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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「椿三十郎」(2007)…リメイク作品。

45年ぶりにリメイクされた「椿三十郎」を見てきた。
見る前は、いろいろと心配、一抹どころか二抹、三抹の不安があったが、映画は、
一言でいうと“娯楽エンターテイメントとして、よくできた作品”だった。
最近の日本映画では、脚本がしっかりしているので、当然と言えば当然だが、
おもしろかった!
もし将来、黒澤作品のリメイクが続くとすれば(「用心棒」など)、
織田が主演を演じていくだろう。かなりのハマリ役だ。その辺を
見抜いた森田監督の ”目の付けどころが○○―プ“だったということか。

 

リメイク版を見る前の個人的な印象は・・・
主演俳優が、見劣りする。
豪快な世界のミフネ(三船敏郎)と比べて、織田裕二は、
現代的な青年のイメージで若すぎるのではないか。

  三船のドスの利いた低音で太い声
  に対して、織田は、声の調子が軽くて、
  キーも高いような気がする。
  浪人侍というイメージが、織田には感じられない・・・。
  など・・・

 

なぜいまさら、黒澤明監督の名作があるのに「椿」を再映画化するのか・・・
と疑問を持っていた。

 

  リメイクが決まったのは、一にも二
  にも、製作総指揮を担当している
  角川春樹の「椿三十郎」の名作を、
  若い世代にも知ってもらいたいと
  いう願望から生まれたようだ。

 

  そして、監督選び(森田芳光)、
  監督の絶大な推薦による主演・椿三十郎
  の役(織田裕二)の人選などが行われて
  いったようだ。

 

  前置きはこれくらいにして、感想は?
  映画は、満足できる、面白い映画だった。
織田裕二の映画作品の出演作では、これまでの作品群とは桁はずれの代表作となったと
いえるだろう。気が早いが今年度の日本アカデミー賞の主演男優賞の候補には、なるだろう。
映画は、オリジナルと比べて、かなりストーリーを簡潔にしている
印象だ。それだけわかりやすく、ストレートに伝わる。

 

中盤の見所のシーンの一つは、何十人もの侍を相手にした三十郎の殺陣のシーン。
ここでは、無駄な会話は一切省いた。三十郎の立ち回りのみを
カメラは追った。それだけに、緊張感、迫力が伝わってきた。

 

映画は、脚本が同じであることから、オリジナル作品と大きくは
変わらないが、ラストシーンの前作の歴史的なシーンは、まったく違うものとなった。

 

 ←黒澤監督作品のラストシーン
  
  血しぶきが飛び散るシーンを
  予想していたが、違っていた。
  これは、見てのお楽しみという
  ことにする。


織田裕二の全体的なセリフのトーンもかなり低音で、ドスもきいて三船に勝るとも劣らない台詞回しだった。まあ、腹から声をしぼるように、ちょっと無理をしているかなと言う印象はあるが(爆)。

 

脇役人は、かなりベテラン勢をそろえた。
映画のオープニングは、太鼓の音などの音響効果などがあって、映画全体に重厚感を与えていた。

 

織田裕二を見直した映画だった(爆)。
佐々木蔵之介も味わいがあった。
☆☆☆☆(お勧め)