去にジンソクが殺人事件を起こした家で、開かずの部屋は殺人現場だった。ゴソゴソと音が聞こえたのは、殺人現場をマネキンを使ったりして現場再現をしている作業の音だった。

20年前の一家殺害事件の唯一の生き残りの少年ユンク(当時6歳)が、迷宮入りの事件の犯人としてジンソクにたどり着き、当時の殺人の現場を再現して、記憶喪失かどうか、試すために家族になりすましていたものだった。母も父も偽物が演じていた。

優しい兄だと思っていたユソクは実は、殺人事件の唯一の生き残った、あの少年だった。ユソクは、ジンソクに殺人事件を思い出させ、ジンソクに殺人を依頼した本当の犯人を捜すのが目的だった。そして、全てを思い出したジンソクだった。

だが、その記憶はユソクにとっても非常に辛い結果だった。経済に窮していたジンソクに、金銭で殺人を依頼したのは、その家族の主であり、ユンクの父親だった。妻だけを殺し、子供二人には一切手を触れるなという条件だった。

病院に勤める医者である依頼主は、妻の死亡保険金を当てにしていたが、ジンソクが間違って、娘までも巻き添えにして殺してしまったことから、不幸が続く。医者はジンソクと建物の屋上でもみ合いになりビルから転落死してしまう。

一方、生き残ったユソクは、幼かったため、保険金等は親戚に全て取られてしまい、孤児院で生活をしてきたという苦しい体験があった。

ラストシーンでは、辛い過去を持つ2人が、最も幸せだった時に繋がっていた思い出が語られる。「あっ!」。

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前半にかなりの伏線があった。家のカレンダーは1997年となっていたが、警察署のカレンダーを見ると2017年。引っ越しの際に、引っ越し業者がジンソクに「あの方(兄のこと)はどなたですか」とっ言った時に、本当は41歳の弟が自分より随分と若い兄を「兄」だと言ったので、兄が話を遮った。兄を演じている人物が、すべてを仕組んでいるので、不審に思われるのを避けたからだ。

重苦しい映画なので、あまりオススメはできない。

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