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映画「逃亡者 カルロス・ゴーン 数奇な人生」(原題:Fugitive: The Curious Case of Carlos Ghosn、2022)を見る(Netflix)

逃亡者 カルロス・ゴーン 数奇な人生」(原題:Fugitive: The Curious Case of Carlos Ghosn、2022)を見る。Netflixで2022年10月26日から配信(95分)。

カリスマ経営者として世界にその名をとどろかせた男は、どのようにして国際的な逃亡者となったのか。カルロス・ゴーンの数奇な運命に焦点をあてた犯罪ドキュメンタリー。

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日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏の半生を描き、およそ20年間日産を率いたものの日本で逮捕され、その後、保釈中に「窮屈な楽器の箱」に入り、プライベートジェットで国外逃亡し、フランスの検察当局も逮捕状を出すに至ったゴーン氏を追う。


監督を手掛けるのはルーシー・ブラックスタッド。ゴーンの協力者たちや親族の人々が出演し、彼らが知るゴーン氏の人物像や、解決に至っていない事件に迫る。


楽器のケースに隠れて、空港のセキュリティを潜り抜けて国外逃亡を図るなどという考えられない現実を忠実に?再現している。


ある意味では日本のチェックの甘さが追及される。家政婦の証言なども興味深い。最もゴーン氏に近かった一人、日産の社長となった西川(さいかわ)氏も証言。両者の真っ向からの対立意見や、日産の新車「GT-R」にゴーンCEO(当時)と同乗した安藤優子キャスターも出演している。
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ビジネス界のスーパースターと言われた男の”天国と地獄”。「逃亡者」といえばテレビではデヴィッド・ジャンセン、映画では、ハリソン・フォードが演じ、無実の罪を背負って真犯人を追うストーリー。

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カルロス・ゴーン(以下、敬称略)は、レバノンに亡命後「私は、17年間支えた国・日本の人質だった」と無実を訴えるが…。


映画製作に、カルロス・ゴーンが協力するはずもなく、様々な映像は、実際の映像と、関係者の証言をもとに構成されている。


テレビの映像で、くぎ付けになったのは、カルロス・ゴーン10億円の保釈金で「労働者に変装」して、刑務所を出て、バンに乗り込む映像。映画の中で、たびたび登場するキャスターの安藤優子は「みじめ」と語った。

ルノー、日産という巨大企業2社のCEOだったカルロス・ゴーンは、その報酬のけた外れの高さに度肝を抜かれる。トヨタCEOの7倍と言われた。


日本での日産の年収が800万ユーロ(日本円で11億6,533万円)、ルノーが120万ユーロ(1億7631万円)。


ゴーンは、社内では、神ともいわれ誰も反抗、異議申し立てはできなかった。一般従業員の前では、結束を訴え、ファンクラブを作るように、ファンを増やしていった。


日産の再建に着手し、21,000人の従業員を解雇。そして彼は日産の有利子負債を数年で解消する。

終身雇用制が姿を見せなくなったとはいえ、従業員の大量首切りは、日本人経営者ではなかなかできない。しかし、コスト・カッターのゴーンは、冷徹に実行。それが奏功して、V字回復を示した日産。

この成功物語は、アニメの題材にもなった。

夜は、焼き鳥店などにも顔を出して人気者だった。

        権勢をふるったゴーン元会長。

新製品「GTーR」の試乗会では、安藤キャスターが同乗していた。

まさに日産を救った「スーパーマン」ともてはやされたのだった。

そんな中、2018年11月、ゴーンは金融商品取引法違反の容疑で逮捕され、その後も数度にわたり逮捕される。ゴーンの栄光も、風と共に去りぬゴーン・ウィズ・ザ・ウインド(笑)。

ゴーンは小菅刑務所には130日間拘留・拘束された。ゴーンによると「シャワーは週2回」だったという。関係者によると「毎日の取り調べは、お茶を飲んでケーキを食べて歓談するというわけにはいかない」という。


様々なエピソードがあるが、日本人女性の家政婦によると「Yシャツなどは、襟が黄色くなるまで着た」と言い、Yシャツのボタンが緩むと、ボタンを詰めたりしたという。こまごまとした日常では質素な面もうかがえる。


ゴーンからワインを2本もらって、ハグをしてくれたのは、あとから思うと、日本から逃げるからだったからかと回想する。家政婦の立場では「家族と会えてよかった」と語る。「ルックスがMr.ビーンに似ていたが、それを言ったら怒られるし…」とほほ笑む。

保釈中は、厳し監視下にあったが、日本をひそかに出国する計画を立てていた。逃亡の首謀者は、マイケル・テイラーという人物。


自家用機を確保。妨害を避け、中国領空を通過し、スピーカーケースを使用、空気穴は不可欠…など詳細に計画を練る。対象者の体重は75キロ。12月29日、関西国際空港に午後10時に到着。24時間以内に出発。貨物便は検査が手薄。


空港内の手配されたホテルに到着するまでは、電車、タクシーなど複数の交通機関を利用。年末で、空港の職員の大半が休暇を取り、臨時職員が多いというのも調べていた。


逃亡を助けたマイケル・テイラーは、2年の実刑判決が下った。ゴーンの故郷である、レバノンでは、ゴーンに対する反発の声が高いという。


「すべてを失った裸の王様」ゴーンについては将来、もっと深いドキュメンタリーが製作される可能性もありそうだ。

 

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