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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

①「人間の証明」・・・角川映画の初期の傑作映画

人間の証明。小説は、ご存知森村誠一の代表作。

角川映画が、「犬神家の一族」に続く第二弾として、超豪華スタッフ、
キャストを配して作った1977年10月公開(28、9年前)の日本映画の傑作。

なんといっても

 「母さん。あの麦わら帽子はどうしたんでしょうね~」

につきます。

ラストでジョー山中のすばらしい歌が哀愁をそそると共に、
悲劇、宿命の深さをあらわしていました。

 改めて見て、忘れていたことと、新たな発見が随所にありました。
いろいろな角度から、捉えられますが、日本映画個人的お気に入りトップ10の
上位にある「砂の器」(1974年)との類似点が感じられました。

その①:現在の成功の地位を守るために愛する人、恩ある人を殺害してしまう。

その②:捜査上、ヒントとなるキーワードを求めて犯人に迫る刑事たち。
    砂の器:「カメダは相変わらずか」(犯人がバーで被害者と語っていた言葉)
    人間の証明:「キスミー」(被害者がニューヨーク・ハーレムを出るときに、
    どこへ行くと大家に聞かれて言うせりふ)「ストウハ」(被害者が、重症を
    追いながら目指した場所)

その③:犯人逮捕の瞬間は、加害者は人生絶頂の時期にあった。
    砂の器:指揮者が「宿命」の音楽披露の最大イベント中に刑事が待機。
    人間の証明:ファッションショーで最高の栄誉を受ける瞬間に、刑事が待機。

 人間の証明の最初と最後で、マンハッタンの俯瞰シーンがあるが、
今はない貿易センタービルがあり、感傷をそそる。まだ、パソコンも普及しておらず、
タイプライター(旧式)が出てきたり、30年の時を感じるが、映画としては
古さを感じさせない、いい映画でした。

 登場する俳優陣は、豪華そのもの。  

 なんといっても、松田優作(上、写真)。
 田宮二郎にしろ松田優作にしろ、外国映画でも堂々と渡り合える俳優が
 早くなくなってしまったのは、惜しいという気がしました。
 松田優作は、刑事課の中では、異端的存在だが、状況を的確に判断して
 行動に移す。ジョージ・ケネディとも対等以上の存在感を示しています。
 
出演俳優:(うへー、です。)

岡田茉莉子(八杉恭子)
松田優作(棟居刑事)
ジョージ・ケネディ(ケン・シュフタン)
ジョー山中(ジョニー・ヘイワード)
三船敏郎(群陽平)... (「天国と地獄」など重役、大物政治家などで、存在感圧倒)
岩城滉一(群恭平)...(車キチをいかんなく発揮、ニューヨークで、「フレンチ・コネクション並みのカーチェース。吹き替えか?)
高沢順子(朝枝路子)
鶴田浩二那須警部) (重厚な演技ですね)
ハナ肇(横渡刑事) (ひょうひょうとして、人間くさい。亡くなりましたが。)
鈴木瑞穂(山路部長刑事) (脇役で、欠かせない人ですね)
地井武男(草場刑事)
和田浩治(河西刑事)
峰岸徹(下田刑事)
夏八木勲(新見隆) (「高層の死角」ほか、森村作品の主役級常連)
范文雀(なおみ)
長門裕之(小山田武夫)(まだ若かった)
ジャネット八田(三島雪子)
坂口良子(澄子)  (出番は、わずかながらも、キュート!)
伴淳三郎霧積温泉の主人)
星美智子(霧積温泉の女中)
相馬剛三(霧積温泉の番頭)
竹下景子(中山静枝)
北林谷栄(海辺の老婆) (この人は、おそらく俳優最高齢で、本当に味わいがあります)
西川峰子(海辺の娘)
大滝秀治(おでん屋の客) (この人の甲高い声を聞くだけで、存在感があります。やずや=笑)
佐藤蛾次郎(おでん屋の客)
室田日出男(横川の警官)
中田博久(ロイヤルホテルの従業員)
深作欣二(渋江警部補二)
島崎奈々(エレベーター・ガール)
森村誠一(フロント・マネージャー) (最初にワンカット登場。ヒッチコック並み=笑)
鈴木ヒロミツ(喫茶店のボーイ)
シェリー(喫茶店のウェイトレス)
菅野忠彦(棟居の父)
E・H・エリック(デザイン大賞の司会者) (一時は、テレビによく出ていましたが・・・)
角川春樹(復員兵) (気がつかなかった!)
フロドリック・クロフォード(オブライエン署長)
リック・ジェイソン(ライオネル・アダムス)
ロバート・アール・ジョーンズ(ウィルシャー・ヘイワード)

ほかにも、「小川宏ショー」(懐かしい)の番組を劇中劇にし、小川さん本人、
露木茂さんがレポーター役でアナウンス。

今は、アメリカ・ニューヨーク27分署の警察官になっているジョージ・ケネディ(手に刺青)。そのケネディを訪ねて、松田(棟居刑事)によみがえる、終戦直後の日本にいた兵隊の中で、少年のころ見た手の刺青の記憶。「自分の父を殺した、にくき米兵たちの一人」しかし・・・。

まったく別々の複数の事柄が、やがて一つに結びついていく展開・・・。
現在見ても、なかなかすばらしい。

参考:パソコン放送:Gyaoで、無料公開しているようです。
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0015787/