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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ワルキューレ」(2009)トム・クルーズ主演の戦争映画。

    

ワルキューレ」(2009)は、トム・クルーズ主演の異色の戦争映画。
ドイツがテーマの戦争映画は、たくさんあるが、ヒトラーに対して、地下組織やレジスタンスの抵抗ではなく、表向きは国防軍の将校クラスの反乱、暗殺計画があったという映画はスケールの違いを見せつけた。
一歩間違えば、敵・味方になるわけで、密告などもあると想像され、ヒトラーとその側近に悟られずに暗殺を遂行するというので、徹底した統制・意思疎通が必要となる。反乱勢力の会合には、“証明パス”のような許可証が必要で、仲間であることを示すためそれを提示していた。
舞台は、第二次世界大戦下のドイツ。1943年4月、ドイツはすべての戦線で敗退を続けていた。しかしヒトラーは、最後の勝利を目指して戦争を続けようとしていた。
いきなり、北アフリカ戦線で、左目と右手を失う重傷をおったクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)の映像から始まる。
シュタウフェンベルグは、帰国後、ベルリンの予備軍司令部勤務となるが、なんと予備軍司令部は反ヒトラー派の国防軍将校の巣窟でもあった。反ヒトラーグループでは活動的なメンバーをさがしていたが、オルブリヒト将軍は、シュタウフェンベルグ大佐に目をつけ、ヒトラー暗殺計画に加わるよう求めた・・・。
そこから、ドイツを完全な破壊から救うには独裁者を倒すしかないと考え、グループに加わり積極的にヒトラー暗殺計画の具体化を進めていった。
歴史を見れば、暗殺計画は失敗したが、どのような計画があったのか、その顛末は興味深かった。

 

トム・クルーズが主役で、全編出ずっぱりだが、脇役の将校たちの重厚なこと。
見た顔が多い。あの「コレクター」のテレンス・スタンプが、当然ながら、年配の将校を演じて、貫禄を見せていた。
紅一点といってよいのか、シュタウフェンベルグの奥さん役には、「ブラック・ブック」で体当たり演技を見せて魅力的で、にわかファンになったカリス・ファン・ハウテンだが、あまり、今回は目立たなかった(残念)。

 

映画のエンディングは、やはりというか・・・。
ただ、このあとで、9ヵ月後には、ヒトラーがベルリンで自殺したというテロップが流れ、早晩、ヒトラーの暗黒の時代は終わるのだが・・・。
ドイツ人にとっては、ヒトラーの時代にも、ヒトラーの暴挙に対して、戦いを挑んだグループがあったということで、このことは“知っといてくれよ!”という救われる思いはあったかもしれない。
映画は「ワルキューレ」戦略という暗号をモチーフにしているが、レコードで、ワグナーのワルキューレの音楽(「地獄の黙示録」で、印象的・効果的に使われた)もかけられていた。
戦略の細部を修正してシュタウフェンベルグが、草案をヒトラーに届けるが、ヒトラーが「この草案は、ワグナーを知らずしては書けないものだ」というセリフが印象に残る。即、サインするヒトラー自身がワグナーに傾注していたこともうかがわせた。
トム・クルーズも、“「宇宙戦争」などというへんてこな映画に出ないで、映画を選べば、いい仕事もするじゃん”という映画でした。ストーリーを単純にしているので、むずかしいところは、登場人物の多さによる上下関係くらいで、意外と「割る切ゅれ(ワルキューレ)た」内容でした(笑)。

 

☆☆☆

 

キャスト

 

クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐:トム・クルーズ
ヘニング・フォン・トレスコウ少将:ケネス・ブラナー
ニーナ・フォン・シュタウフェンベルクカリス・ファン・ハウテン
フリードリヒ・オルブリヒト大将:ビル・ナイ
ヴェルナー・フォン・ヘフテン中尉:ジェイミー・パーカー
アルブレヒト・メルツ・フォン・クイルンハイム大佐:クリスチャン・ベルケル
ルートヴィヒ・ベック:テレンス・スタンプ
カール・ゲルデラー:ケヴィン・R・マクナリー
エーリッヒ・フェルギーベル大将:エディ・イザード
エルヴィン・フォン・ヴィッツレーベン元帥:デヴィッド・スコフィールド
フリードリヒ・フロム上級大将:トム・ウィルキンソン
オットー・エルンスト・レーマー少佐:トーマス・クレッチマン
アドルフ・ヒトラー:デヴィッド・バンバー
ハインツ・ブラント大佐:トム・ホランダー
ヴィルヘルム・カイテル元帥:ケネス・クランハム
ハインリヒ・ヒムラー:マティアス・フライホフ
ヨーゼフ・ゲッベルス:ハーヴェイ・フリードマン