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映画「ジョーカー」(原題:Joker, 2019)を見た。ホアキン・フェニックスが怪演。

 

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今月4日から公開が始まった映画「ジョーカー」(原題:Joker,2019)を見た。台風の影響で昨日は午後からの上映だけだったが、きょうは平常通りの上映(朝一で見た。MOVIXさいたまにて)。

3連休の最終日で、満席。事前にネットで席を見たら、数席しか空いていなかった。このところ便利なネットで席を確保してから出かけるので、劇場到着は10分前でもOK牧場

監督は「ハングオーバー」シリーズなどのコメディ作品で知られるトッド・フィリップス。主演の”ジョーカー”役は、「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」(2005)「ザ・マスター」(2012) などの作品で知られるホアキン・フェニックスホアキンは、この映画のために大幅に減量し、骨と皮のようにコケていた。映画は、キツ~いバイオレンスシーンもあり、R15指定。

 

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ホアキンが演じる主人公アーサー・フレックは、都会の片隅でコメディアンを夢見て生きる孤独な男。年老いた母親の介護に近いような面倒を見ながら、ピエロメイクの大道芸人で糊口をしのぐ。驚くほどやせっぽっちで、街のワルガキたちに簡単に袋だたきにされてしまうほどひ弱。本作では、そんな悪のカリスマのイメージとはほど遠い彼が、ジョーカーになるまでの生き様を描き出す。

コメディっぽい展開を予想して見に行くと裏切られる。「バットマン」シリーズに登場するジョーカー(これまでにジャック・ニコルソンヒース・レジャーなどが演じた)が生まれるまでを描いているが、相当精神を病んでいるものの、社会に不満のある低所得層で虐げられている人々からは熱狂的な支持を得る。

 

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貧富の差が拡大し、コミュニティーの秩序が崩壊寸前の大都市「ゴッサム・シティ」。病気がちな母親と二人暮らしのアーサー(ホアキン・フェニックス)は「笑いのある人生は素晴らしい」と信じてコメディアンを目指す。「関係ないところで笑ってしまう」という神経精神疾患の一つ、トゥレット障害のために社会から「不適合者」とされ精神を病み、市の福祉関連部門の相談窓口でカウンセリングを受ける日々を送っていた。

心優しく、誠実に生きたいとの願いとは裏腹に、状況は悪化する一方だった。追い詰められたアーサーは次第に精神の均衡を失っていく。舞台のゴッサムシティは架空の場所の設定だが、ニューヨークの設定のようだ。さらに言えば、紛れもなく現代のアメリカ社会。随所に喜劇王チャールズ・チャプリンの傑作映画「モダン・タイムス」のテーマ曲「スマイル」(後に歌詞が付けられ、多くの歌手にカバーされた)が流れるが、ジョーカーの不気味な笑顔の裏にあるのも、チャプリン同様「悲哀」の二文字なのかもしれない。

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ほぼ全編出ずっぱりのホアキン・フェニックスは体重を極端に落とし、狂気のはざまにあるアーサーの精神を見事に体現。特に、敬愛する有名コメディアン、マレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)の裏切りを知り、表情をほとんど変えないままで怒りを表現する場面は異様な迫力だった。

ロバート・デ・ニーロが「マレー・フランクリン・ショー」でマレー役の大物コメディアンぶりを見せていた。ジョーカーと番組で会った時に「Make My Day」と話していた。「Make my day」は、英語で「(おかげで)良い一日だった」という意味の俗語。映画「ダーティハリー」シリーズで、ハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)が、銃を突き付けた敵に皮肉混じりに言ったことから有名になった。

ホアキン・フェニックスの奇っ怪な病的な笑いや、実力俳優の演技、不安を煽るような音楽、画面がまるで電気が点いたり消えたりするような映像など見所も多い。大画面ならではのシーンは、映画館だからこそ迫力があり、銃で簡単に相手を殺すなど、残酷なシーンも多く、万人におすすめというわけではないが、劇場鑑賞をおすすめ。

 

主な登場人物:

アーサー・フレック / ジョーカーホアキン・フェニックス

精神的な問題や貧困に苦しみながらも、スタンダップコメディアンを目指している道化師。認知症気味の母の面倒を見る心優しい男だったが、自身の辛い境遇から精神のバランスを崩し、次第に常軌を逸した行動を取っていく。感情が高ぶると、自分の意思に関係なく突然笑いだしてしまう病気を患っており、また妄想と現実の区別もつかなくなってきている。

■マレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ

人気トーク番組「マレー・フランクリン・ショー」の司会者。アーサーが憧れている。

■ソフィー・デュモンド(ザジー・ビーツ

アーサーと同じアパートに住むシングルマザーの女性。

■ペニー・フレック(フランセス・コンロイ

アーサーの母親。認知症気味で体が不自由。若い頃はゴッサム随一の大富豪のウェイン家にメイドとして仕えていた。

トーマス・ウェインブレット・カレン

ゴッサムシティの名士。政界に進出し市議会議員となるが、医療制度の解体を推し進めたことで負担が増えた貧困層からバッシングを受けている。

■ギャリティ刑事(ビル・キャンプ

ゴッサム市警の刑事。

■バーク刑事(シェー・ウィガム

ゴッサム市警の刑事。

■ランドル(グレン・フレシュラー

アーサーの同僚の道化師。

■ゲイリー(リー・ギル)

アーサーの同僚の道化師。小人症で他の同僚に身長をネタにからかわれる。アーサーに優しくしていたことから、ランドル殺害後のアーサーに解放される。

ジーン・アフランド(マーク・マロン

■「マレー・フランクリン・ショー」のプロデューサー。

アルフレッド・ペニーワースダグラス・ホッジ

トーマス・ウェインの執事。

ブルース・ウェイン(ダンテ・ペレイラ=オルソン)

トーマス・ウェインの息子。この映画の原典である「バットマン」における主人公。両親を目の前で失った悲しみから、成長後、蝙蝠のコスチュームを纏って犯罪者に立ち向かうクライムファイターとなり、ジョーカーと何度も対峙する。