「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」(2018、韓国)を見る(Netflix)。
北朝鮮に潜入した韓国の工作員と南北の権力者たちの闘争を描く、実話「北風工作」を基にしたスパイ映画。
盗聴の仕掛けなど実にスリリング。高級時計ロレックスやネクタイピンといった小道具がうまく使われ、最後は目頭が熱くなる。それまで300万人が餓死したという北朝鮮の実情や、金正日のそっくりぶりには驚かされる。
監督はユン・ジョンビン、主演はファン・ジョンミン。韓国では、約500万人の観客動員を記録した(韓国歴代79位)。
第71回カンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング公式招待作品。日本では2019年7月19日に公開された。
【ストーリー】
1992年、北朝鮮の核兵器開発を巡って緊張状態が高まる朝鮮半島。韓国軍の情報部隊の将校パク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は、国家安全企画部のチェ・ハクソン室長(チョ・ジヌン)から、コードネーム「黒金星ブラック・ヴィーナス」という工作員として北朝鮮に潜入する命令を受ける。
北朝鮮の核開発の実態を探るため、事業家に扮したパクは3年にわたって慎重な工作活動を試みる。
将軍様に会う人物はVIPということで…。
パクは北朝鮮の対外交渉を担うリ・ミョンウン所長(イ・ソンミン)から信頼を得ることに成功し、北朝鮮の最高国家権力である金正日(キム・ジョンイル)に会う機会を得るまでに至る。しかし、1997年の大韓民国大統領選挙に際する南北の裏取引によって、パクは自らの工作活動が無になることを知り、葛藤する。
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実在した工作員、黒金星は朴采書(パク・チェソ)によって行われている。1997年、次期大統領選で与党である自由韓国党党首の李会昌を当選させることを目的に国家安全企画部によって北風工作が立案されている。
が、パクが野党第一党であった金大中(キム・デジュン)陣営に対し北風工作をリークしたことで事件が未然に塞がれている。
韓国当局から国家保安法違反容疑で逮捕されているが最終的に無罪とされた。なお、この逮捕により身元が割れたことで諜報機関からは解雇されている。
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北朝鮮を描いた映画としては、先日みた3Dアニメ「トゥルー・ノース」があるが、それ以外では「007/ダイ・アナザー・デイ」でジェームズ・ボンドが北朝鮮で大暴れしていた。ドラマでは大ヒットを記録した「愛の不時着」が、比較的穏やかな北朝鮮の日常の生活風景を描いていた。
「工作 黒金星と呼ばれた男」では、誰が敵か味方かわからない状況の中で、男と男の友情も描かれていたラストが小気味いい。北朝鮮が、骨とう品事業や、韓国との共同の広告事業などで財源を稼ごうとしていたことなどがあったというのは興味深い。南(韓国)のビジネスマンとして工作員(スパイ)として北に入り込むが、身辺調査が二重、三重に行われ、いつ発覚するのかとハラハラさせられた(笑)。敵を欺くには味方から…というのもあり、徹底しているのも見ごたえがあった。
金総書記に面談する際に「眼を合わせるな」「決して話をさえぎってはいけない」と幹部から言われていたが、黒金星は、はっきりモノ申す人物で、相手の利益を強調することで受け入れられていく。
【キャスト】
■ファン・ジョンミン:パク・ソギョン(以下、役名、国家安全企画部諜報員 コードネーム:黒金星)元国軍機務司令部少佐
■イ・ソンミン:リ・ミョンウン(北朝鮮対外経済委員会所長)
■チョ・ジヌン:チェ・ハクソン(国家安全企画部室長)
■キム・ウンス:キム・ミョンス(北朝鮮対外経済委員会部長)
■チェ・ヨン:ファン・ビョンチョル(北朝鮮核物理学者キム教授の門生)
■パク・ジニョン:キム・チャンヒョク(チャン教授、朝鮮族の核物理学者)友情出演
■ナム・ムンチョル:韓国国会議員 パク
■チェ・ビョンモ:韓国国会議員 ユ
■ギ・ジュボン:金正日
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