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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ステキな金縛り」(2011)


「ステキな金縛り」予告編
 
 
 
「ステキな金縛り」は、三谷幸喜監督の作品では、「最も笑えて、泣ける」という宣伝文句だったが、大笑いしたり、号泣というのはなく、監督が言っていたようだが、”クスクス笑える”シーンが随所にあったのが面白かった。
 
非現実的な話を2時間以上(2時間22分)の映画にしてしまうというのは、脚本家である三谷幸喜監督の才能なのだろう。自身の生誕50周年記念のパーティを企画したり、変わり者という点では、とぼけた日本のウディ・アレンかもしれない。
 
舞台が法廷というのが、いい。
法廷サスペンス・コメディだ。
 
三流弁護士を演じる深津絵里が、これまでのどの映画よりも素晴らしい。この映画は、リンカーンの言葉を模した某社CMではないが、まさに深津絵里の、深津絵里による、深津絵里のための映画だ。一挙手一投足がうまいが、なかで
も、鼻歌交じりに、法廷で証言者を前にして「あるもの」を混ぜ合わせるシーンがあるが、絶妙の演技で、すばらしい。
 
(これまで、ブログの多くの人が”深っちゃん
深っちゃん”というのが正直理解できなかったが、ようやく、理解できた。”深っちゃん”は大したものだ。)
 
三谷監督は、以前「ラブ・アクチュアリー」のような群像劇を作りたいと思って「ザ・有頂天ホテル」をつくったというようなことを書いていた。グランドホテル形式といわれるもので、さまざまなエピソードが同時進行し、最後につながっていくというもの。
 
「ザ・有頂天ホテル」は、オールスター・キャストの魅力・醍醐味はあるものの、焦点がぼけてしまって・・・という印象があった。先日TV放映もあったが「ザ・マジック・アワー」では、かなりストーリーがまとまっていて、「有頂天」よりは、おもしろかった。
 

今回の「ステキな金縛り」は、「ザ・マジック・アワー」よりもいい。
 
幽霊が見える人と見えない人がいるという発想が面白い。そこにある共通点とは何か・・・。実は見えているのに、見えていない振りをしている人物がいたり、それがあることがきっかけで「本当は見えている」というのが発覚するくだりなどは、引き込まれる。ある意味では「シックス・センス」などを彷彿とさせる。
 
「ステキな金縛り」は、オープニングと、エンディングが面白い。
外国での上映を意識しているらしく、俳優のクレジットが英語だ。
英語のタイトルは「ONCE IN A BLUE MOON」)。
 

阿部寛中井貴一
などはコメディセンスがあり(とくに中井の「寝ずの番」は最高)、意表を突くパフォーマンスは見ものだ。竹内結子(2役)の出番が少ないぞ!などはあるものの、2時間ほど、気分爽快にさせる映画ではあった。
                 2役を演じた竹内結子
ワンシーンしか登場しなかったり、いつもの曲者俳優や、脇役が贅沢に配役されている。法廷画家(「ぐるりのこと。」で初めて知ったが)も登場。画家には、幽霊が見えていた!?・・・など見所満載。
 
421年前に死んだはずの人間が、幽霊の落ち武者となって、この世にあらわれた謎とは・・・。
 
小道具、お菓子類、シナモン、映画「スミス都へ行く」(DVD)・・・も面白い。
三谷監督は、フランク・キャプラ監督の熱狂的ファンのようだ。何回も「スミス都へ行く」と「素晴らしき哉、人生!」が登場する。
 
ジェネラル・ルージュの凱旋」の堺雅人は、飴、「金縛り」の阿部寛は、チョコレート・・・。
 
やや不満を上げれば、阿倍つくつく(陰陽師)の登場は、いらないような気も。
タイトルの「金縛り」のどこがステキなのか・・・笑。
 
映画の興行収入は、初日・二日で記録を更新とか。大人が楽しめるエンタテイメント映画は少なくなっている中、やや高い年齢層にも、受けているようだ。
 
ストーリー:
妻殺しの容疑で逮捕された矢部五郎の弁護を担当する宝生エミは、将来性ゼロの三流弁護士。勝てる見込みのない裁判に矢部は「旅館で金縛りにあった」とアリバイを証言し無罪を主張。矢部が泊まった旅館に赴いたエミは、矢部に金縛りをかけたという落ち武者・更科六兵衛を法廷につれて、矢部の無罪を証言してもらうことに。
 
しかし、対する検事・小佐野徹はオカルトを真っ向から否定して、六兵衛の証言は法的に無効であると主張する。更には殺された鈴子の愛人、日野勉が陰陽師を雇って六兵衛を除霊しようとしていた。
 
出演:
宝生エミ〔弁護士〕 -深津絵里
更科六兵衛〔証人〕 - 西田敏行
速水悠〔弁護士〕 - 阿部寛
小佐野徹〔検事〕 - 中井貴一
菅仁〔裁判長〕 - 小林隆
矢部五郎〔被告人。鈴子の夫〕 - KAN
矢部鈴子〔美術品バイヤー〕- 竹内結子
日野風子〔化粧品会社・社長〕 - 竹内結子一人二役
日野勉〔風子の夫、鈴子の愛人〕 - 山本耕史
木戸健一〔歴史学者〕 - 浅野忠信
阿倍つくつく〔陰陽師〕 - 市村正親
宝生輝夫〔エミの亡き父〕 - 草剛
工藤万亀夫〔エミの恋人〕 - 木下隆行 (TKO)
段田譲治〔向こうの世界から来た男〕 - 小日向文世
日村たまる〔法廷画家〕 - 山本亘
旅館「しかばね荘」の女将・猪瀬 - 戸田恵子
旅館「しかばね荘」の主人・猪瀬 - 浅野和之
占部薫〔タクシー運転手〕 - 生瀬勝久
伊勢谷〔トラック運転手〕 - 梶原善
野島〔スモーク係〕- 阿南健治
心霊研究家 - 近藤芳正
村田大樹〔まだ売れていない役者〕 - 佐藤浩市
前田くま〔ウェイトレス〕 - 深田恭子
悲鳴の女〔コールガール〕- 篠原涼子
ドクター - 唐沢寿明
漆原 - 相島一之
弁護士〔勝訴を持つ男〕 - 大泉洋
 - 中村靖日
 
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