fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「茶飲友達」(2023)を見る。

茶飲友達」(2023)を見る。監督は「燦燦 さんさん」「ソワレ」の外山文治。2013年10月に高齢者売春クラブが摘発された事件を元に、高齢化社会現代日本が抱える閉塞感や寂しさなど、さまざまな問題を反映して描いた群像ドラマ。


主演は「弥生、三月 君を愛した30年」、NHK連続テレビ小説純と愛」などの岡本玲。共演は「冷たい熱帯魚」「シン・ゴジラ」などの脇役で知られる渡辺哲、声優・ナレーターがメインの磯西真喜(いそにしまき)など。


この映画について知ったのは、映画関連のYouTubeで、映画コメンテーターのLiLicoが「最近のおすすめ映画は?」と聞かれて、最初にタイトルが上がった映画だった。U-NEXTで配信されていたので見た。


導入部から中盤までは、引き込まれたが、後半はやや単調になっていき、特殊な違法ビジネスということで、警察に摘発されて、孤独老人たちを巻き込んだ疑似ファミリーが崩壊する姿を描いている。

・・・
佐々木マナ(岡本玲)は、仲間とともに高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」を設立し、新聞に掲載した「茶飲友達、募集。」の三行広告で集まってきた男性たちのもとへ高齢女性を派遣するビジネスをスタートする。


ティー・ガール」と称される在籍女性の中には、介護生活に疲れた女性、パチンコなどギャンブルに依存した女性などさまざまな事情を抱える者がいた。


マナのもとで「茶飲友達」を運営する若者たちもまた、出口の見えない社会で閉塞感を抱えて生きている。 


さまざまな世代を束ねるマナは、彼らを「ファミリー」と呼び、擬似家族のような絆を育んでいくが…。

・・・
最初に妻を亡くした老人(渡辺哲)の生活の日常風景が描かれる。部屋は散らかっていて、頭はぼさぼさで疲れ切ったような老人は80代に見える。コーヒーを飲んで、縁側で足の爪を切る。

       

ふと新聞の夕刊の広告を見ると「茶飲友達、募集。」の文字が飛び込んでくる。次のシーンになると、さっきまで80代に見えたが、身だしなみ、服装も整えると、10歳は若くなったような雰囲気。

その老人は「JOY」というカフェで若い女性と中年女性の2人と向かい合い楽しそうな会話をしている。若い女性が、妙齢の女性に目配せすると、その女性が、タブレット(薬)2錠を差し出す。男は、これからの展開を察する。


妙齢の女性と男は、ホテルのベッドにいた。
次に男は「ティー・フレンド」から別の女性をアパートに招きいれていた。亡くなった妻の割烹着をタンスから取り出してきて、台所で料理をしている女性に「これを着てもらえませんか」というと「割烹着はオプションとして、別料金となります」だった(笑)。


20代の男女数名が、まるでデザイン会社のオフィスのような雰囲気で仕事をしている。若い男が「今月の新規は82名。目標は…」「SNSを使ってみれば…」といった声が飛び交う。


この事務所は、一般的な事務所のように見えるが、中身は、高齢者をターゲットにした、売春あっせんを生業としているオフィスだった。登録されている女性たちは主に50代、60代で、壁には、Monthly Rankingとして売り上げランキング順に写真が貼られている。


新しく入ってきた若葉という女性は、オフィスの若い男を客と思って、疑似で実演をさせられるが、「いきなりですか」と躊躇していると、責任者のマナから「心のパンツを脱がないと」と言われる。若葉は茶飲友達くらいがちょうどいいんですというのだが…。


・・・
老人ホームまで「出張」に出かけるとは(笑)。通常は料金は3万円くらいのようだが、事務所に戻って、老人ホームで10万円を受けとったというと、若いチャラ男は「新しいビジネスモデルになるじゃん」などとはしゃいでいた。


派遣された女性がシャワーを浴びているときに、男が自殺を図ったが、女性が助けようとしなかったことで男は死亡。自殺願望の男は冥途の土産に最後にコールガールを呼んだのか。女性は、仲間たちからもなじられ非難され、事件が明るみに出て、警察のメスが入り、違法な年寄り売春クラブとして摘発されることになった。


斡旋事務所の言い分は「世の中のさびしい人たちを守っている。新しいライフスタイルだ」などと主張するが、女性警察官は「自分の寂しさを埋めるために、他人の孤独で埋めるんじゃない。ルールはルールだ」。


・・・
映画としてはタイムリーな題材。高齢者をタ-ゲットにした詐欺や、孤独の隙間を突いた魔の手は様々な形で登場しそうだ。

・・・
主演女優・岡本玲のコメント:
映画を通じて事件のことを知ったとき、その内容にショックを受けたのと同時に、不思議と自分の中で共鳴するような感覚を抱きました。この映画で描かれているのは、一見すると、自分がいるのとはかけ離れた世界。けれど、登場人物が抱いている孤独や痛み、それをひた隠しにして幸せになろうとしている姿は、自分にも覚えがあるなと感じました。


■監督・脚本:外山文治
■出演:岡本玲、磯⻄真喜、瀧マキ、岬ミレホ、⻑島悠⼦、百元夏繪、クイン加藤、海江田真弓、楠部知子、海沼未羽、中山求⼀郎、アサヌマ理紗、鈴木武、佐野弘樹、光永聖、中村莉久、牧亮佑、渡辺哲
■製作:ENBUゼミナール
■2022年製作/135分/PG12/日本

「U-NEXT」(ポイント399円)で鑑賞。

 

■「にほんブログ村」にポチッと!。

https://movie.blogmura.com/ranking/in   

https://movie.blogmura.com/moviereview/ranking/in