「OCD 〜メンタル・クリニックは大騒ぎ〜」(原題:TOC TOC、2017、スペイン)を見る。メンタル・クリニックの待合室を舞台にしたワン・シチュエーション・コメディ。超絶・悶絶・抱腹絶倒コメディ。最後に洒落たオチがある。OCDは英語の強迫性障害のこと。
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ブランカ(左)とリリー(右)
世界的な名医・パロメロのメンタル・クリニック。予約は1年待ちという人気のクリニックで、TOC(スペイン語の強迫性障害)を克服するため、ブランカ、フェデリコ、エメリオ、オットー、リリー、アナマリアの6人は待合室で診察を待っていた。
しかし受付嬢ティファニーによると、スケジュール管理アプリの不具合で6人分の予約が同じ時間にブッキングされてしまっていた。さらにパロメロ医師は飛行機のトラブルに巻き込まれて、先生はいつ到着するかわからないという。
左からアナ・マリア、リリー、フェデリコ、オットー、エメリオ、ブランカ
6人の患者たちは呆れるが、一人が、先生が来るまでの時間潰しがてら、自己紹介とTOCの症状を告白しようと提案。帰ることもできない状況では一番良いアイデアだと、お互いの問題点であるTOC(強迫性障害)による奇行・奇癖を話し合い、だんだん結束を強め、克服方法を模索していくのだが…。
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原題のTOCというのはスペイン語のTrastorno obsesivo-compulsivo の略で、強迫性障害のこと。予約した時間に先生がとうとう現れず、6人は、先生の診察を受けずにクリニックを後にしてしまう。この6人は、お互いのTOC(脅迫的障害)を理解した同志のような関係になり、半年後にまた集まろうと約束し、この6人のグループを「TOC TOC」と名付けた。
(以下、ネタバレ注意)
6人が解散したあと、ひとりの男が、クリニックに戻る。受付嬢はすでに帰り支度をしていたが「あら、バロメロ先生」。6人の患者の中にいた周りに暴言を吐くフェデリコこそバロメロ先生だった。「ステファニー、よくやってくれた。採用だ。いつも受付はすぐに辞めるからね」とバロメロ。「私は女優よ」と演技をアピールするステファニー。
次の日には、また様々な、なにか癖のありそうな患者や謎めいた美女などが集まってきた。今度は別の癖を持った人びとがどんな結末を迎えるのか・・・。
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なかなか一人一人の人物の個性が面白く、ユーモアがあって面白かった。強迫性障害などの障害を差別しているのではなく、温かく包み込み見守っている。
邦題の大騒ぎというのはあまりいいとは言えない。ちなみに、日本での舞台公演(2019年の2月~3月、中野 ザ・ポケット)では「TOC TOC あなたと少しだけ違う癖」という題だったという。こちらがしっくりきそうだ。主人公をルー大柴が演じたそうで、舞台も面白そうだ。
監督:ヴィチェンテ・ヴィジャヌエヴァ
出演:
■パコ・レオン(エメリオ):
タクシー運転手。なんでも計算して数字をはじき出すという癖と、物を集めすぎる癖がある。
■アレクサンドラ・ヒメネス(ブランカ):研究室に勤務する検査技師の女性。普段の検査でもガスマスクと防御服を着る、超がつく潔癖症で、常に消毒液を持ち歩き、来客ソファーも拭いてから座る。
■ロッシ・デ・パルマ(アナマリア):
敬虔なクリスチャンで心配性。どこにいても心配事があると、常に十字を切る癖がある。ほかの患者からは、エア編み物かと言われる。
■アドリアン・ラストラ(オットー):直線など「線」が踏めないこと、整理整頓のくせが有り、左右対称にこだわる癖がある。
■オスカル・マルティネス(フェデリコ):
街中を歩きながらも突然、周囲に暴言や罵声を浴びせる癖がある。自分の意志に関係なく罵倒してしまう「トゥレッド症候群」を患っているという。弁護士になるのが夢だったという。
■ヌリア・エレロ(リリー):
ジムのインストラクター。父親の死のショックから同じ言葉を2度言うくせがある。前の人の言葉を繰り返し2度言う。
■インマ・クエヴァ(ティファニー):クリニックの受付嬢。禁煙のはずなのに隠れて喫煙している。態度が悪いと患者からは酷評されている。
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