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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「フロスト x ニクソン」(2009)アカデミー賞5部門ノミネート。

フロスト×ニクソン」(原題: Frost/Nixon、2008)は、脚本のピーター・モーガンが手掛けた同名の舞台ロン・ハワードが映画化。

第81回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされた。

ウオーターゲート事件、ニクソン・ショックリチャード・ニクソン元米国大統領は、こわもての写真での印象が強いが「フロストXニクソン」では、ニクソンの人となりが、時にはユーモアを持って描かれている。

ウォーターゲート事件」は、ワシントンポスト紙の記者二人による取材で明るみに出て、映画「大統領の陰謀」で詳しく描かれていた。
その「ウオーターゲート事件」で辞任に追い込まれながらも、その後罪を認めることなく沈黙を守り通したニクソン元米国大統領。
辞任から3年後の1977年、一人の英国人司会者デビッド・フロストが彼の単独TVインタビューを敢行した。
ニクソンへのTVインタビューをテーマに、その舞台裏で繰り広げられた両者のブレーンを巻き込んでの駆け引きとトーク・バトルの模様が描かれている。

監督はロン・ハワード
ニクソンには、70年代初期の映画(「パリは霧にぬれて」「わが愛は消え去りて」など)で懐かしいフランク・ランジェラが扮して、独特のしゃべり方で、ニクソンになりきりの演技を見せる。 TVなどでニクソン・ショックの頃みたリチャード・ニクソンの強面と比べると、「おや」と思ったが、ランジェラの演技もだんだんと見入ってしまうほどの熱演ぶりだ(アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた)。
ニクソンを追及する英国の人気テレビ司会者、フロストは、「クイーン」での英国首相の印象が強いマイケル・シーンが演じている。すこしにやけた雰囲気や、もみ上げが、若き日のジャック・ニコルソンを思わせる。
今から35年前の1974年。
アメリカの歴史上、大統領として初めて任期途中で自ら職を辞するという不名誉な称号を背負うことになったリチャード・ニクソンだったが、その後は沈黙を守り続けていた。
国民はニクソンの口から謝罪の言葉を聞くことはなかった。
英国の人気テレビ司会者デビッド・フロストは、より高いステータスを手に入れるべく全米進出の野望を抱いていた。
そこで目を付けたのがニクソンの単独インタビュー番組。
出演交渉を開始するフロストだったが、海千山千のニクソンは法外なギャラを要求しつつ交渉を有利に進めていく。このあたりで、ニクソンがお金に対して細かいことが浮き彫りになって面白い。金、金、金・・・。
全米3大ネットワークへの売り込みも、コメディアン上がりのフロストに大物政治家の相手が務まるわけがないとの理由で断られる。フロストはやむを得ず、番組を自主製作することを決意、こうしてようやくニクソンの単独インタビューには漕ぎ着けるが・・・。
3日間におよぶインタビュー。
インタビューの合間のある夜、ニクソン自身からフロストの自宅に電話がかかってくる。そして、それはニクソンのテープレコーダーによって録音されている。この電話でのやり取り・・・特にニクソンのせりふの数々が洪水のように語られ、その性格なども浮き彫りになる。フロストは、仕事に熱中し、妻は外に食べ物を買いに出かけていた。そのときに、「何が食べたいか、外から電話するね」と言い残して。
そこに電話がかかってきたものだから、フロストは、相手も確認せず「チーズ・バーガー!」と答える。ニクソンからの電話だったが、いきなりチーズ・バーガーといわれたニクソンは「チーズ・バーガー? 私はXXがいいね」などと会話がスタートし、アルコールの力もあったのか、インタビューでは語られないかなりプライベートな話もするのだった。
インタビューが終了して、放送も終わり、フロストは、イギリスに帰る前に、ニクソンがインタビューの際に、フロストがはいていたイタリア製の靴に関心があったようなので、プレゼントとしてイタリアの靴を土産に持参して、帰国の挨拶に出かけたのだった。
帰り間際にニクソンにフロストは呼び止め、「ひとつだけ質問がある」といわれる。
夜に電話したことすら忘れていたニクソンは、失言でも心配になったのか「電話では、何を話していたか?」とフロストに質す。
フロストは、一瞬の間をおき「チーズ・バーガー!」と答える。
怪訝そうな顔をしたニクソンのアップで映画は終わる。
うまいエンディングだった。
こういうセンス(暑いからってうちわでなく)が日本映画にはないような(笑)。
☆☆☆☆