「カセットテープ・ダイアリーズ」(原題:Blinded by the Light、2019)を見る。1970年代にアメリカで人気だったロックミュージシャン、ブルース・スプリングスティーン、別名The Bossに影響を受けたイギリスに住むパキスタン系の移民の高校生の青春音楽映画。
1980年代〜1990年頃のイギリスの社会情勢を背景にした移民一家の物語でもある。LPレコードからカセット、ウォークマンへの音楽メディアの過渡期としてみても面白い。
映画の導入部分の画面分割から引き込まれる。
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1987年、イギリスの田舎町ルートン。音楽好きなパキスタン系の16歳の高校生ジャベドは、閉鎖的な町の中で受ける人種差別や、保守的な親から価値観を押し付けられることに心底嫌になりながらも逃げ場もなく、鬱屈とした思いを抱えていた。
ある日、同級生から借りたカセットテープでブルース・スプリングスティーンの音楽を知ったことをきっかけに、彼の人生は新しい音色とともに変わり始める。
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原題のBlinded by the Lightはブルース・スプリングスティーンのデビュー・シングルの「光で目もくらみ(Blinded by the Light)」に由来している。映画の主人公が毎日、日記をつけていたことなどから「カセットテープ・ダイアリーズ」にしたようだ。
1979年に発売されたソニーのポータブルカセットプレイヤー「ウォークマン」が1980年代半ばにはイギリスだけでなく世界を席巻したのも驚き。
1987年のイギリス。地方の町ルートンで暮らすパキスタン系移民の高校生ジソニーのウォークマンを片時も手放さず、日々の生活の中で感じる憤りと焦燥を日記や詩に綴る毎日を過ごしていた。
イギリスにおける移民問題も大きな話題になっていたようだ。とくに閉鎖的な町で受ける人種差別では「パキ野郎」と落書きされたり、カフェの席でも隅に追いやられたりと差別を受ける。パキスタンでは「一家で発言できるのは父親だけ」という保守的な父親との確執など、主人公の悩みは尽きない。
そんな中である日、全ての憂鬱を吹き飛ばしてくれる、ブルース・スプリングスティーンの音楽と出会ったことで、彼の音楽に影響を受けながら友情、恋愛、そして将来の夢へと一生懸命進む姿を描いている。
1980年代のレコード、カセット、ウォークマンなどは懐かしい。
監督:グリンダ・チャーダ
出演:ヴィヴェイク・カルラ(ジャベド)、クルヴィンダー・ギール(マリク/ジャベドの父)、ミーラ・ガナトラ(ヌール/ジャベドの母)、ニキータ・メータ(シャジア/ジャベドの妹)、ティーン=チャールズ・チャップマン(マット)、ロブ・ブライドン(マットの父)、ネル・ウィリアムズ(イライザ)、アーロン・ファグラ(ループス)、ヘイリー・アトウェル(クレイ先生)ほか。
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