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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「来る」(2018)を見る。オカルト・ホラー”日本版エクソシスト”。

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来る」(2018)を見る。何がという主語が欠落したタイトルで、いったい何が「来る」というのか。原作は日本ホラー小説大賞を受賞した澤村伊智の「ぼぎわんが、来る」。

ぼぎわんというのは、小説の中では三重県に伝わる妖怪。「ある人に狙いを定め山へ連れ去る」ものとされている。古文書にも記述があるようで「ぼぎわん」という妖怪が古くから存在するということを、読者や視聴者に印象付けるための筆者の手法と思われる。

監督は「嫌われ松子の一生」(2006)や「告白」(2010)「渇き。」(2014)などで数々の映画賞を獲得した中島哲也。映像、色彩など独特の世界観をそのままに表現した監督初のホラー。日本版エクソシストのような作品。

出演俳優は、岡田准一松たか子妻夫木聡、小松奈菜、黒木華石田えりなど豪華で見どころが多いが、サイコホラー、オカルトホラーで、好みが別れるところ。

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田原秀樹(妻夫木聡)が、親族の13回忌の法要に恋人の加奈(黒木華)を連れて行くところから物語が始まる。

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秀樹と加奈は結婚をし、幸せな新婚生活を過ごしていた。そんな時、秀樹の会社に謎の来訪者が現れる。取り次いだ後輩の高梨(太賀)に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。

知紗とは妊娠して身ごもった加奈のお腹の子に名づけた名前だが、なぜその名前を知っているのか不可解さに秀樹は戦慄を覚える。

結局、来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩の高梨が大怪我を負い、まるで呪いをかけられたのような謎の死を遂げるのだった。

それから、約2年の月日が経ち、秀樹の周囲で不可思議な出来事が次々と起こるのだが・・・。

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「安定した会社で良き仲間に囲まれながら素敵な家庭を築いている」とまわりから思われている主人公の田原秀樹(妻夫木聡)が突然の怪異に襲われ、恐怖のどん底に落ちるというストーリー。

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田原は、幼い子供の成長などをブログにアップし、リア充ぶりを毎日アピールしているが、子供の面倒や家のことなどはほったらかしの自己中人間。妻の加奈(黒木華)のいらだちは、マックスに達し、子供に八つ当たりする始末。

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霊能力者・真琴(まこと)(小松奈菜)を紹介してもらう秀樹だったが、真琴は出会ったばかりの秀樹に、妻の加奈と娘の知紗を大切にしてあげて欲しいと告げると、秀樹は憤慨してその場を立ち去ってしまうのだった。

姿を見せない怪異「あれ」により、次々と死傷者を出していく。

事態を重く見たオカルトライター・野崎(岡田准一)は、日本最強の霊媒師と言われているキャバ嬢霊媒師の姉・琴子(松たか子)に連絡する。

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  霊媒師姉妹を演じた松たか子と小松奈菜。 

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琴子は多忙のため、代役を薦めるが、信頼する代役がやられてしまったため、日本最強霊媒師の名に懸けて日本最強の霊媒師軍団を田原家に招集し、怪異「あれ」と対峙することになる。

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前半は人間関係のドロドロや陰湿さが描かれ、後半では壮大な霊能力バトルが繰り広げられる。画面も、全体的に黄色を基調にした色合いのシーンになったり、意味不明のピカソの絵のような?絵具を塗りたくったような場面が登場し、混乱させられる。

「あれ」は弱くてもろいものを攻めてくるという霊能者の言葉があったが、「あれ」の正体や姿は最後まで明かされずに物語が終わる。

ガラスから血がしたたり落ちて一面が血ぬられたり、気持ち悪い芋虫が大量に現われたり、嘔吐したりというシーンが多く、決して後味がいい映画とは言えない。

ノー天気の自己中人間を演じている妻夫木聡や、言われてもわからないほどの演技を見せた小松奈菜柴田理恵が、全く別人のような演技を見せていたのは驚きで、一見の価値があった。

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