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映画「緋色の街/スカーレット・ストリート」(原題:Scarlet Street、1945)を見る。

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緋色の街/スカーレット・ストリート」(原題:Scarlet Street、1945)を見る(デジタル)。ノワール・サスペンス映画(※)。監督は「M」「暗黒街の弾痕」などのフリッツ・ラング。タイトルの「緋色(ひいろ)」は濃い赤のこと。ジャン・ルノワール監督のフランス映画牝犬」(1931)のリメイク

妻に頭の上がらない銀行員のクロスは、男に殴られていた女優の卵・キティを助けたことから彼女にのめり込む。若く美しい悪女によって運命を狂わされる実直な中年男・クロス役のエドワード・G・ロビンソンが鬼気迫る演技を見せる。

効果的な音響やモノクロの陰影に富んだ照明、人物造形の見事さなど、フリッツ・ラングの才能が如何なく発揮されたハリウッド時代の傑作。

フリッツ・ラング監督が女優ジョーン・ベネットと彼女の当時の夫で映画プロデューサーであるウォルター・ウェンジャーと共に設立した独立映画会社ダイアナ・プロが製作した第1回作品。

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出納係として真面目に働いて来た中年サラリーマンのクリス・クロスエドワード・G・ロビンソン)は、自らの勤続25年を祝うパーティの帰りに、暴漢に襲われている美女キティ・マーチ(ジョーン・ベネット)を助ける。

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実はキティは娼婦で、彼女のヒモであるジョニー(ダン・デュリエ)と金のことで揉めていただけだったのだが、自らを女優と称するキティの言葉を鵜呑みにし、彼女に魅了されてしまったクリスは、とっさに自分が金持ちの画家であると嘘をついてしまう。

翌日、この話を聞いたジョニーはキティにクリスを騙して金を巻き上げるように言う。最初は抵抗を示したキティだったが、暴力的なジョニーの言いなりになっている彼女は巧みにクリスを誘惑してその気にさせ、アトリエとして高級アパートを借りさせると、そこに囲われることになるのだが…。

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ジョーン・ベネットの男を手玉に取るファム・ファタール(男性を破滅させる女性)ぶりが見どころ。ベネットは「サスペリア」(1977)で、ブランク夫人を演じたのが遺作となった。

ギャングスターとして名を馳せたエドワード・G・ロビンソンが、中年男で、再婚した妻から見下されて離婚しようとしていたとき20代の美女に出会い、メロメロになり、哀れな末路をたどっていく小心者を演じている。

女の足の爪にマニキュアを塗るシーンは後の「ロリータ」を連想させる。

映画が製作された1945年といえば終戦の年になるが、アメリカでは、街の風景やリッチな生活ぶりなどが描かれ日米格差を感じさせる。

日本では長く劇場未公開だったが、2012年9月22日から東京のシネマヴェーラ渋谷で開催された「フィルム・ノワールの世界」で「スカーレット・ストリート」の邦題で上映された。フリッツ・ラング監督が本作の前年に発表した「飾窓の女」とメインキャストが同じで姉妹編とされている。

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原題:SCARLET STREET
制作年/国:1945/アメリカ、上映時間102分
監督・製作:フリッツ・ラング
製作:ウォルター・ウェンジャー
脚本:ダドリー・ニコルズ
撮影:ミルトン・クラスナー
音楽:ハンス・J・サルター
出演:エドワード・G・ロビンソンジョーン・ベネット、ダン・デュリエ、マーガレット・リンゼイ、ロザリンド・イヴァン、ジェス・ベイカー、チャールズ・ケンパー、ウラジミール・ソコロフ

日本公開:2012年

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(※)フィルム・ノワール【film noir
フランスの映画批評家のニーノ・フランクが「マルタの鷹」など第二次大戦中アメリカで作られた犯罪映画をこう呼んだことが始まり。多くは低予算のB級映画として製作され、上映時間や俳優の起用に厳しい制限があった。
ドイツ表現主義にも通じる影やコントラストの強調、夜間ロケーションを多用したモノクローム映像、モノローグや回想による時系列が錯綜した物語展開などが特徴。ファム・ファタール、私立探偵、警官、ギャングなど、一筋縄ではいかない登場人物たち。彼らの相互の裏切り、それに伴う殺人、主人公の破滅が、しばしば映画のストーリーの核となる。

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