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映画「美女と液体人間」(1958)を見た。東宝「変身人間シリーズ」第1作。

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映画「美女と液体人間」(1958)を見た。「変身人間シリーズ」の1作。

出演は、当時"日本のグレース・ケリー”のキャッチコピーで美貌の白川由美、「ゴジラ・シリーズ」で常連の平田昭彦のほか、小沢栄太郎佐原健二土屋嘉男千田是也など。

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タイトルの液体人間とは、核実験で飛散した死の灰を浴び、強い放射線の影響で肉体が変質・全細胞が液体化した人間。一般的な伝承における吸血鬼のごとく他の人間を襲うことによって、犠牲者を自分と同様の液体人間に変える習性を持つ。そのため、物語終盤には液体人間が2体登場。彼らの武器は文字通りゲル状に液体化した肉体であり、これに触れた人間は肉体が縮むように溶かされ、泡となって消え去ってしまう。 

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ある雨の晩、日本橋兜町で不審な二人の男たちが暗躍していた。しかし、男の一人は突如苦しむようなうめき声を上げるとピストルを発砲し始め、着ていた衣服と大量の麻薬を残してその場から忽然と姿を消してしまう。

遺留品から消えた男の正体がギャングの一員・三崎(伊藤久哉)であることを突き止め、彼らが麻薬密売を目論んでいると推理した警視庁の富永(平田昭彦)

は、三崎の情婦であるキャバレー「ホムラ」の歌手・新井千加子(白川由美)を監視し、彼女に接触してきた男を逮捕する。

しかし、男の正体はギャング関係者ではなく富永の友人である城東大学助教授・政田(佐原健二)だった。政田は三崎が大量の放射性物質を浴びて「液体人間」と化したのではないかという仮説を立てており、「死の灰を浴びた第二竜神丸の船員が液体人間と化していた」という証言や強い放射線を浴びせたカエルが液体化するという実験結果、永代橋付近で見つかった第二竜神丸の浮き輪などの証拠を提示するが、富永ら捜査陣は全く信じなかったのだが・・・。

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f:id:fpd:20201104143639j:plain 裸に近いダンサーたち

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1950年代後半の日本の世相、風景、車、風俗などが垣間見れて面白い。キャバレーに登場するダンサーなどは、ビキニ姿。キャバレーで歌手として英語で歌う白川由美は背も高く、堂々としている。美貌もさることながら、ソフィア・ローレンのような野性的なところもあった。

f:id:fpd:20201104143734j:plain 美貌と野性味を見せる白川由美

隅田川付近の下水道ガソリンを流して火を放って液体人間を死滅する作戦を実行するなど大掛かり。橋で崩れ落ちる車や建物など、いまから見るとミニチュア感を否定できないが、ゲル状の液体が、壁を伝わって移動したり、人間にかぶさっていくシーンなどは特撮技術を駆使している。

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最終的に、隅田川沿岸を炎に包み込むほどの猛火により液体人間は全滅した。しかし、真木博士は「もし地球が死の灰に覆われて人類が全滅したとき、次に地球を支配するのは液体人間かもしれない」と語るように、なにかしら人間の傲慢さなどに警告しているような印象。

 

特技監督円谷英二

監督:本多猪四郎

製作:田中友幸

原作:海上日出男

脚本:木村武

撮影:小泉一

美術:北猛夫

録音:三上長七郎、宮崎正信

照明:西川鶴三

音楽:佐藤勝

 

東宝の変身人間シリーズ3作品(「美女と液体人間」「電送人間」「ガス人間第一号」のうち、未見は「電送人間」のみとなった。